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100人のサンタ🎄

寒い寒い、一年中雪が降るある国にサンタクロースの森があります。

そこには、100人のサンタクロース達が住んでいます。


サンタクロース達はイチタからヒャクタまで居て、一年中、世界中の子供達に配るプレゼントの準備をしています。

世界中には、たくさんの。本当にたくさんの子供達がいるので、サンタクロース達は100人居ても毎日とても忙しいです。

サンタクロースの森には、大切に大切に育てると、クリスマスがやってくる前までにクリスマスプレゼントの実をたわわに実らせてくれるモミの木が沢山あります。

サンタクロース達は、毎日モミの木と会話します。子供達が希望しているプレゼントのお話など、色んなお話をします。モミの木とサンタクロース達は仲良しです。

今日は12月24日。クリスマスイブ当日の朝です。

サンタクロース達は、今日の夜に配る子供達へのプレゼントの準備で大忙し。

そんな時、

「こんな仕事、やってられるかー!」

声の主は、ヒャクタです。

ヒャクタは、イスにドッカリと座り込み、足を組んで大声でわめき散らしました。

「オレ知ってるんだぜ。どんなにプレゼントを頑張って準備したって、子供達から感謝されるのはサンタだけなんだぜ!いいや。子供達だけじゃない!みんなみんな世界中の人々は、サンタ、サンタって!サンタだけがチヤホヤされるんだ!あぁ、そりゃサンタはオレと違って優等生さ!」

ヒャクタは完全にすねています。
プレゼント作りの仕事は放り投げてしまいました。

でも、クリスマスイブも今夜に迫ったこの忙しい時です。サンタクロース達はそれぞれ自分の持ち分の仕事だけで手一杯です。

そんな中1人が仕事をサボったら、そのぶんだけプレゼントが子供達に届けられなくなります。

サンタクロース達は、大変は事になった。と、ただただ慌てふためき、オロオロ、ザワザワしています。

でも、ただでさえ1人1人のサンタクロースは自分の仕事で精一杯なので、ヒャクタの仕事を手伝う余裕がありません。

サンタとヒャクタの仕事場の距離は離れていましたが、サンタクロース達がとてもオロオロ・ザワザワと騒いでいるので、サンタがヒャクタの不満を聞いて、ヒャクタのところへやってきました。

そして、ヒャクタに近づいてサンタは話し始めました。

「ヒャクタ。。。ヒャクタも同じ仕事をしているのに、世界中のみんながクリスマスイブが近づくと、サンタばかりをチヤホヤするから、もうこの仕事をやってられないと言っているそうだね。」

「それに、僕の事を優等生って。。。僕は優等生なんかじゃないよ。
みんながサンタって呼ぶのには、理由があるんだ。聞いてくれるかい?」

「僕達はこの仕事をしてもう随分経つけど、僕はあるクリスマスの夜。。。」

「。。。僕達のプレゼント配りのルールで、‘’子供達が必ず寝てしまってから配る‘’っていう一番守らないといけないルールがある事を、ヒャクタも知っているよね?」

「でも、僕。。。ある年のクリスマスの夜。。。」

「まさか。。。」

「そう。その、まさかだよ。。」

「寝ている子供から順番にクリスマスプレゼントを配っていたんだ。
そして、最後の子供の枕元に置こうとした時。。。」

。。。。。     。。。。。     。。。。。     。。。。

子供「。。ん?むにゃむにゃ。。だぁれ?」

サンタ「あっ!」

子供「おじさん、サンタって名前なの?」

。。。。。     。。。。。     。。。。。     。。。。

「。。。子供が目を覚ましてしまったんだ。しかも、僕の名前まで見られちゃった。
それからなんだよね。
クリスマスイブにはサンタさんが来るってみんなが言い出したのは。
子供達は僕達が100人兄弟だって知らないんだ。だから、プレゼントを配っている100人の兄弟の事みんなをサンタだと思っているんだよ。

もしその時にキミが見つかっていたら、今頃はヒャクタさんまだかなと子供達がワクワクしていただろうよ。」

。。。!ヒャクタは、その話を聞いてハッとしました。

そして、その話を聞いていたイチタが言いました。

「そうか!」

「‘’サンタさん‘’は、‘’ヒャクタさん‘’になっていたかもしれないんだね!」

ヒャクタはシュンとして言いました。

「そうとは知らず、酷い事を言ってゴメンよ。サンタ。。。」

「でも、その時見つかっていたのがオレだったら。。?」

ヒャクタはそう言いかけて、自分の事を今か今かと待っている子供達の事で胸がいっぱいになりました。

「今年も、あの可愛い笑顔に会いたいな!」

ヒャクタはそう言うとヤル気が湧き、

「よーし!みんな頑張ろう!!」

と、元気いっぱい大声で叫びました。

そして今度は、100人みんなで

「おーーーーー!!!」

と、大きく大きく声を合わせました✨

そして、そのイブの夜。

クリスマスプレゼントを袋に入れ、100人のサンタクロース達は世界中の子供達みんなにプレゼントを配りました。

次の朝、プレゼントを見つけた子供達の笑顔を想いながら。。。✨


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