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末永史尚「ジェネリック・オブジェクト|Generic Object」 @gallery21yo-j

 あ、ブロックが置いてある。

 展示室を入り口から眺めて、そう思った。

 日用品を使ったインスタレーション作品なのかな?と思って近づいてみたら、大きさや色は似ているのに 質感は全然「それ」じゃなかった。

Unknown Sculptureシリーズ No.7 #6
末永史尚「ジェネリック・オブジェクト|Generic Object」 @gallery21yo-j

(末永史尚「ジェネリック・オブジェクト|Generic Object」 展示風景)

 抽象化したデザインと色をそのまま立体にしたみたいにも見えるけど、かといってすべての質感をなくしているわけではなくて、どの作品にも絵の具の跡が残っている。

 よく見れば本物とは全然違うのに、ブロック塀もメジャーもコピー用紙も、本来あるべき場所にあったら色と大きさだけで「それ」だと思って気づかないんじゃないかな。ひょっとしたら、普段は「もの」を「記号」のように見てるのかもしれない。

 そんなことを考えつつ、ぐるぐるといろんな角度から作品を見ていたのだけど、あるひとつの面だけを正面からみたら それはすっかり「それ」じゃなくなって、絵の具の筆跡が見える「抽象絵画」になっていた。

 末永史尚さんは、ものの大きさを精密に測って、木材とアクリル板でその形を再現して、抽象化してそれに似せた色を塗る、という”絵画”作品を制作しているのだそうだ。

 そうか、これって”立体作品”じゃなくて”絵画作品”なんだ。そう思うと はじめは日用品だと思っていた目の前のオブジェクトの見え方がまた変わってくる。

 自由が丘の駅からは少し離れたギャラリーだけど、感覚を揺さぶってくれる面白い展示だった。観に行ってよかった。

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■Unknown Sculptureシリーズ No.7 #6
末永史尚「ジェネリック・オブジェクト|Generic Object」 @gallery21yo-j(自由が丘) 

会期:2018年1月11日〜28日
時間:14:00〜19:00
休廊日:月〜水

インディペンデント・キュレーターのカトウチカのキュレーションで行われる「Unknown Sculpture」シリーズの第6弾として、末永史尚の個展がgallery21yo-jで開催される。
本展で展示される作品は、日常目にしているメジャーなどと同じサイズの立体パネルを制作し、その表面を模したように着彩したもの。キュレーターのカトウチカが「彫刻でも、日用品でもない何か。object=ものであると同時に絵画でもある何か」と例えるその作品は、末永が日常で感じている微妙で細かな差異を、そのままに鑑賞者へ提示する。

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