東京ばななとおばあちゃん
今日の日中は、従兄弟の伯母さんを連れて、
おばあちゃんのお世話になっているグループホームへ。
「あら〜、あんたそんなにおっきくなって〜」というのが、自分を見た時のおばあちゃんの口癖だ。
「今は東京に住んでるから」とおそらくもう10回以上は聞いたであろう前置きをしつつ、「お土産買ってきたよ」と東京ばななを差し出した。
すると、おばあちゃんが、
「実はうちの旦那も、東京に暮らしてたことがあって、きっと喜ぶから、わたしは今かじりつきたい気持ちをこらえて、旦那が帰ってきたら一緒に食べます」と言った。
そうか、おばあちゃん、色んなことを忘れてしまっても、おじいちゃんを愛する想いは忘れてないんだ。
孫が結構前から東京に住んでいることとか、ここが自分の家ではないこととか、おじいちゃんが本当はもうこの世にはいないこととか、それらの記憶が滲んでしまっても、決して"おばあちゃん"を滲ませはしない。
その"想い"さえあれば、今のおばあちゃんをおばあちゃんたらしめるには十分。
素敵な生き様じゃあないか、おばあちゃん。
あっぱれだなあ。
そんなことを思った数分後、おばあちゃんが一言、「これ、今食べたいから開けてくれないかい」
いや、けっきょく食べるんかい。
3人で美味しく東京ばななを食べた、冬の昼下がりの束の間の"思い出"でした。
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