返答詩「未来の私へ」


あの日あの場所で見た空を
忘れないようにしようと思った

その出来事も 写真のように鮮明に覚えている

それは覚えているのではなく
刻まれているのだろう

色褪せることもなく
既に私の一部として 息づいている

過ぎ去っても
決してなくなりはしないものがあるということが
一体どれほどの安心だろう

言葉で確かめれば真実になるの
未来は約束されるの
いつだって 明日は今日を裏切るというのに

だから その手応えは不思議と
胸の中に消えない明かりがあるかのようだった

そういうものを残してくれた人がいなくなったのではなくて
誰かが残してくれたものが そういうものだったのだ

報われないかもしれないし
また泣くかもしれないし
私はなんでこんなに不幸なんだって 思うかも

でもそれでも悲しくても寂しくても痛くても虚しくても
どんなに生きることが嫌になってもいつまでも照らしてくれる光は
底抜けに果てがないくらいに優しくて私をいつも眠らせてくれる

諦めないで
辞めないで
捨てないで
負けないで

全て拾って 持って行って

あの日笑った私が 両腕一杯に抱えて あなたに届けるよ














返答詩集「どうか その優しさが あなたのもとへ」収録
https://note.com/poet_ohno/n/nb591c815e8ff?magazine_key=m9f4e03d273ef


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