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展覧会の作り方 5. ージカンノハナを例にー

13. 勉強の仕方

以下、展覧会を開きたいと思ったときにできることを書いておきます。

(ア) 展覧会に通う

とにかく質の良い展覧会に通うことです。そして、ギャラリーにも足を延ばすこと。まずは、これが趣味だと手っ取り早いです。私は一時期、年間200本くらい見ていました。5年以上そうだったのではないかなと思います。展覧会になるかどうかよりも、まずは、自分の栄養に、そして、いいものや自分が良いと思うものを見極める目を養うために、たくさん見ることは一つの手段になります。

(イ) 文章を書く(記事を書く)→ピーラー等の媒体に載せる。

次に、見に行った展覧会についてレビューを書くことができます。短くたくさん書くこともできるし、深く考えて書くこともできます。ステップとしては、

1.自分が見た展覧会を記録する(これだけでも仲間ができます)。
2.その展覧会について自分で文章を書いて自分の媒体(ブログなど)で発表する。
3.書いた文章をアート系のレビュー媒体で発表するとなります。

原稿料が発生することは稀ですが、まずは自分の考えていることを共有する手段として、書くことを使っていきます。このことはのちに作家さんにあなたが誰だかを知らせる手段になります。

(ウ) 作家・キュレーターと会って話をする。

レビューを書くにあたって、展覧会そのものや、作家さんの研究をすることができます。意図がはっきりしていれば(レビューを書きたい)、作家さんも相手に会う時間を作ることができます。こうやって、作家さんと出会っていく方法もあります。

(エ) ボランティア・バイトをする

前述のアート系の人材サイトではバイトやボランティアの募集をしています。近隣で行われる展覧会に実際に参加して、プロセスを学ぶというのも一つの手段です。ボランティアを募集する側からすると、遠隔でもデザインができたら手伝ってほしいとかいろんな要望があります。興味があったら、連絡をしてみて、お互いのニーズに合うものがあるかどうか、確かめてみます。

14. 文章

(ア) 文章を書く練習をする。習ってもよい。武器だから。

以上のことを続けるために、今まで一番役に立ったことを考えると文章を書くことが大事だと思い当たります。企画書を書くことも、文章力が必要です。考えをまとめるのも、コンセプト文章を書くのも、文章力です。

私はずっと英語の書き方を習ってきましたが、それは短く必要な要件を伝えるための文章術として、とても役に立っています。日本語の書き方を教えてくれる人たちがいます。例えば、田口ランディさんの文章講座のように説明文ではなく、考えを文章に起こすような文章術を身に着けることはこれから先どのようなことをやろうとしていても、強い武器になるので、身に着けておくと便利です。

15. 作り続けるために

さて、展覧会を作り終えてから考えたことをまとめます。
これは、作家さんとしても、展覧会を作る人としても共通して言えること。

(ア) 経済的な自立

アートの世界はやくざな世界です。決して良い企画だから通り、悪い企画だから通らないということではない基準で動いています。これは、作品に置き換えても然りです。人と人のつながりも絶妙です。自分の立ち位置をはっきりさせるために、できれば、アート以外のところから直接お金を得る手段を持っていると、経済的な独立を得ることができます。万が一助成金が下りなくても、自分で展覧会をする、作品を作る基盤ができます。時間の上でも、自分の制作を妨げられない自由が利く経済手段を確保できることが理想的です。それが作り続けるためのひとつの方法です。

絵で食べていくことについて一言添えておくと、内藤礼さんという日本でもトップを走るアーティストが20代のときにインタビューに答えて、「日本で3年に1回100万円の買い物ができる人はほとんどいない。だから海外に市場を求めなければ、私は活動していけない」ということをお話ししていました。彼女は3年に一回ギャラリーでおおよそ100万円の作品を並べた個展をしています。それが買う側にとってのアートの経済の真理だと思います。これが日本の一番売れている最前線の作家さんが考えることなのです。なので、それを踏まえて、絵を売るということの危うさを鑑みることは大事です。

(イ) 政治的な独立

経済的な自立と並んで、言いたいことをいうために必要なのは、政治的な独立です。一度関わりを持った人は好意的にあなたの展示を見てくれることが多いです。でも、きちんと批評されることは少ないです。経済的な基盤の独立が確保できたら、あなたの作品・展覧会を見てもらいたい人を具体的に思い浮かべます。アートの世界で評価されることが問題なら、その路線に乗ればいいです。でも、わざわざ、自分のお金を出して展覧会を作っているのです。それが一番大事なことでしょうか。大事なことを大事だと共有してほしい人たちを思い描くことで、あるしがらみから自分を政治的に独立させることができます。このことは、日常生活でも、あなたを自由にしてくれます。自分の居場所をアートの世界だけに求めないことで解決することはたくさんあります。それが政治的な独立です。

(ウ) 身体を作る。

長く作るためにますます必要なことは心身ともに健康でいることです。絵を描くことも文章を書くことも、展覧会を作ることも、身体が健康でなければ続けられません。残念ながら、創作することは脳を酷使することではあっても、身体を使うものではありません。酷使する分量と同じ分量で、身体も使ってあげないと、やがてバランスが崩れます。体の手入れをすること。極端な場合、走ること、泳ぐことなどを日常の中に取り入れることは、長い道のりのよき伴侶になりえます。簡単なところなら歩くことでもいいです。自分が脳を酷使していることを自覚して、身体も使います。

16. 相談できるところ


探せば、相談できるところはいくらでもあります。無料から、有料までたくさんあります。以下、例です。

〇宮城県美術館 創作室 何でも相談
http://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/education-education-04.html

ここは、美術館の中で、なんでも相談を随時やっています。自分に合う先生を見つけて、勉強を重ねることができます。


〇個人 
個人的なつながりを作ります。キュレーターや作家さんと個人的なつながりを作っていきます。興味があるからお話をお伺いしたいです。取材したいです。もしくは、展覧会のレセプションなどからでも、つながりを作ることは可能です。あくまで丁寧に目的を伝えながら、お話ししていくといいですよ。

〇ワークショップや学校
世の中にはたくさんの芸術学校があります。卒業生やプログラムをよく見て、お金を払っていいと思えたら、そういうところで学んでみるのも手です。
・MAD
http://mad.a-i-t.net/
・美学校
https://bigakko.jp/
・仙台藝術舎 creek
http://sg-creek.jp/

これらの場所をきっかけにほかの人につながっていく可能性もあります。

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