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2019年夏の参院選でも争点となって欲しい「最低賃金」や就職氷河期世代への支援政策のホントのところ

今回もビデオニュースドットコムさんの動画をかみくだいた記事です。

実は自分も就職氷河期世代ということで、この辺りのニュースは気になっていました。この世代の30万人の就職を支援するような政府発表が流れ、いよいよ本腰を入れるのか?などと思っている矢先、ビデオニュースさんで特集するということでチェックしました。

ところで、このテーマについても素人なのでミスリードあるかもしれませんが、関係者の方はご指摘いただければありがたいです。ただのおじさんに優しくしてください。

このニュースを見る視点

最低賃金の話は全ての年代に関連することですが、就職氷河期世代の話は自分や家族に該当の人がいなければ関係無いのですが、やはり国がどのように国民の生活をサポートしていくのか、という基本スタンスに繋がりますので何が起きているか知っておきたいところです。

■ 最低賃金について
アルバイトやパートをしている方はよく見る数字ですが、改めて最低賃金についておさらいしておきましょう。

最低賃金(さいていちんぎん)とは、最低限支払わなければならない賃金の下限額のこと。
Wikipedia「最低賃金」

2019年7月現在、東京都では985円となっており、一番低いのが鹿児島県で761円です。
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

就職氷河期世代について
この定義については動画内でも触れられていますが、1993〜2004年に就職した人のことを指すそうです。この期間は有効求人倍率が1倍を切っていたため、就職しずらかったことから命名されたようです。

ビデオニュースドットコムのダイジェスト動画

10分程度のダイジェストが見れます。この記事はこのダイジェストを解説した記事になります。

会員になると、全編の2時間程度の動画が見れるようになります。
ビデオニュースドットコムのページはこちら。

1. この動画のポイント

この動画は上記の動画に登場している「藤田孝典氏」は「NPO法人ほっとプラス」の代表理事をされている方で、現場で生活に困っている方のサポートをされているということです。

簡単に動画の内容をまとめますと、
・働き方や賃金が低すぎて、労働者の疲弊がすごい
・非正規労働者と正社員の差が縮まっており、正社員を増やしても意味がなくなりつつある
・政府が掲げる「就職氷河期世代支援プログラム」は、これまでの対策の延長線上にあり効果が出るとは思えない

というような内容になっています。

やっぱり選挙前に発表される政策というのは、本当に中身の無い政策なんですね!

ちなみに今回は神保哲生さんはお休みで迫田朋子さんが司会です。
丁寧に優しい目線ですが、深く掘ってくれることは神保さんと一緒で、とても好感の持てる方です。


2. 就職氷河期世代の現状

前述の「1993〜2004年に就職した人」、つまり就職氷河期世代ですが、どのような働き方をしている人が多いのでしょうか?

なんと、働いている人の22%にあたる371万人がいわゆる非正規労働者なのだそうです。これは他の年代よりも多く、やはり最初の就職でつまづいたことが原因と考えるのが良さそうです。

非正規労働者の生活

もちろん望んでいたり、高給の非正規労働者もいるでしょうが、多くはその都道府県の最低賃金の+50円や+100円程度の時給で働いていることが多いということです。
例えば前述に鹿児島県であれば850円の時給で働いた場合、
850円 × 8時間 × 20日 = 136,000円
になります。
もちろんボーナスも無いでしょうから年収163万円、、、これでは自分一人が生活することも困難そうです。

若者は車を買わなくなったなどと揶揄されるけれど

このような状態では、上の年代の先輩が常識としてきたような、
・世帯を形成すること
・マイホームを買う
・定期的に車を買い替える
ということは難しいと藤田氏は指摘しています。お金を自由な消費に回すこと自体が難しい状態と言えるのです。

そして「ひきこもり」になる

氷河期世代を中心にした非正規労働者の方は、こんな現状の中どのような状況に追い込まれていくのか。
「厳しい労働環境なら社会に出たく無い」
「労働市場や世間と関わりを持つことすら嫌だ」
という結論になるのはしょうがないことだと言えるでしょう。


3. 増えている「名ばかり正社員」

それでは頑張って正社員を目指せばいいのか?
そうとも言えない状況が広がっているようです。

正社員と非正規労働者の差が無くなってきている

非正規労働者の生活が苦しいことは前々から言われていたことですが、最近は正社員として雇われていても環境が悪く、中には非正規労働者よりも大変な状態の人もいるそうです。
正社員は時給換算では無いので、場合によっては残業もつかないような契約の場合もあります。20万円もいかないような月給で雇われている場合は、長時間労働も重なり非正規労働者よりも時給換算給与が減ることもありそうです。

いわゆる日本型雇用での正社員は減ってきている

日本型雇用とは、
・終身雇用
・年功賃金
・手厚い福利厚生
・労働組合がある
のことを指しており、このような良い条件の正社員が減ってきているということです。
確かに、これが無いのであれば正社員と非正規労働者の違いは、少しだけ首にされにくいぐらいの違いしか無くなってきていると言って良さそうです。


4. 今回政府が発表した「就職氷河期世代支援プログラム」は期待できるのか

内容を見る限り、いろんな施策を打ってくれそうな内容です。
実際のところはどうなんでしょうか?

施策に新しい内容が無い

雇用の支援について長く見てきた藤田氏から言わせれば、今回の施策には目新しい内容は無いということでした。
動画内では「リカレント教育」について触れていますが、ヨーロッパなどで言われるリカレント教育のような仕組みが短期間で作れるはずもないとのこと。

リカレント教育とは、義務教育や基礎教育を終えて労働に従事するようになってからも、個人が必要とすれば教育機関に戻って学ぶことができる教育システムを指します。
BIZHINT「リカレント教育」

確かに、今仕事に困っている人に2,3年かけた文化的な教育をするというのは的外れな感じがしますね。必要なのは実務的な職業訓練のようなものでしょう、、、

非正規雇用で働く者30万人をを正社員にするという施策の難しさ

施策の中では30万人を正社員にするという施策が盛り込まれています。
「やらないよりやったほうが良い」という意見もあるとは思いますが、どうやらこれは「やってしまうと問題がある」施策のようです。

経験が少ない氷河期世代を労働市場に押し出すことの無謀さ

30代、40代が多い氷河期世代を、そのまま正社員にすると何が起こるでしょうか。
まず年下の後輩が上司になるような環境で人間関係もうまくいかないでしょう。ストレス、軋轢もあるでしょう。そんな状況でどれだけの人が仕事を続けられるのかと考えると厳しそうです。
対等に渡り合えるような、競争できるような技術や力をつけた上で労働市場に送り出すという丁寧な施策が必要なことは明白ですね。こういった強硬なやり方は欧米ではありえないことだそうです。

5. 宮台真司氏の社会学から見たまとめ

今回はゲストよりも長いくらい熱弁してくださいました。宮台先生。

社会がやせ細っている

日本の近年の「社会」と「経済」の関係の特徴は、
「経済が回っていて、社会が回らない」
言い換えれば、
「社会の穴を、経済が埋めている」
ということだと言っています。
そして最近はより酷い状況になってきており、
「社会を削って、経済に盛る」
ということをしていると指摘しています。

確かに、最近の日本では国民の体感的に経済的に落ち込んできている感じがするので、社会的な関係よりも自分の生活がお金的に豊かであることを保とうとしているような気がします。

大事なのは「経済指標」より「社会指標」

宮台氏が「社会が包摂的であることが重要で、経済が回らなくなったらすぐに路頭に迷う」と言う社会はかなり寂しく悲しい世の中のような気がします。
貧困はどの社会にもあるでしょうけれど、家族や友人が助けてくれれば死ぬことは無いわけです。そのような大切な感覚を一人一人が持てなくなってきていることが、誰にも優しくできない世の中を作っているのかもしれません。


そんなわけで、一応解説はしたものの私の解説ではよくわからないという方や内容をもっとよく知りたい方はビデオニュースドットコムをご覧くださいませ。(投げやり)


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