見出し画像

【LoL】MSIの"悪役"!? LEC代表G2 Esportsを見てくれ

 待ちに待ったMSI 2022が開幕した。世界中から集まった最高峰のチームたちが一体どんな戦いを見せてくれるのか、早くも胸が高鳴ってやまない。
 今大会の見どころは枚挙に暇がないが、おそらく日本のファンとしては「T1がぶっちぎり優勝を飾るのか」と「日本代表DFMがどこまで行けるか」に関心を向けている人がほとんどだろう。しかしここは敢えて、もう一つ別な視点を提案したい。それはT1を止め得るEUからの刺客、G2 Esportsに注目するというものだ。国際的な競技シーンに明るくない方も、是非このチームだけは知っておいてほしい。

G2 Esportsとは

EUの強豪であり"悪役"?

 G2 Esports(以下、G2)は、ドイツを拠点として活動するマルチゲーミングチーム。LoL部門は2016年にEU LCS(現・LEC)に参戦して以降、長年にわたってリーグ最上位の好成績をキープし、2019年のMSIでは優勝も成し遂げたEUきっての強豪だ。
 特徴的なのは、チーム強化への貪欲さと悪役ヒールじみた振る舞い。潤沢な資産でライバルチームからスター選手を引き抜いて最強のチームを作っては大暴れし、SNSでは試合の最中にも怒涛のトラッシュトークを仕掛けていく。その姿は痛快かつ鮮烈で、世界中に数多くのファンと、それと同じくらいのアンチを量産している。最高にクレイジーなエンタメ集団、それがG2だ。

資金力を誇示するオーナーのOcelote

2022年は再起の年!

 そんなイケイケのG2だが、昨年のLECでの成績は惨憺たるものだった。長らくチームの柱であったスーパースター選手のPerkzを失い、代わりにこれまたスーパースターのRekklesを鳴り物入りで獲得したものの、これが意外にもチームにマッチせず低迷。かつては世界を制したはずの選手たちのパフォーマンスも奮わず、優勝はおろかWorlds出場さえ逃してしまう結果となった。
 ついでに、昨年はLoL部門以外でもほとんどのタイトルで例年より成績が落ち込んでしまっている。2021年はG2にとって悪夢の1年だった。

 そして2022年、G2は心機一転して再出発を目指す。不甲斐ない結果で失望させてしまったファンたちに向けて、オーナー自らが歌うクソかっこいいテーマソングとともに堂々と再起を誓った。
 リビルドが進むG2の中では当然LoL部門も例外ではなく、ついに意を決してチーム再編に乗り出す。複数年契約を結んでいたかつての最強メンバーにも別れを告げてTop・ADC・Supの3名を入れ替え、コーチやサポートスタッフにも新たな人材を呼び込む大胆な改革に打って出た。
 G2にしては珍しく(?)実績のないニューフェイスも迎え入れた今シーズンのロースターは、レギュラーシーズンでは若干の不安定さを見せ、プレイオフでも一度は敗者側に落ちてしまったものの、そこから12勝0敗の猛追で逆転優勝。Spring Splitの全日程を費やしてチームの完成度を限界まで仕上げ、リビルドの選択は大成功だったと世間に知らしめた。

スターティングメンバー紹介

TOP:Broken Bladeブロークン・ブレード

 ドイツ出身、2000年生まれの22歳。通称BB。
 レーンを支配する飛び抜けた1vs1の強さから「The Topfather(トップの首領ドン)」の異名を持つ。昨年までのG2のトップレーナーWunderを何度も叩き潰したことを買われてG2に加入した(と噂されている)。TSM時代にはLCSを制覇したこともある、NAとEU両方で優勝を経験した数少ないプレイヤーの一人。
 幼少期からサッカーが好きで、トルコのガラタサライSKのファン(BBはトルコ国籍も持っている)。

JG:Jankosヤンコス

 ポーランド出身、1995年生まれの26歳。
 チーム最年長、LEC史上初のリーグ通算300勝を挙げた大ベテラン。ファニーな振る舞いからネタキャラとしても愛されていて、特に近年はあらぬ方向にスキルショットを飛ばしておじいちゃん呼ばわりされることも増えたが、それでも依然としてEU最強のジャングラーであることに変わりはない。槍が当たらないと評判のニダリーでも7割を超える勝率を叩き出している、極めて高いゲームコントロール力の持ち主。
 ショットコールを含めとにかく試合中によくしゃべる選手で、リーグ公式のVC動画シリーズ「Mic Check」では彼だけの特集編が用意されるほど。

MID:caPsキャップス

 デンマーク出身、1999年生まれの22歳。
 ミッドレーナーの宝庫たるLECでひときわ輝きを放つヨーロッパの至宝。調子に波があり、良い時には「Claps称賛」、悪い時には「Crapsごみ」と呼ばれたりもするものの一貫して大舞台には強く、今季のプレイオフでも獅子奮迅の大活躍を見せつけた。キャリアも長くなりプレイスタイルも落ち着いてきたが、勢いに乗った時の凄まじい爆発力は健在。今回のMSIで最も”乗せてはいけない”プレイヤーだ。
 今年は登録名を「Caps」から「caPs」に変更。本人曰く、これは「Cons(短所)」より「Pros(長所)」を目立たせたいという意思の顕れらしい。

ADC:Flakkedフラケッド

 スペイン出身、2001年生まれの21歳。
 新たにG2に加わったスーパールーキー。デビューシーズンとなる今季は、トップサイドに比重を置くチームの方針もあってレーニングで苦しむ試合こそ多かったが、プレイオフまでの戦いの中で大きく成長。序盤にどれだけ凹まされようとしっかりファームを稼いで集団戦では安定したダメージディールを遂行する、コスパ最強のウィークサイド・キングへと変貌を遂げた。
 実家で飼っているアヒルを溺愛していることで知られており、もはやアヒルそのものが彼のことを指すというミームが成立している。

公式ティザーにも登場したアヒルのテトンちゃん(写真左)

SUP:Targamasターガマス

 ベルギー出身、2000年生まれの21歳。
 2018年にLEC出場を果たしていたものの、学業などを理由に競技シーンから離れていた知る人ぞ知る才人。昨シーズンまではフランスリーグLFLで優勝請負人とも言える仕事ぶりを見せており、満を持してG2に加入した。とんでもなく広いチャンピオンプールと卓越したメカニクス、さらには豊富なBan/Pickの知識までも活用し、ゲームメイクを裏から取り仕切るマスターマインド。
 お金持ちの紳士で、中学生まではテニスプレイヤー。LoLのプロ選手になりLEC優勝、しかもイケメン。世界はあまりに不公平だとファンの間で話題に。

MSI 2022では主人公か、敵役か?

 今大会のG2は、優勝候補最有力のT1を打ち破りうる対抗馬の筆頭だ。世界大会の舞台で過去に何度もT1を破っているチームはG2を置いて他にない。世間の期待を裏切って、主人公の座に躍り出ることに期待したい。

 生まれ変わったG2は、プレイスタイルも一変した。G2と言えばマップのどこからでも試合を作る2020年までの印象が強いかもしれないが、今年のG2はかなりの試合でトップヘビーな展開を好んでいる。基本的にボットレーンの新人コンビには耐えてもらって上半身で試合を支え、オブジェクト周りの集団戦で一気に加速するのが主なパターンだ。強力なソロレーナーにガンクの得意なJankosとロームの得意なTargamasが加わって、そのままゲームを破壊し尽くしてしまうことも珍しくない。
 もちろん、マップを広く使った独特のマクロゲームが失われてしまったわけではない(昔ほど上手くはいかなくなったが)。caPsを中心に、選手たちの勝利への嗅覚は軒並み鋭く、とりわけグローバルUltを持った時のゲームテンポは格別。いつも通りの力が発揮できれば、国際大会でもその破壊的な強さを示してくれるだろう。

 とはいえ、これまでの世界大会の数々を振り返ると、あともう一歩というところの重要な局面で大クラッシュを起こして派手に敗北してしまうのもまたG2の特徴。やはり憎まれキャラゆえか、やられ役としても一級品の姿を見せてしまうのが悲しいところだが、これもまた持ち味のひとつとして楽しめる余裕は持っておきたい。

(ライバルチームにも語り草にされる始末)

 果たして今大会のG2は主人公となれるのか、はたまた敵役として散っていくのか。いずれにしても大会を大いに盛り上げてくれること間違いなしのエンタメ集団から目が離せない。

 最後に、G2応援が100倍楽しくなる公式TwitterとYouTubeチャンネルを紹介しておく。敵チームも自分チームも構わず煽り散らして無限にネタを提供してくれる、ファンにはたまらない最高のコンテンツだ。



この記事が参加している募集

LoLを熱く語る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?