「イノベーションを起こすには社会構造まで改革する必要があるー。 」 BIG PICTURE BOARD 小泉 文明

この度、Public Meets Innovationへのアドバイザーとして就任することになりました。

▶︎現職について

現在は株式会社メルカリにて、取締役社長兼COOをしています。フリマアプリ として多くの方に親しんで頂いているメルカリではありますが、今までにない新しい概念のサービスでもあります。

だからこそ、社会と共存する上ではきちんと “ルールメイキング” することが重要。

ですので、自社でも政策関連の情報発信を行う自社ブログ「merpoli(メルポリ)」 や「mercan(メルカン)」をオープンするなど、情報発信にも力を入れています。

“社会の波をつくるには、社会構造まで改革する必要がある”

▶︎小泉が考える “イノベーションと政策における課題”

自分は今までの経歴でも、mixiなどの産業の、先進かつ中心でイノベーションを生み出してきました。

僕は昔から “社会の波を作りたい!” という思いが強かったんですよね。

既にある波に上手く乗るというような「デザインされた社会で過ごすこと」よりも、自分達で波を作り、自ら産業をデザインしたかったんです。

しかし、どうしても新しいことをする際には、何かしらの問題や、否定的な意見が生まれます。

産業を発展させていく上では、テクノロジーによるイノベーション。そして支えていく法律や規制という社会構造の理解。それら全てにおいて、“時代に合わせた改革” が進まないと調和することはできないと感じてきました。

さらに問題なのは、これから。

その理由として、今までPCの世界市場の広がりに限界があったことも、スマートフォンの普及で急速にインフラ化できるようになった。今後は身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoTの日常化が進む中で、とても早いスピードでどんどん世の中アップデートされていくはずなんです。

つまり、今までは “インターネットに閉じた社会” にテクノロジーを導入していたのが、 “リアルな世界に” テクノロジーが入ってくるようになり、おそらく既存の社会構造では対処できなくなる問題が出てくるのではないかと予想されます。

だからこそ、きちんと “ルールメイキング” をしなければなりません。

既存のルールが無い分、データポリシーなど扱いの難易度が高く難しい領域ですが、一方で、今日の時代のルールメイキングはクリエイティブにもできますし、逆にすごく花形になる分野でもあるので、ある意味チャンスなのではないかと思いますね。 

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“社会を良くしていきたい” と思っている以上、サービスの成長だけでなく、公共政策も平行で進めていかなければならない

▶︎PMIに賛同した理由

このように “社会を良くしていきたい” と思っている以上、サービスの成長だけでなく、公共政策も平行で進めていかなければならないと、昔から感じてきました。

ですのでPMIの活動にも賛同しましたし、メルカリに入る前から社外で発言させていただく機会もありました。

それは、先ほどの波の話のように、外野ベースで決められた波に乗るよりも、中に入って、一緒に波を作る議論に加わった方が、僕は好きだったので。

ですが数年前は、そうした公共政策の現場において、IT企業やベンチャーの意見って、中々聞いてもらえなかったんですよ。

なぜならそういう機関の主要な方々は、ネットやテクノロジーに対してのリテラシーが低いことが多く、自身の考えを伝えても正直理解していただくのが難しくて…。

もしかしたらその当時はまだ時期が早かったのかもしれないですね。

だけどインターネットのインフラ化が進んだ今、フェーズが変わり、僕らのようなイノベーターに対する意見のニーズが強くなってきているようにも感じます。

実際に、昨年末加入した経団連においても、伝統的な大企業が多い中、最近ではIT企業やベンチャーが入会しやすくなる環境を整えていたり、頼られる立場へと変わってきているのではないかと思います。

最近は既存市場のプレイヤーも、オープンイノベーションに参入する時代になってきています。本来はレガシーと新産業と壁をつくる必要はないはず。一緒に手を取り合いながら、制度やルールをはじめ社会構造をアップデートしていく必要があるのではないでしょうか。

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官僚は 「未来思考」であってほしいー。 

▶︎PMIに期待すること 

きっと彼らも官僚になった時の夢は、“社会を変えたい” とか、“日本の法をデザインしたい” という「WILL」があるはずなんです。

そうした意思を持ち続けることが大事なはずなのに、いつしか日々の業務に忙殺され、作業化…。さらには、新しく何かを実現するためにも、既存の何かを変えるためにも、いくつものハードルがあるので、中々改革の見通しがつきづらいのが現状なのではないでしょうか。

中には「WILL」が強い人ほど “テクノロジーやネットを使えば、もっとスムーズに社会を変えられるのでは?” と気付き、こっちに来るケースもありました。

どちらにせよ、今の世の中動きが早いので柔軟にアップデートする必要があります。それがもしかしたら、自己否定が必要な場合もあるかもしれません。

そもそも、「◯◯省」という形式自体は、国民からしたら正直どうでも良いんです。

ですので、官僚として社会を変えていきたいのであれば、所属にとらわれず、未来を見据えた広い視野で見てほしいですね。

とはいえ、霞ヶ関だけでは限界があるはず。

だからこそ、PMIのような一歩外での交わる場に参加することが必要だと僕は思います。

それを内部からの目とか、癒着だとか気にして怖がるのではなく、むしろ産業を発展させる上では基本的なことですし、昔からそうした交わる機会は設けられていました。

イノベーション界隈の世界を知らないのであれば尚更、自身の視野を広げるためにも、日本の未来のためにも、まずはそうした人達の話を直接聞くことから始めてほしいなと思います。

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”起業家の多くは公共政策に関わるメリットを知らないのが現状ー”

イノベーターと呼ばれる、起業家や経営者の多くは正直、公共政策に携わるメリットをほとんど把握していないのではないかと思います。ですので、残念ながらPMIの意義もまだまだ伝わってないのが現状なのではないでしょうか。

そんな中、メルカリで先日、若い政治家を集めた勉強会を開催したんです。その際に彼らにも参加してもらったのですが、どうやら様々な気付きがあったようで…。

そのうちの一人。AIを利用するサービスを開発中の若手起業家においては、「今の自分達のサービスでは、社会を変えるどころか、ルールメイキングしないと企画倒れするかもしれない!」と気付いたそうです。

このように、一度公共政策の場に参加するだけで、マインドも変わるし、新たな学びもあります。

闇雲に “わからないからいいや” じゃなくて、先ほどの若手起業家のように、実はそこが重要なピースだったりする可能性も大いにあります。

ですので、PMIのような公共政策の場での繋がりは、世にサービスを提供する上では必要不可欠で、むしろ早い段階からそういう場を知っているということはラッキーだと思いますよ。

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”本来ならば、行政の人や、法律家もイノベーターであるべき”

最後に、“イノベーター” というと、僕ら経営者や起業家のことを指されるがほとんどだと思います。

しかし、本来ならば、行政の人や、法律家も、イノベーターであるべきなんですよね。

なぜなら、社会と共存する上で、どこか欠けていたらイノベーションは起こせませんし、ルールメイキングが間違っているとイノベーションは止まってしまいます。

だからこそ、もっとフラットな立場で「この法律古くない?」とか、「この働き方おかしくない?」という、つぶやきベースで終わらせない姿勢が必要です。

そこから、各自の武器を最大限に使って出来ることを進める。さらに相互が協力して風呂敷を広げていく。

そうした流れがもっとスムーズになれば、大きな何かを変えることができるかもしれません。

それでもやはり、国を動かすのは結構ヘビーなこと。

きっと短期的に出来ることは少ないかもしれませんが、焦らずに、確実に、まずは成功事例の「見える化」から。

その代わり、中途半端なことではなく、未来から逆算したでっかいことを、いつかPMIで実現して欲しいですね!

期待しています!!

PMI BIG PICTURE BOAD
小泉 文明

早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2006年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任、2017年4月取締役社長兼COO就任。

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