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ページという”フレーム”に囚われない 新しいマンガ ー尾焼津早織 「ハイパーフレーミング・コミック @ICC

 以前は当たり前のように紙で読んでいたマンガも、スマホ(ディスプレイ)で読むことが増え、”右から左”だけではなく、noteやcakesのように”上から下”に読んだりと、「読ませ方」に変化が出ています。

 そんな中、ディスプレイの中でさらに「読ませ方」を広げて提示してくれるのが、現在ICCで開催中の エマージェンシーズ!037 尾焼津早織 「ハイパーフレーミング・コミック」

 展示では、従来のマンガとも、映像作品とも違った、ユニークな作品が3点展示されています。

 例えば、「宇宙人、ひとり。」は、絵の中心から”ズームアウト”のかたちでストーリーがすすんでいきます。最初のコマが小さくなっていきつつも最後まで残る様子は、ストーリーの前半が「思い出」のように見えてくるような効果も感じます。

 また、「メリー・ゴー・ラウンド」では、円環状のコマをぐるぐると読み進めるようで、気づくと別のレイヤーにいる…まるで、らせん状にマンガを読んでくるような面白さがあります。

 「ハイパーフレーミング」とは、作者の尾焼津さんの造語で、「ページというフレームに囚われない自由なコマ構成が施された静止画のマンガをズームやパンニングといったカメラワークで読ませる手法」だといいます。

 こうした手法がユニークであるだけでなく、これら”フレーミング”を活かしたストーリー自体も面白く、楽しめる作品でした。

 8月3日(土)までです。

■エマージェンシーズ!037 尾焼津早織 「ハイパーフレーミング・コミック」 @ICC

会期:2019年5月18日(土)—8月3日(土)
時間:午前11時—午後6時
休館日:月曜日(月曜日が祝日もしくは振替休日の場合翌日)
入場無料

「ハイパーフレーミング・コミック」とは,尾焼津による造語で,彼女が作るマンガを元にした映像作品を指しています.ここで用いられる「ハイパーフレーミング」とは,ページというフレームに囚われない自由なコマ構成が施された静止画のマンガを,ズームやパンニングといったカメラワークで読ませる手法のことを指し,ストーリーの展開とともに全体のコマ構成を想像しながら作品に没入させることをねらいとしています.


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