つづめる人々

新宿を「ジュク」、六本木を「ポンギ」などと発すれば、それは内藤陳の読みすぎであり、ダサいことこの上ない。直ちに私ども仲間からハミコにされたものだが、ダリル・ホール&ジョン・オーツを「ダリジョン」などと称す奴らを発見。ダセぇー!
連中はどうやら、つづめて言うのが通ぶっててカッコイイ、そう思っているようだ。ところが案に相違して当該のグループ、正式名は「ホール&オーツ」なので、どうしてもつづめたいなら

「ホルオツ」

でなければならない。これはこれでみっともないが。

なぜ人はつづめたい・略したいのか。言語学には最小努力の法則というのがあり、発音しやすい方、易きに流れる。例えば「いく」より「ゆく」の方が口を窄めたままで発音できるから

いま、会いにゆきます。

などと、雪の降るなか雪ちゃんに会いにゆく羽目になるのである。

しかし安易につづめると、時折赤っ恥をかく羽目に。サディスティック・ミカバンドを「サディミカ」とするのがいたから、みっともないよ、つづめるなら「ミカバンド」って言うんだよ。そう指摘したら真っ赤な顔して俯いた。
競馬でも、ジャパンカップをJCとするならまだ分からなくもないが、エリザベス女王杯を「エリ女」などと略す向きがある。これなぞエリザベス(人名)と女王(位階)が泣き別れであり、徳仁天皇を「ナル天」 ー うどんのメニューみたいだ ー とするに等しい。論外である。
略すなら、「女王杯」でしょうが。

ことほど左様に、つづめて言うのには慎重でなければならない。略すなら海外でも流通し、慣用句化しているもの(レッド・ツェッペリン → ZEP / ローリング・ストーンズ→Stonesなど)あるいは各語の並び、塊としての意味を棄損しないものにしなければならない。

では、〝ダリジョン〝ゆきます。
◆トッド・ラングレンの回でIt wouldn't have made any difference. 夏ですな。
https://youtu.be/prOYxFPoKSM

ダリルズハウス、オーツは出て来ないから〝ダリ〝か。

◆ボズの名曲、ロウダウン。クロメオと。

https://youtu.be/Xjbp_3CUPGE

そしてオージェイズ。
◆Love Train 
https://youtu.be/FSlO_g6-ZXM


〝ダリジョン〝連中の心底を穿ってみると、

・国内の仲間内でしか通じない省略形を使うことで他にマウントを取り、通ぶる
・ところがホール&オーツは世界的グループ。海外に〝ダリジョン〝は通用しないから、海外のファンと話す時はちゃんと「ホール&オーツ」と発する。

おそらくそんなところだろう。
内向きと言おうか、弱きに強ぶり強きに阿る心持ちと言おうか。卑しいなあ。
こんな連中、音楽以外の分野でもいません? きょうび。

同じ洋楽好きでも、俺は決してダリジョン連中とは、つ・き・あ・わ・な・い。


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