16のテーマを ”地図”を片手に旅する ー「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」 @国立新美術館
国立新美術館で開催中の「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」。
ヨーロッパを拠点に活動する画家・彫刻家のイケムラレイコさんの大規模な個展です。
(会場は国立新美術館)
会場は、16のテーマの部屋に分かれたインスタレーションで構成されているのですが、それぞれの部屋が緩やかにつながり、そして循環するような構成になっています。
そんな 緩やかにつながるような構成のためか、展示室のところどころに散りばめられたイケムラさんによる「詩」のためか、なんだか 1ページずつゆっくりと本をめくっていくような感じのする展示でした。
これまでに何度もイケムラレイコさんとコラボレーションしている建築家・ フィリップ・フォン・マットさんが会場構成を手がけているとのことで、そういったところから、心地よいリズムで作品の世界に入っていけるのかもしれません。
(「コスミックスケープ」の部屋)
特に良かったのは、16の展示室の中でもひときわ大きな空間がとられ、その壁4面に巨大な風景画が展示された「コスミックスケープ」の部屋。風景の中に人や動物も溶け込んだような巨大な作品で、柔らかい雰囲気で描かれた美しさと不安が共存するような感覚が入り混じる作品のなかでは、教会の中のような厳かな雰囲気も感じられました。
一方で、印象的だったのは、1980年代を中心に木炭で描かれた「ドローイングの世界」の部屋。初期は不安・痛みのイメージが描かれているのに、その具体的なイメージが徐々に溶けていき、最後には、それ自体は何かわからないけど不安な空気だけ残るようになっていくようで。それが続く部屋の「少女」のペインティングにつながっていくように感じられました。
(「うさぎ観音」の部屋)
元々あまり多くの作品は知らなかったのですが、絵画だけでなく、彫刻や写真の作品もあり、世界観を楽しめる展覧会でした。(一部作品のみ撮影可能です。)
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■イケムラレイコ 土と星 Our Planet @国立新美術館
会期:2019年1月18日~4月1日
時間:10:00~18:00(金土~20:00)
休館日:火
観覧料:一般 1000円 / 500円(大学生)/ 高校生・18歳未満無料 / 2019年2月24日(天皇陛下御在位30年記念)は無料観覧日
本展は、2000平米の展示室と野外展示場も使い、イケムラが探求してきたテーマに基づく16のインスタレーションで構成。これまで手がけてきたすべてのメディアを網羅する約210点が展示される。また、40年にもわたる芸術的探求を経て紡ぐ、山水画の大作など近年の新たな取り組みにも注目する。
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