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子が生まれてますます輝くちかさんのこと

感動した。感動しすぎて、noteではこういう毛色の記事を書くことはないだろうと思っていたんだけど、あまりに感動したので書かずにはいられない。

とあるYoutuberさんのことだ。

なんというか、Youtubeというと、個人的にはnoteの静かでとつとつとした空気感にあわない気がして、これまで何度かシェアしたいなと思いながら、結局は書けずにいた。

でもいまは、どうしても書きたい。それにわたしが今回感動している一番のポイントは、彼女の「子が生まれてからの生き方」っていうところなので、このテーマ自体はむしろnoteっぽいよなあ、とも思うからだ。

とくに普段、わたしの育児系noteを読んでくださったり、スキと言ってくださる方々にはぜひとも、どうしても、彼女のことを紹介したい。ってことで、しちゃう。

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とあるYoutuberさんというのは、バイリンガール英会話のちかさん。

わたしが唯一、6年以上もゆるく長く、追い続けているYoutuberさんだ。

すでに人気の方なので、英語や海外、旅に興味のある方であればご存知の方も多いかもしれない。だからこそ今日は、育児中の生き方という、ちょっと違う部分にスポットライトを当ててみたい。

最初にちかさんの動画に出会ったのは、たしか2012年の秋か冬ごろ。

わたしはオーストラリアのワーキングホリデー生活を終えて、日本へ帰って数ヵ月が過ぎていた。当時は英語に触れる機会が激減したことに危機感を抱き、ひたすらYoutubeで英語系コンテンツを検索していたのだ。

そんななかで見つけた、ちかさんの動画。

そのころはいまほどプロフェッショナルな空気感はなくて、カメラも今ほどいい機種をたぶん使ってはいなくて、「部屋の片隅で撮りました」みたいな、「友だちがちょっと気合い入れて撮った動画」くらいの雰囲気だった。

でもなんだかとっても英語の教え方がうまくて。過去の動画もさかのぼってチェックしたら、「なるほど〜」って理解できるコンテンツも多くて、他のひとの英語レッスン動画とは違うな、このひと、かわいいうえにめちゃくちゃクレバーだ、とピンと来た。

それ以降、気になってちょくちょく見るようになっていったのだ。

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ご存知ない方のためにざっと補足すると、ちかさんは日本生まれだけれど小学校1年で渡米し、大学卒業までの16年間をシアトルで過ごしている。

2007年に帰国して、大手コンサルティング会社で働く傍ら、2011年からYoutubeで発信をはじめた。2013年の年末には会社を辞めて、フルタイムYoutuberに。

わたしが見はじめたころはまだ少なかったチャンネル登録者数は、その後もりもりと増えて、いまや130万人を超えている。きっとnote内にも、見たことあるよ、わたしも好きだよという方もいるだろう。

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英語レッスンの抜群のわかりやすさもさることながら、ちかさんの一番の魅力は、自分のやりたいことにどんどんと突き進み、もがいたり悩んだりもしながらも着実に形にしてゆく生き方・考え方と、それをそのまま、視聴者にもシェアしてみせてくれるところ、さらに有名になっても感謝の気持ちを忘れないところだと思う。

自分はどんなコンテンツを作りたいのか、そして自分にはどんなコンテンツが求められているのかをたくさん考えて、年々、ものすごい勢いで動画のクオリティをあげて、ファンを増やしてきた。そのようすには嫌味がなくて、はたから見ていて、とても納得したし、応援したくなった。

たぶんその転機のひとつでもあったのだろうなと、勝手に思っている大好きな動画を、一応ここにも貼り付けておきたい。当時、心無いコメントの数々に、動画の方向性に悩んだことを率直にシェアして、かつそれを面白くみせて、自分の決意表明もしている動画(2012年12月)。

リアルタイムでこれを見たとき、ちかさんはやっぱりクレバーな女性だなあと思った。カンナムスタイル踊ってるけど。そもそも、当時はコンサル会社員として働きながらこんな動画をつくっていたのだから、尊敬しかない。

そして実際、その後いままでの間、英語のレッスン動画シリーズもつづけながら、企業とのコラボ動画をたくさんつくったり、自分のライフスタイルや海外旅行のようすをシェアしたり、日本の文化を海外に紹介する別のチャンネルもつくったりして、ほんとうに精力的に活動してきた。

本も何冊も出版して、アプリも作ってと、Youtubeを軸に多方面に活動を広げていくさまを見て、ああ、すごいなあ、意志をちゃんと、形にしていっているなあとまぶしいものを見るような気持ちで尊敬していた。

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一方で、「結婚します」の報告もあり、以降は夫である「おさるさん」(Youtube上での愛称)もちょくちょく動画に出るようになって、二人三脚で協力してコンテンツ作りをするように。

そんなようすを、いいなあ、理想のパートナーシップだなあと、憧れと尊敬の眼差しで見守っているひとは、大勢いるはずだ。とくにわたしは同世代、かつとても近い時期に自分も結婚したので、ちかさんの人生そのものを横で拝見しながら、まるでひとりの友だちみたいに、彼女のライフスタイルをまぶしく眺めていた。

またしばらくしてから「妊娠しました」の報告もあり、昨年の6月には娘さんが誕生した。出産当日の、リアルな動画もある。自分が誕生した日のこと、プリンちゃん(Youtube上での娘さんの愛称)は大きくなってから見て、何を感じるだろう。素敵な贈り物。

“パワフルなちかさんのことだけど、さすがに子どもさんが生まれてしばらくは動きづらくなるんじゃないかなあ”。

ちかさんが妊娠の報告をしたころ、わたしはちょうど1歳になったばかりの娘を抱えていた。0歳の娘と暮らす日々、わたしは自分の時間がなくてひどくつらかった記憶があるので、その気持ちを思い返して、心のどこかで勝手に、そんなふうに思っていた。

でもそこは、やはりちかさんで。

実際は、生後数ヵ月のプリンちゃんを連れて海外にも飛び、いろいろなところに出かける一方、動画もアップしながらいったいどこでそんな時間を捻出していたのか、打ち合わせや細かな作業も着々と進めて新しいアプリを発売したりして、ほんとうにすごい、とたまげた。

育児しながらこのパフォーマンスを生むことが、どれほど気合いと労力、そして体力のいることなのか、とてつもない実感をもってわかる。

先日は、ちかさんが中高生時代から大ファンであるバックストリート・ボーイズに、メディアとして枠をもらって堂々のインタビュー。もちろん、撮影部隊の夫さんと、プリンちゃんもその場に同席。

インタビューの最後の方に、プリンちゃんがバックストリート・ボーイズのメンバーの膝に抱っこされてABCの歌を歌ってもらうシーンがあるのだけれど、「こんな経験、最高じゃないか……」とわたしまで涙ぐんだ。

ひとえに、ちかさんがこの8年間、一生懸命、地道に地道に、積み重ねてきたことの結果だなあ。それが、ちかさん自身はもちろん、娘のプリンちゃんにも、いまこの経験を提供しているんだなあ……。

同じく小さな子を育てる身として、なんともいえない気持ちがどんどん押し寄せてきて、じわっときた。

* * *

極めつけはこれである。

これを見て、わたしは自分をののしりたくなった。なにが、“子どもさんがうまれたらさすがに動きづらくなるんじゃないかなあ”だよ!と。

くわしくは動画を見てほしいけれど、ちかさんは今年、3ヵ月ごとに国を変えて暮らす、新しいスタイルの移住生活をしようとしている。

「子育てをする上で、教育のこととかも考えはじめて。他の国では、教育のことをどんなふうに考えているんだろうとか。そういう意味でも、他の国に暮らしてみたいと思いはじめて。それで、今年はなんか、違う国に住んでみようかなと!」

って、明るく語るちかさん。さすがすぎる。

まずはオーストラリアのメルボルンからということで、実際にいま引っ越しに向けた断捨離のようすなんかも動画がアップされている。また着実に、アイデアを形にしていっているそのようすを見て、感動しかない。

実行のひとだ、ちかさんは。

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で、さっきの動画なのだけれど、実は育児中の方に見てほしいなと思うのは、むしろ最後の方。目標を語り終えたあとに、母としてのちかさんが、仕事や人生と向き合う考え方が率直に語られているところだ(08:50〜)

「以前は『時間は作るもの』だと思っていた。でも子が生まれてからは『時間は作れない』とわかった!」「やらない、のは自分的にしっくりこない。やり方を変えるしかない」「全部自分で進めるんじゃなくて、自分が動けないときに進めるにはどうしたらよいのかを考えるようにした」

これを聞いて、懺悔したくなった。

ごめんなさい、長年遠くから見守ってきたいち“ちか友”(ちかさんファンを、ご本人やファンはこう呼ぶ)だけれど、正直、さすがにお子さんが生まれたら、小さいうちはいろいろ動きづらくなるんじゃないかなあ、なんて、心のどこかでは思ってました。自分の育児経験を勝手に重ねて、思い込んでました。

でもやっぱりちかさんは、ちかさんだった。

もうほんとうに、予想に反するどころか、斜め上あたりをズバッ!!と切り込まれた気分。

いや、だって、0歳子連れで、3ヵ月ごとにいろんな国に住む、という決断だよ? 憧れだな、やりたいなという気持ちを持ちつつ、子連れ海外旅行すらまだできていない自分には、頭をガツンと殴られるくらいの衝撃がある。

そしてプリンちゃんは、外国を3ヵ月ごとに転々とするそのスペシャルな移住生活を、当然のこととして受け入れて育ってゆくのだな。

いろんな国で、異なる文化や言語にふれて、多くの価値観にふれて、いったいどれほど広い視野をもった人間になるんだろう。そう思うと心が震えた。ひとごとながら、いまからプリンちゃんの将来が楽しみでしかたがない。

そして同じくらいの幼少期、わたしは自分の娘にどんな体験をあげたいのだろう、あげられるのだろう。やりたいと思うことがあるなら、実行するのみじゃないか。ものすごく、そんな思いにさせられた。

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そんなわけで、今日はちょっとフィールドの違う話ではあったけれど、ひたすらちかさんのことを紹介したかった。

英語に興味のある方はすでに知っている方も多いと思うけれど、日本で子育てをしている方にこそ。かつての自分みたいに、0歳育てていると子育て中はなんもできないよね、って思っている方に。

もちろん、ほらここを目指せ!と言う気はまったくない。やりたいことも人それぞれだろうし、とりまく環境も人それぞれ。実際、娘が0歳のときの疲れ果てた自分にこれを見せても、「ああ、遠いなあ……」と思って、ますます自分のだめさにため息をついちゃったかもしれない、と思うから。そうじゃない。ここを目指さなくてもいい。

ただ、「枠」を吹き飛ばす感覚が爽快だな、と思ったのだ。

「小さい子を育てているから」という枠、ストッパーは、一度はまると意外と強固なものだ。自分をふりかえって、そう実感している。だから、そりゃ状況はひとそれぞれだけれど、その枠の形をいっかい疑ってみるという感覚だけは、自分もずっと忘れないでいたいな。そう思ったのだ。

もしかしたらその願望、あきらめなくてもいいのかもしれないよ、という可能性を。

そのためにはちかさんの言うように、「やり方を変える」ことが必要なんだと思うけれど。ちょっと前までの自分は「やり方を変える」ことを検討せずに、「どうせ無理だし」と思ってストップすることが多かったから。

2019年、ストッパーをはずしたいと書いていた自分に、0歳を抱っこしながらストッパーなんて最初から微塵も感じさせないちかさんのフットワークは、実に爽快で。そしてとても、胸にささった。

ちかさん一家の出発は、もう間近。先日も、出発に向けてたいへんな引っ越し作業の動画がアップされていた。

ちかさん、おさるさん、プリンちゃん、いってらっしゃい。どうかからだには気をつけて、よい旅を、よい暮らしを、よい出会いを。各国からの動画、とても楽しみにしています。

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