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マイベストバイ・ストーリー電動カーゴバイクと生活して3年と走行距離10,000キロレポートー「はしる」「とめる」編

 BRUTUS記念すべき1000号の特集は「人生最高のお買いもの。」。今回は私のマイベストバイである自転車大国デンマークが生んだlarry vs harry製のカーゴバイク「BULLITT」(以下、「ブリッツ」)のストーリーとともに、日々の生活の中でカーゴバイクはどこまで使える環境なのかも含めてレポートいたします。

電動カーゴバイクを購入するに至った経緯

 私がカーゴバイクという自転車に出会ったのは、オランダのアムステルダムでした。子どもを乗せて街なかを走る見たこともない自転車に驚ろくとともに、日本のママチャリ以上に楽しく、かつ子どもの乗る位置も低くくかつ座席が運転する人よりも前にあるので、いつでも子どもが目に入る安全性と安心感を感じ、いつかこんな自転車と共にあるライフスタイルに憧れたのが最初でした。
 そして、大人の人数分の自動車所有が当たり前の福岡のちょっとした田舎のエリアに住む中で、少なくとも子どもの送迎や日用品の買い物などで自動車に頼らず、そして生活の質や効率を犠牲にすることなく日常がおくれるかを試してみるべくカーゴバイクをまさにコロナ禍直前の県を跨ぐ移動の自粛がさけばれるギリギリに大阪のEURO BIKEさんへ注文に行ったのが2019年春でした。世界的なコロナの流行の中、欧米中心に自転車での移動がより注目を浴びる中、カーゴバイクの市場は急成長していきます。その状況をレポートは下記の記事で紹介しています。

 それでも半年も待たずに我が家にカーゴバイクがやってきました。宅配荷物の段ボールの大きさはいまでも忘れられません。カーゴバイクといっても2輪のものから3輪、4輪まで様々なタイプのものがあります。about your cityの小泉さんの記事でもそのラインナップの豊富さが伝わるかと思います。

カーゴバイクで「はしる」「とめる」の実際

「はしる その1」ー何を載(乗)せても抜群の走行安定感

 ブリッツの場合、全長が長く247㎝もあります。通常の自転車が190㎝程度のため、50㎝も長いことになりますが、この50㎝の荷台(カーゴ)があることで様々な用途に対応できることが実現しています。
 ハンドル操作は、少し練習すれば乗りこなせることができます。以前カーゴバイクの試乗会を舞鶴公園で開催した際には、みなさんすぐに乗りこなしていました。
 我が家のカーゴバイクの最大のミッションは朝の子どもの保育園までの送迎です。

朝の保育園のお預かりラッシュに自転車は気にせずとめることが可能

 ただでさえ忙しい朝の時間では、なかなか子どもを連れて歩くには遠く、荷物も多い保育園までの子どもの送りには、ほとんどの家庭はクルマでの送迎になります。自転車や徒歩での家庭は1割もいません。

「はしる その2」カーゴバイクで福岡都心部までを走る

 ブリッツは全長こそ長いのですが、幅は通常の自転車と変わりません。そのため、クルマが渋滞している際などは、路肩の隙間を普通の自転車と同じようにクルマの列を抜き去っていくことが可能です(三輪のカーゴバイクの場合、横幅が大きいためこれができません)。
 注意点としては、カーゴバイクは自転車の歩道通行が許可された歩道でも走れない点です。そのため、原則車道を走行することになります。車体も大きく目立つので、クルマもいつも以上に離れて抜いていくような印象です。
 カーゴバイクの優れた点は走行性の良さです。これは一般的な子ども乗せ自転車と大きく異なり、スポーティーに走る性能も有しています。これは電動アシスト自転車とe-bikeの違いといえば分かりやすいと思います。
 ブリッツの本国デンマークのコペンハーゲンの街を走るブリッツの楽しい動画は以下の参照ください。

「とめる」都心でカーゴバイクはとめる場所があるか問題

 走れても自転車をとめる場所がないと意味をなしません。この点福岡市は鉄道駅には必ず充実した自転車駐輪場の整備が官民連携で行われています。筆者は天神勤務のため、近年新規で整備された市営駐輪場をはじめ、民間開発ビルでも付置義務駐輪場制度により充実した駐輪施設が整備されています。

天神にある市営駐輪場。近年多目的対応のスペースが設けられており、カーゴバイクも駐輪することが可能。
天神ビジネスセンター駐輪場。免振構造のビルの隙間空間を活用している。手前のバイクスペースが将来カーゴバイクスペースとなるといい。

 筆者の調査では、このほかに天神のジュンク堂書店、六本松の科学館・蔦屋書店が入る六本松421、博多だとKITTE博多の地下駐輪場などが駐輪ができそうです。ただし、とめられる場所は他の利用者の通行を妨げない場所にとめる配慮が必要です。
 現状はカーゴバイクのような自転車がそもそも想定されていないが、比較的駐輪スペースに余裕のあるため、とめることができる状態です。やはりきちんととめられるよう欧米のような位置づけが必要と感じます。

今回はカーゴバイクが実際に「はしる」こと「とめる」ことについてレポートしました。次回は実際の便益、どれくらいの経済的なところ。そして環境負荷としての観点からカーゴバイクのある暮らしを深めていきます◎

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