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『龍の歯医者』

NHK BSプレミアムで2週連続で放送されるアニメ『龍の歯医者』。
第1回が2/18(土)に放送されて、それがまあ本当に素晴らしくて、次回が楽しみで仕方ありません。早く週末こい、と願う2月最終週。今年もあと10ヶ月ですね。

『龍の歯医者』HPより

スタジオカラー(代表は庵野秀明さん)の新作アニメということで注目されていた作品でして、主人公の声優は今をときめく清水富美加さんだったりするので、結果的に色んな味わいのある作品になったわけですが、ストーリーも映像もすごく良かったです。早く週末こい。

声優・清水富美加

世間的な騒ぎはともかく、声優としての清水さんはすごく自然な声で、観てる最中、主人公の声が清水さんだったことをすっかり忘れるくらいすっと入ってきました。主人公に声優を使わない作品はジブリに多いですが、普段声優さんの声ばかり聞いてる身としては、俳優さんたちの声は良い意味で抑揚が少なくて、聞きやすくて良いなと思います。

ジブリもそうですが、『龍の歯医者』みたいな動きの多い作品、絵としての表現がすごく多い作品の場合、声優さんたちの声の表現の豊かさは重要視されない。
TVアニメの場合、製作期間的な問題でキャラクターの表情一つひとつを細かく描く労力は大変だろうから声の演技が主役になってくるけど、キャラの表情がばっちり描かれていると、その演技を際立たせるための脇役的な声の演技のほうが合う。だから表情や体の動きで芝居をしてる俳優さんたち(語弊あるかな)が起用されることもある。
と偉そうに書きましたが、完全な素人意見ですのであしからず。

まあ他の声優陣はむっちゃ好きな方々ばかりで、個人的に山寺&林原コンビが出てるってだけでもう最高でした。

『龍の歯医者』映画化とか長編アニメ化するなら声優さん変えてほしくないけど、清水さんは多分無理だろうなあ。

色彩設計の効果

あと、個人的には色彩設計が印象的な作品でした。

龍の歯医者という職業の人たちは、極端に言うと人生を諦めてる、達観してる人たちなんですが、そんな彼らの心情と、色温度高めでコントラストが薄い柔らかな色彩がマッチしていて、2週合計2時間アニメという短い枠のなかで、ストーリーに没入するための効果的な演出だなあ、なんて素人なりに感じておりました。

色彩を偏らせることって、視聴者の感じ方を制限させるし、視聴者の嗜好と合わないとマジ無理もう観ないってなっちゃうので製作者側からするとかなりチャレンジだと思います。

それでも色彩にきちんと意味を持たせて、視聴者にストーリーを効率よく吸収させることは、作品の質の向上につながるし、個人的にはそういう作品を大好きになることが多いので、その色彩感覚もっと押し付けてくれよ!と個人的に叫びたいです。

アニメに限らず、最近は技術の向上のおかげか、とてもキレイでカラフルな作品が多い。たしかに目は楽しいんですが、色彩情報が多いというのは良いことばかりじゃないし、さらに詰め込み気味の物語も相まって、視聴者としては情報過多になって、ストーリーへの没頭を阻害する要因にもなり得る。どこを切り取ってもおいしく召し上がれますよ、みたいな全部盛りスイーツ的な作品を最後までおいしく召し上がった記憶はあんまりない。

ストーリーを伝えたい作品、絵を伝えたい作品どちらもあるけど、両者をごっちゃにすると何に注目すべきなのか分からなくて、観終わった後に何も心に残らない、その場限りの消費になることがちょくちょくあります。

ある程度の労力をかけた長尺の作品ならば、観る側としても何か心に残ってほしいなと。まあ観る側の問題もあるんですけどね。その場限りの消費はネット周りだけで十分です。


小さい頃から随分アニメを観てきたんですが、今さら色彩設計の重要性に気付いてしまって、全アニメをもう一度見直したい気持ちでいっぱいなんですが、まあそんな時間とれるわけないので、とりあえず早く週末こい。

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