タムラサトル展 Wall to Wall @さいたま市プラザノース
「なんて役に立たない機械なんだ!」と、近くで見ていた親子連れの男性が言っていた。
(《Wall to Wall》 / タムラサトル)
タムラサトル展 Wall to Wall @さいたま市プラザノース。
大きな展示室のなかにあるのは、アームが回転する重厚な機械。その機械の”機能”は、会場の床や天井、壁を擦って傷つけていくことだ。
(《Wall to Wall》 / タムラサトル)
回転する動きを見ていると「風車」や「水車」を思い出すけれど、この機械は、エネルギーを作り出すのではなく、電気を”人には役には立たない”ことに変換している。
役に立たないどころか、むしろ ”壁に傷をつける” という、害悪になることをエネルギーを使ってわざわざやっているとも言えるかもしれない。
これらの作品は、どれも”役に立たない”機械なんだろうか。
(《Floor to Celing #1 》《Floor to Celing #2 》 / タムラサトル)
でも、「良いこと」「役に立つこと」って、一体なんなんだろう。
月並みだけれど、「役に立つ」「良いこと」と思っていたことが、将来的に「悪いこと」になることも多々あって、すぐには人の役に立たないと思われていたものが、生活の必需品になることもある。
(《Wall to Wall & Floor to Celing #5 》/ タムラサトル)
”役に立たない” ナンセンスな機械を見ながら、”役に立つか否か”という考え方のほうがナンセンスなのかもしれない、とも思えてくる展示だった。
【展示概要】タムラサトル展 Wall to Wall @さいたま市プラザノース(埼玉県さいたま市)
会期:2/23(土)~3/17(日)
時間:10:00~17:00 ※2/25(月)、3/11(月)は閉場
入場料:無料
精力的に活動する若手芸術家の作品を紹介するDomain of Art。今回はプラザノースの開館10周年を記念して、開館と5周年の過去2回にわたって出展いただき、好評を博した美術家・タムラサトル氏の展覧会を再び開催します!
「意味の破壊」をテーマに、様々なモノの意味を排除した作品を制作し続けているタムラ氏の「素材・形態が持つであろう意味・設定・目的からも、自由でありたい」、その思いをひたすら反映したウィットに富む作品をお楽しみください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。