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『表現の自由』の守り方

"国会議員には二種類の仕事があると思っています。まずひとつに、法律をきちんと守らせること(中略)もうひとつが、法律の解釈に幅がある場合には、それをできるだけ国民の利益になるように確定させていくこと。"2016年発刊の本書は『表現の自由』が永田町の表と裏で、どのように政治決定されているか?がわかる良書。


個人的には、現役議員である著者については名前くらいしか存じなかったものの、コミケ(コミックマーケット)での参加者たちの楽しげな写真をWEBで眺めているうちに、また騒がしくなっている『表現の自由』界隈が現安倍政権下の政治の世界で【どのように取り扱われてきたか】を振り返ってみたいと思い本書を手にとりました。

さて、本書では当時の『児童ポルノ禁止法』『TPPにおける著作権の非親告罪化』『国連人権理事会からの外圧』『軽減税率適用にあたっての有害図書指定』『青少年健全育成条例改定案』を巡っての政治的攻防の様子が、良くも悪くも【著者視点で描かれていて】客観性や真偽については多少は留保するとしても、結果的にテレビで映る以外のやりとりが緊張感をもって伝わってきて、また表立って【議論になってしまう前に】最前の対処をしようとする著者の議員としての姿勢には、とかく劇場型政治になって【話題になってから口を突っ込んできて騒ぎ立てる】テレビ映りばかりを気にするパフォーマーの様な議員も多くいる中で、素直に好感を覚えました。

一方で、特別に好きでなかったとしても、本書の政治答弁を読む事で【規制をしていく側の政治家たち】が、漫画やアニメ、ゲームはもちろん、コミケに代表されるファン主導の文化やインターネットカルチャーに対して、2015年当時においても【あまりよく知らず。結果としての悪意や偏見をもっている】事がよくわかって、こちらも『表現の自由』を本当に守りたいと思うなら。外野で直接的、一方的に意見を表明するだけではなく【相互理解の中での最大公約数的な着地】を内外で丁寧に目指すべきである事がよくわかって勉強になりました。

漫画やアニメ、ゲーム好きな方や、議員を目指している方、あるいは『表現の自由』を巡る現安倍政権の政治決定を振り返りたい誰かにもオススメ。

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