日本のインフレ率を世界と比べてみた
前回、日本のマネーストックの動きを確認しました。平成バブル崩壊、リーマンショックのそれぞれで、相場の暴落の前にはマネーストックの急低下がありました。アベノミクス以後をみるとマネーストックはそれなりに伸びているようです。詳しくは、大暴落のとき、統計の動きはどうだったか? を。
そんなアベノミクスは目標であるインフレ率2%が達成できないという話を聞きます。消費者物価指数の変動は主要先進国と比較してどうなのか?
以下のグラフは世界銀行の統計データの転用です。
消費者物価指数(CPI、2010年基準)の世界比較のグラフです。1985年以降から価格変動が少ないのが日本(えんじ色)です。たしかに、ちょっと特異なグラフのように見えます。日本の物価はバブルの頃からあまりあがってないということですね。
ロシアのインフレ率が高いのでグラフの変化を見るために外して、バブルの頃からをチェック。
たしかに日本の物価上昇(2010年基準)は少ないことが確認できますね。デフレ傾向なんですかね? 実際にインフレ率をチェックしてみます。とくに90年代以降にその傾向がありそうです。中国のインフレ率が高いので外して、90年以降(バブル崩壊後)からリーマンショックまでのインフレ率をチェック。
実際に見てみると日本のデフレ傾向(インフレ率がマイナス)は2000年辺りで顕著です。主要先進国のなかで日本だけがデフレ経済になっています。またリーマンショックで各国のグラフがガクンと下がってます。ではリーマン・ショック以後はどうでしょうか?
リーマンショックの世界規模のインパクトがはっきりとわかります。しかし、アベノミクスが実施された2013年以降はデフレではないように見えます。そこでアベノミクス以後をチェックしてみます。
世界経済全体の流れに沿っていますが、デフレからは脱却しているようです。目標のインフレ率2%は達成してないそうですが、異次元の金融緩和と言っているだけの成果はあるのじゃないかと思いました。
でも、なんのマイナスもないのだろうか? なんといっても異次元の金融緩和政策ですからね。金融緩和策について調べてみようということで、マネタリーベースについて、用語解説は以下で。
中央銀行が直接コントロールすることが可能な貨幣量は、経済全体のマネーストック(M1、M2、M3のどれであっても)の一部に過ぎない。その直接コントロールすることが可能な貨幣量をマネタリーベースと呼ぶ。発行する通貨と、民間銀行が日銀に預ける預け金の合計をいう。
日銀データサイトの日本のマネタリーベースをみてみました。紫が一般的なマネーストック(M3)、緑の折れ線がマネタリーベースを表しています。2013年からはっきりとマネタリーベースの割合が上がっていました。
以下は日本銀行の時系列統計データ検索サイトからの転用です。
これだけではインパクトがわかりにくいので、整合性のあるデータの残っているマネーストック(M2)との比較で50年ほどのグラフをみてみました。
オレンジがマネーストック(M2)を表しています。マネタリーベースの上昇は、かつて経験してことのない状態です。これは未体験ゾーンではないかと思いました。今回はマネタリーベースについてはこれ以上深入りはしません。(経済指標の読み方が終わったら、金利について知りたいです。その際に金融緩和策とマネタリーベースについても調べようと思います。)
昨日の日経平均株価が26年10ヶ月ぶりに高値をつけたとのこと。(買ってないし、持ってないから一切関係ないけど、)株価はこれからどうなるのか? 景気の動きを知ることができるといわれる景気動向指数という実際的な指標の意味や読み方について進めてみたいと思います。
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