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批評理論入門

"批評理論についての書物は数多くあるが、読み方の実例をとおして、小説とは何かという問題に迫ったものは少ない"2005年発刊の本書は、メアリ・シェリーによる多様な問題を含む小説『フランケンシュタイン』に議論を絞って小説の仕組みと読み方を示してくれる良書。

個人的には主宰する読書会を、より充実させたいと本書を手にとりました。

さて、そんな本書は英文学、イギリス小説の研究者である著者が京都大学の英米文芸表象論で行った講義をベースに、また、デイヴィッド・ロッジの『小説の技巧』、ヨハンナ・M・スミス編『フランケンシュタイン』を基底にしつつ。前半の『小説技法編』では【小説はいかなるテクニックを使って書かれているか】を明示、後半の『批評理論編』では、読者反応批評、精神分析批評、フェミニズム批評、マルクス主義批評、文化批評、ジェンダー批評等といった有力な作品分析の方法論で『フランケンシュタイン』を題材に【多方面から平易に解説している】わけですが。

まず、前提として『フランケンシュタイン』を既読であることが求められる本書ですが。著者自ら『可能な限り、フランケンシュタインに関する論文を読んだ』と書いているだけあって、作品に含まれている様々な要素を知ることができて、新鮮で楽しかった。

また、前述したように。主宰している読書会をより充実した場にすべく、主観的な感想を言いあう集まりから【文学批評の場】にすべく勉強しているのですが。本書の解説はとてもわかりやすく理解が進みました。

メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』を既に読まれた方、また文学批評を学ぶ補助線としてオススメ。

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