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肩こり持ちの14歳が28歳で整体師になって開業するまでの話。#8

群馬県民は、公共交通機関をほぼ利用しないで生活していることで有名です。
私もそんな中のひとりでした。
学生時代は電車通学でしたが、自分で車を運転できるようになると、本当に電車からは疎遠になります。

新幹線の乗り換え(!)という人生初の贅沢な乗り換えをして、新大阪。そこから在来線に乗り換えて、研修先の店舗最寄駅に降り立つとそこには

スーツのサラリーマン、買い物袋を提げたおばあちゃん、ベビーカーを押す女の人、学生さん、ランドセルを背負った小学生

すっげぇ!都会だ!!!

お祭りでも何でもない平日の昼間なのに、駅前に人がたくさんいることにビビりまくり。
そんな中で大きなスーツケースをガラガラと引きずっている私は、明らかによそ者でした。

ザ・田舎者。関西に降り立つ。

ーーいやいや、とにかく本部の店舗に辿り着かなくては。

聞きなれないイントネーションにそわそわしながら歩き回り、やっと見慣れた看板を見つけた時はホッとしました。
店舗の受付に、人のよさそうな男性が立っていました。

「こんにちは!群馬から来た根岸です!お世話になります!」

そう言うと、その男性は

「おっ、来たかー。よろしくー!」

と言って、にっこり笑いました。

よかったー!優しそうなひとだ!

Mさん(社長)から聞いとるよー、と言ってバックヤードに案内してくれたその男性は、T先生。これから超絶お世話になる方です。
ざっとこれからの説明を受けていると、一緒に研修を受ける同期がやってきました。

「はじめましてー!」

うわぁ『はじめまして』のイントネーションも関西は違うんだ!と思った相手はYちゃん。
私より2つ下の、可愛らしい女の子です。

「今施術中やけど、あの人がS先生。2人で研修を担当するから」

どんな人かはよく見えませんでしたが、S先生はどうやら女の人らしく、とにかくみんな優しそうで、それだけでホッとしました。

ここでは、私が一番下っ端だ。
なるべく迷惑かけないようにしなきゃ。
何より雑用は率先して動こう。

「じゃあ先に倉庫向かっといてー」

T先生にそう言われ、倉庫?と思いながらYちゃんについて行きました。
そこは本当に商業ビルのテナント用に貸し出されている倉庫スペースの1室で、店舗に置いてあるのと同じベッドとホワイトボードが置いてありました。
聞けば、ここで座学から実技から教わるとのこと。

そっかー。
…ここ窓はあるけど、空調はないんだ。
……何だか埃っぽい。

何となく「左遷」という文字が頭にちらつきます。

ーーいや違う。ここから始まるんだ!

そう思い直して、わくわくしていたのですが。

私たちを待っていたのは、痛くて、苦しい、先の見えない試練でした。


次回に続きます。

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