見出し画像

観る?学ぶ?買う?!楽しみ方いろいろ。—アートフェア東京 2015 【レポート】

「ギャラリーって気になるけど、ちょっと敷居が高くて入りづらい…」 「"家にアート作品のある生活"なんて憧れるけど、どうやって買うのかなぁ?」
そんな方にオススメしたいイベントが「アートフェア東京」です。

「アートフェア東京」は国内外130のギャラリーが集まる日本最大のアートの見本市。古美術、工芸 から近代日本画・洋画、現代アートまで、幅広いジャンル・時代の作品が集まります。

今年は3月20(金)〜22(日)、東京国際フォーラムで行われたのでその様子をレポートします。


■アートフェア東京の楽しみ方3つ!

① 国内外の個性的なギャラリーを巡る!

今年は130にも上るギャラリーのブース展示が行われました。オープンなスペースなのでちょっと気になったギャラリーのブースにふらりと立ち寄って作品を見たり、ギャラリストさんとお話したり、時にはアーティストご本人とお話できてしまったりもできます。

若手からベテランまで、各ギャラリーのイチ押しの作品が展示されているので、ギャラリーの雰囲気や流行を感じることもできました。


② ギャラリーの枠を超えた著名アーティストの作品を楽しむ!

アートフェア東京では2011年から「アーティスティックプラクティス」というギャラリーやジャンルを超えた企画展示が行われています。今年は「ヴェネツィアビエンナーレ」と「琳派」をフィーチャーした企画展示が行われていました。

「琳派はポップ/ポップは琳派」では、琳派400年を記念して”ド派手でPOP!!”な ”琳派的”な現代アート を特集し、蜷川実花さんから、金氏徹平さん、しりあがり寿さんらの作品が展示されていました。現代の日本でも人気のイメージって400年も前から続いているものなんですね。


③ トークショー・ガイドツアーでより深く作品に触れる!

会期中には多くのトークショーやガイドツアーが行われます。今年のヴェネツィアビエンナーレの日本館キュレーター・中野仁詞さんの旬なトークや、明和電機などのアーティスト本人の「創る」思考を伺えるトーク、また ”アートコレクター” 宮津大輔さんのナビゲートによるコレクター目線でのガイドツアーなども行われました。

私もトークやツアーに参加しましたが、作品を見ただけでは分からなかったアーティストやギャラリストさんの想いを伺うことができ、より深く作品を知ることができました。ポイントを押さえて解説していただけるので「会場が広すぎてどこから見ていいか分からない!」なんていう場合にも良いかもしれませんね。


■自分の部屋に置くなら?!妄想しながら作品を観る!!

では、実際に今年のアートフェア東京を巡ってみました。
折角なので「自分だったら何買おう?」という視点で気になったギャラリーを立体・絵画・陶芸から1つずつ、計3つをご紹介します。


アラタニウラノ

まずは現代アートゾーンの立体作品から。歯ブラシや本などの日用品の上に針金のようなもので創られたこちらの繊細なオブジェ。

岩崎 貴宏さんによる作品。なんとこれ、"しおりの糸”や”歯ブラシの毛”といった繊維を接着剤で固めてつくられているんです。

大量生産の日用品からつくられる手作業の繊細なオブジェ、綿糸や毛糸といった有機的な柔らかい素材でつくられた鉄塔のような無機質な強固な構造物、手に収まるサイズに再構成された観覧車のような見上げるほど大きな建築…といった、ひとつの作品の中におさめられた様々な対比が面白いですね。


Yukiko Koide Presents

続いて絵画。こちらは日本の”アール・ブリュット”(=正規の美術教育を受けていない人が生み出す芸術) の分野の草分け的なギャラリー。

オーナーの小出由紀子さんは1990年代にアール・ブリュットの作品を日本に広げるためにこちらのギャラリーを立ち上げられたそう。投資のようにアートが購入さていたバブルの時代に出会った「生の芸術」の素直さに魅了されたそうです。

こちらでは特に障害を持つ人のアートを扱う、シカゴの「Creative Growth Art Center」の作品を展示していました。まるで ”子どもが描いた絵” のようですが、柔らかい曲線とシンプルな色遣いで構成されていて、肩肘張らずに画面の面白さを楽しむことができる”親しみやすさ”を感じました。「日本的な”カワイイ”とか”ヘタウマ”といった感覚につながるところがあるのではないでしょうか?」(小出さん)とのこと。確かにそんなところで共感できるのかもしれませんね。


水戸忠交易

最後に、古美術・現代陶芸ゾーンから陶芸の作品。

こちらの ”ドット絵” のような陶芸作品は、増田敏也さんの作品です。

”ブロックのように角張らせて成形した粘土を1段ずつ積層してつくる” というまるで3Dプリンタのような作り方ですが、それは「縄文土器と同じ作り方」(ギャラリストさん)とのこと。遠目から観るとまるでプラスチック製のブロックで作られているようですが、近づいてみると素焼きした土に釉薬で色づけされていて、とても暖かみのある柔らかい色合いの作品であることに気づきます。

技法は陶芸としては「ありふれた技法」とおっしゃっていましたが、伝統的な”陶芸”から思い浮かべる堅いイメージとは違っていて、違和感なく部屋に置いて楽しめるのではないでしょうか。


**********

このように様々な楽しみ方ができるアートフェア東京。2015年は終了してしまいましたが、毎年開催されているので気になったら是非来年参加してみてくださいね。

**********

■DATA

アートフェア東京

日時:(一般公開)

3月20日(金)11:00-21:00
3月21日(土)11:00-20:00
3月22日(日)10:30-17:00

会場: 東京国際フォーラム 地下2階 展示ホール

入場料: 1-DAYパスポート 2,000円(税込)
3-DAYパスポート 3,500円(税込)

最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。