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Naeba と 恋人と 不幸と幸せ

苗場 と書くと 少し違和感 NAEBA と書いてみたら、全然違う・・  #Naeba  フォントが違う、けれど、まあ、これですよね そう、あのスキーリゾートのNaeba です。 あのホテルに1、2泊して、スキーを楽しんで、ご飯を食べて、気が向けば、雪の中でも夜は J に行く。宿泊する部屋も、号館に拘り、さらに、号館でも雲泥の河側とゲレンデ側、天井の丸が円形になったルームライト・・・ そんな、事まで気になった若いころのお話。まあ、もっぱら23時までゲレンデ過ごすから、現実論でいけば、Jに行く相手と、ガンガン滑る相手は違う人になるのだけれど。
ここまで、書いて、何のこと? と言う人がほとんど それは、それ、でもでも、一人でも二人でも 沼に嵌ればそれでいいのです。

=今日は、そんな、スキー帰りのカップルのお話=

1台の赤いクーペが、関越道、上り車線を結構なペースで走っていた。 ルーフにはスキーが載せられていて、ボディーは雪道を走ってきたことが一目で解る汚方をしていた。見た目は普通のスポーツクーペ、色は赤、けれど、これ、軟派な赤いクーペというものではなく、フルタイムで4輪を駆動するタイプで、さらにパワートレインは2ℓ #DOHC #ターボ 足元にはキャラメルパターンの #スタッドレスが履かされていた 。乗っているのは、20代半ばのカップルだ。実際に男性の方は28で、女性は26で、 彼らは、学生時代から既に6年以上付き合っていて、結婚も近いと言える間柄。それぞれが、学校を出た後、それぞれの業種、それぞれの企業に勤ている。彼は商社系で、学生時代からスキーをやっていて日焼け真っ黒のスポーツマンタイプではあるけれど、街遊びディスコも大好きと言う感じだった。彼女はメーカー勤務で、スポーツ系と言うよりも、それっこそ都会系、ファッション雑誌大好き物まねトレンディ女優もどきだった。そんな彼女でも、冬場の週末にはこうしてスキーに出かけるし、夏は夏で小麦色ではある。前出の、車が雪で汚れている事と、ルーフにスキーを乗せていること以外では二人がスキー帰りだとは、思えず。二人の着ているものは、町中デートの時と何ら変わらず、間違ってもスキーウエアの上をジャケット代わりにするみたいな発想は何処にもない。リアシートには、イタリア辺りのメーカーのキルティングショルダーが転がっているし。この朝、スキー場のホテルをチェックアウトする時から彼女はパンプスを履いている。彼も足元はトッズのドライビングモカシンだ。今、ドライバーズシートには彼が座り、ハンドルを片手で軽く握ってる。この車自体は彼女の持ち物で、彼の車が2輪駆動という事もあり、ゲレンデエキスプレスには、この車が自然と選ばれるわけだ。この日の関越は、はめずらしく、酷い渋滞もなく、スムーズに、群馬を抜けて埼玉に入った。夕日が斜め横から差し込んできて、彼のサングラスは横からの光の差し込みで、微妙に効果を発揮できない状況になった。カーオーディオからは、今はテープではなくFM放送が流れている。二人は、何気ない適当な会話をしつつパーキングで買ったコーヒーを飲み、彼女は細い指先でチョコもつまみながら、都内に向けて走った。彼女はいつも彼が運転をしている時、自分だけが寝てはいけないと、なぜか毎回、頑張って起きている。寝てればいいのにと彼はいつもそう思いうし、実際にそう言っているが、彼女それを聞かずに、時々うとうとしつつも寝ないで毎回過ごしている。運転してない彼女にしたら、かなり暇でもあるわけだけれど、彼女はそれを決め事のようにしている。彼女自身も、運転はとても上手いし運転する機会も多い。彼と一緒でない時はもちろん、彼が月に1~2回の頻度で海外出張する時は、スケジュールが許す限り、彼女は彼を成田に迎えに行く。この時は、彼が疲れているという配慮から、彼女は往復ハンドルを握る。それ以外、彼と二人の時は、彼が運転するのが半ば決め事になっているのは、それは単に彼はハンドルを握ることが、大好きだからに他ならない。

西日を浴びつつ、クーペが花園を過ぎたあたりで、ラジオからメジャーなシンガーソングライターでもあるパーソナリティーがリスナーの恋の悩みに答えるコーナーがはじまった。それこそ、彼らの年代にはカリスマ性爆発の女性だった、その日の恋のお悩みは、いつものとおり都内OLさんからの相談、その内容は、仕事と恋愛なら上手にこなせているけれど、ある日、結婚というプロセスを経て仕事、家庭を前提にした場合に夫は生活に変化が無いのに自分は大きな変化が・・・みたいな話だった。それを聞きながら、運転する彼が「仕方ないよね・・」と呟いた。彼女は、それに反応して「しかたないの一言で、諦めなければいけない事が女には沢山あるのよ、それって違うと思う」 けっこう本気で彼に、食ってかかった。 ”まずい” 運転しながら彼は皮膚感覚でそう直感した。彼は咄嗟にフォローする、「でも、仮に僕らが結婚する場合は、違うと思うよ、もっと、そう何て言うか、公平に、分担してさ、そう お互いにね、こう・・上手く行くようにさ・・」 明らかに、その場繕いの説得力の何もないフォローに、彼女の温度感はより上昇した。何往復かのやり取りの後、彼女は、「もういいわ 降りる」と言い出した。「でも、ここは高速でもあるから、停めるに停められないよ、せめてずPA,SAじゃないとね」となだめ、さらに「降りると言っても、今日はこの車、君のだしさ、持ち主が降りるのも変だよね・・」と何とかなだめるが。停められないよと言う彼 彼女はそんな彼を憎らしそうに見てたと思うと、なにやら、もじもじと手を動かし始めた、 そして しばらく手を組み合わせていたと思うと おもむろに、左手の薬指からリングを抜き取ると、サイドシートのウインドウを全開でもなく半開でもない、とても微妙な位置に開け、その隙間から腕を出すと、窓の外に投げ捨てた。ミラーに、高速道路の路肩の植え込みへと転がるリングが見えた気がした。
実際にミラー越しに正確に見えたわけではないけれど、小さな物体は路肩のの植え込みの中に消えた。彼は、咄嗟に後続車等のへの影響を確認、一通り周囲の安全を確認した後、「お前、なんてことするんだよ」と声をあげた。彼女には、その安全確認をしてから、文句を言う、自分の恋人の一連の対応が、また腹立たしさに拍車をかける。彼女が、さらに文句を言おうとした時、彼が「でもさ、この子、怒るとこんなことするんだなあ、なんて思ったらさ、なんか そういう所、いいなあ と思ったんだよね。 普通はさ、投げる前に指輪の値段とかさ、価値とかさ考えるのが普通じゃん、でもそんなの問答無用でやっちゃうところの潔さにね、もちろん、高速でこれは流石に危険だからよくないんだよ、もちろんね でも驚いたと同時に、これが僕の恋人なんだと思うとね らしいなあと思って」 彼は素直に驚いた半面で、思わず感じたことを言葉にした。彼女は、しばらく無言で窓の外をじっと見ていたけれど、やがて、「自分で買ったものなら、やらないかなって思った あなたのプレゼントだから、やったのかもね・・」と言った。そんな彼女に、「もうやつちまった事はしかたない、指輪ならまたプレゼントするさ、君が怪我をしたわけでもなく、誰かに怪我をさせたわけでもなく、指輪は植え込みの中だ」と言うと、彼女は「ちょっと 簡単に言わないでよ、あれ、かなりお気に入りのリングだったのよ」彼女は、何故か涙をポロポロと零した。

実は、こんなことが後で幸せと思ったのは、彼 彼女 ?


当時大好きだった本のNEO版?



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