見出し画像

ATMと明石焼き

思えば、戦いは前夜からはじまっていた。

書店で本を書い、軽めの夕食をすませて店を出る。いよいよ財布のなかの現金が心もとなくなってきたなと思い、ATMを求めてコンビニに入った。

やれやれ、やっとおろせる。今朝、新幹線に乗る前に地元のATMでお金を引き出そうと思ってから、ずうっとバタバタしていて結局おろせずじまいだったのだ。もはや旅先でおろせばいいやという気持ちで、延ばし延ばしにしていたのである。

ウィーン。

コンビニの隅っこに佇むATMを見つけ、近づく。「取引開始」のボタンをタッチし、財布をひらく。さてキャッシュカードを入れようとして、重大な事実に気づいた。

“あっ、カード、持ってない!!”

ここから先は

5,204字
どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。