<第39回>いつの時代も買い手のモラル


皆様、いかがお過ごしでしょうか。内野でございます。
毎週土曜日は植物トピックで色んなことを私なりの見解でお話をしたいと思っています。名付けて、植物ライフで言いたい放題。
今日も言いっぱなしで配信をいたしますのでよろしければ最後までよろしくお願いします。

この内容はRadiotalkでも配信をしています。


今日は種子偽装問題についてお話をしていきましょう。

みなさん、パキポディウム ウィンゾリー という品種をご存知でしょうか。
CITES1に登録されているマダガスカルに自生する輸出禁止植物です。
このウィンゾリー はとても人気が高く、大株になると20万ほどの値段で取引されます。

そのため、種子が人気で約3000円ほどの値段で売られていました。

しかし、今年に入って種子が1000円台で出回るようになったのです。
市場としては価格破壊をするきっかけとして割と盛り上がりました。憧れのウィンゾリー が1000円台だ!と。
しかし、発芽して本葉が出ると皆疑惑を持ち始めました。これ、バロニーではないか?

そうです、パキポディウム ウィンゾリー の種子は実は近似種バロニーまたはバロニーとウィンゾリー を掛け合わせたものではないか?との疑惑が広がっています。

そもそも、ウィンゾリー はバロニーの変種でいわば親戚関係なのです。バロニーの方が血が強く交雑してしまうと、バロニーに寄ってしまうという傾向があります。

ウィンゾリー の特徴は、葉が暑くそして広く、先端が丸い本葉。バロニーの特徴は葉が細く、先端が細く、幹が赤くなるという特徴があります。

その疑惑ウィンゾリー の種子を購入した人皆、口を揃えて言いました。これはバロニーの特徴が出ていると。

現に、私もウィンゾリー ・バロニーを長年育てている方へ写真を見せて問い合わせたら、即答で純血のウィンゾリー ではないという返答が返ってきたのです。

現在、この疑惑付きのウィンゾリー たちは半分ウィンゾリー ではないという諦めを持って育てられているはずです。

さて、ここからが本題です。
ここの悪者は誰でしょうか。
ウィンゾリー の種子と信じや疑わない売却した人でしょうか。価格よりも低い値段で購入した人でしょうか。

個人的には圧倒的に売主ですが、売主を責めることはできないのです。
なぜなら、売主はただの卸として生産者を信じる純朴なる売り手ですから。

いつも取り残されるのは買い手です。買い手だけが何かモヤモヤしたものを残すことになるのです。だからこそ、買い手が悪者になってしまいます。

前回の言いたい放題でも言いましたが、やはり買い手のモラルが重要だと思います。
これまで3000円で売られていたものが、急に1000円台で売られるようになった。ここに疑問を持たなければいけません。そもそも入手経路がオークションなので尚更です。
こういうこともあるのだ、と頭に入れながら購入しなければいけません。

そして、今後同じことが繰り返されます。
そう、今回購入した人がこの株を売りに出すはずです。この株を見たとき、みなさんのモラルが試されます。理解して買うのか、それともただ純朴たる買い手として買うのか。。。。

いつも買い手のモラルが試されますね。

このように、ハイブリッドという名前で、系統表もつけない品種が世に出回ります。人気であればあるほど、ぐちゃぐちゃになっていきます。
これまでサボテンや塊根という業界はどちらかというと高齢となったときの楽しみとしている方が多くいました。しかし、今では若い人たちも手に取る身近なものとなりました。
だからこそ、ただ売り買いするという人たちも増えてずっと守ってきた不文律が崩れていきます。

カオスですね。でも、これは避けられないと思うのです。だからこそ、僕たちは原種を大切にしないといけないですし、だからこそ第一人者の元で学び、勉強をしてもっと深みを見つめる必要があると思います。
ちなみに、僕は原種を守る人さえいれば、こういう交雑もありだと思う派です。でないと、進歩はありませんからね。今まで考えもつかない方法で新しいものが生み出される。そうして進歩するのだと思います。

また、今回購入した種子について、個人的には、この株が大きくなって種子が取れるようになったとき、F2はどうなるのかということが非常に楽しみです。
疑惑ウィンゾリー A×疑惑ウィンゾリーBそしてその逆をした時、次に生まれる株たちはどのような姿をしているのでしょうか。
これで同じ姿形なら、バロニー。形が別れたらバロニー・ウィンゾリー ということになります。
あと5年以降後の話にはなりますが、非常に楽しみですね。

本当はまだまだ話したいのですが、ブレてしまうのでやめましょう。

今日は疑惑付きのウィンゾリー について言いっぱなしでお送りしていきました。
いかがだったでしょうか。

やはり、信頼できる人から買うというのが一番ですよね。皆様も是非第一人者への道を辿ってください。
それでは今日も良い1日を。

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