かいまみし愛しき世界#2

夏が戻ってきたように照りつける太陽の下、
クォリティの高いステージ衣装を来て、
ピンヒールで芝生の会場を歩きまわる人々。

携帯扇風機を顔に当てっぱなしで
喋り続ける美しくセットされた可愛い女子。
グッズを山のように抱えてスーツケースを転がすカップル。
お揃いの衣装で決めてきたのに逸れてしまった親子。
炎天下2時間も並んで手に入れた限定商品を紛失して涙する子。
激戦を勝ち残って沖縄までやって来たのに、
会場でチケットを無くして愕然とする女性。
抽選には外れたけど花火がみたい!
この空間を一緒に味わいたい!と願う
多くの人々がインフォメーションに殺到していた。

みんなそれぞれのテーマを持った
25周年という歳月をかみしめるような1日が
交差しているような場所だった。

そこで、とても興味深い子に出会った。

会場マップを見て、
”打ち上げ場所”、”客席位置から花火の正面” を割り出し、
”誰にも邪魔されない場所” を見つけ出そうとしている。

新しい情報はないかと
夕方もう一度インフォメーションへ戻ってきた。
朝から歩き回って、地元の人から生きた情報を得たこと。
その情報から道なき道を分け入ったことや、残念な思いをしたこと。
計算上ではいい位置になると踏んだ
高台の建物に場所をキープしてきたこと。
自分たちにはコスプレするような熱狂さはないけれど、
本当に熱い思いを持っているんだということを語ってくれた。

与えられた環境の外へ出て、
自分の頭で考え、自分の足を使い、
見ず知らずの場所でも、
自分たちにとってベストな状況を作る人。

「クリエイターだね」
思ったことを口に出したら、
その子は誇らしげに微笑んだ。

彼女たちが選んだその場所からは、
どんな風景が観えたのだろうか?

結果としては、
会場に居続ける選択をした多くの人々の方が、
よい観覧場所を手にしたのかもしれない。

けれど、私はその女の子たちが
素敵な1日を過ごしたことを知っている。
「もう秋なのに、こんなに日焼けしてしまった」と
嘆いていたけれど、
その真っ赤になった顔には、
一切の後悔がない、
一瞬一瞬思いっきりやりきった、
最高の1日を作った喜びを感じた。

この先、どんなことが待ち受けていようと、
可能性に満ちた人生が彼女には待っている。

自分の道を切り開く創造的思考を持ち、
果敢にチャレンジしていく精神と行動力。

ヴィジョンを作る人として、
プロセスに生きる仲間としてエールを送る。

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