まんがタイムきらら作品における男性キャラの立ち位置と『まちカドまぞく』について
まんがタイムきらら… それはゆるくてふわふわ、かわいい女の子たちの日常をスローペースで描くいわゆる日常系の作品です。
『まんがタイムきらら』は、芳文社発行のB5判、平綴じの4コマ誌(4コマ漫画専門雑誌)。原則として毎月9日に発売されている。キャッチコピーは「ドキドキ☆ビジュアル4コマ誌」で「D☆V」と略記される。「萌え4コマ」を初めて専門的に取り扱う雑誌として、2002年5月に創刊。ウィキペディア(Wikipedia)より
↑なんなんだよ
ことの発端(?)はこちら
そんな…
(ややこしいのでひでりちゃんのことは黙ってよう)
でも気持ちはわかる!
女の子だけの優しいゆるふわ世界が見られると期待していたのに、ヒロインにベタベタ、もしくはヤレヤレのメタ化された我々(オタク)が出てきて共感性羞恥に震えながらそっとリモコンの電源ボタンを… なんてことはよくある話です。
しかし、男性キャラも捉え方によっては、女の子のカワイイ!を際立たせる重要な舞台装置ともなり得ます。今回はそんなきららにおける男性キャラに焦点を当てて作品をみていきたいと思います。
男性キャラが登場するきらら作品(アニメ化作品のみ)
アニメ化された作品に絞って、どのような立ち位置で男性キャラが登場しているのかを確認していきます。
○ → 顔出し。レギュラー〜準レギュラー
△ → ストーリーにほぼ関与しない。顔なし、声なし
× → 登場しない
ひだまりスケッチ →○ 校長先生、益子先生、ゆの父、他
ドージンワーク →○ ジャスティス、他
けいおん! →△ 楽器屋店員、 平沢父、堀越先生、他
GA芸術家アートデザインクラス →○ 魚住、保村、友兼兄、他
かなめも →×
夢喰いメリー →○ 藤原夢路、他
Aチャンネル →○ 佐藤先生、他
キルミーベイベー →△ 刺客
あっちこっち →○ 音無伊御、他
ゆゆ式 →×
きんいろモザイク →△ 猪熊空太、他
桜trick →×
ご注文はうさぎですか? →○ ティッピー、香風タカヒロ、他
ハナヤマタ →○ 大船勝(店長)、関谷直正、他
幸福グラフィティ →×
がっこうぐらし! →△ 先輩
わかば*ガール →×
城下町のダンデライオン →○ 桜田修、他
あんハピ♪ →×
三者三葉 →○ 山路充嗣、他
NEW GAME! →×
ステラのまほう →△ 関春馬、他
うらら迷路帖 →×
ブレンド・S →○ 秋月紅葉、ディーノ、他
スロウスタート →△ 一ノ瀬健、他
ゆるキャン△ →△ リンの祖父、他
こみっくがーるず →△ 翼父、他
はるかなレシーブ →△ かなた祖父
アニマエール →△ 猿渡暁音、ひづめ兄、他
まちカドまぞく →△ ヨシュア
結果… ○ 11 △11 ×8
△の判断が曖昧なところもありますが、約三分の一の作品で男性キャラがレギュラーもしくは準レギュラーとして作品内に登場しています。意外と多い?
以上の結果から、男性が主要キャラとして登場する作品を大きく二つに分けてみていきます。
恋愛対象としての男性
主な作品…あっちこっち、ブレンド・S等
・あっちこっち
ツンデレ子猫ちゃんの御庭つみきと朴念仁な音無伊御の付かず離れずゆるふわラブコメディー。
注目すべき「きらら」なポイントはやはり恋愛を軸にしながらも僅かな変化を丁寧に描くゆったりとした日常系であること。「付き合う」という結果を求めるのではなくあくまでそれに至る道程(流れる時間そのもの)が大切にされています。
しかし本作のメインキャラである音無伊御は通常のラブコメと比べると大人しい…(音無なので)あくまでつみきの可愛さを引き立てるような立ち回りに徹しています。
・ブレンド・S
ドS、ツンデレ、妹、など色んな「属性」が楽しめる喫茶店「スティーレ」で繰り広げられるワーキングコメディー。
本作のポイントは各キャラに「属性」が付与されていることによって、その性的倒錯を受け止める緩衝材として男性キャラが必要となっている点です。おそらく女の子のみでこれをやってしまうとボケツッコミ不在のゴチャゴチャアニメになってしまうでしょう。
↑今年の日向夏帆生誕祭に原作の中山幸先生がTwitterに投稿したもの
なんとこれキャラが見えないのに見える(は?)「きらら」らしいイラスト。日常系の特徴のひとつに「何が」描かれているかではなく「どのように」描かれているかというものがあります。この「空気感」を丸ごと映し出す描き方はまさに「きらら」と言えるでしょう。同時にここでも男性はカワイイに対するアクセントとして効いています。
保護者としての男性
主な作品…ご注文はうさぎですか?、ハナヤマタ等
・ご注文はうさぎですか?
「すべてがかわいい!」喫茶ラビットハウス、一人娘のチノとそこに住み込みで働くココア。木組みの家と石畳の街から贈る賑やかな仲間達との新生活。
本作ではチノの父親、香風タカヒロと祖父ティッピー(何故かうさぎになってしまっている)がほぼレギュラーメンバーとして登場します。しかし彼らは娘のチノとその友達を確実に一歩引いて見守ることで(喫茶店は夜になるとバーとなり分かりやすく住み分けされている)作品内にもう一度女の子だけの空間を創造しています。また、各回のラストには二人が夜のバーで次回予告を行い、保護者としてこぼすその言葉は彼女達の暖かな日常を見守る視聴者のメタ表現にもなっています。
久しぶりに見たら何も変わってなくて泣いた
・ハナヤマタ
なんでもフツウの14歳関谷なる。ある日金髪少女ハナと出会うことで、華々しく非日常な「よさこい」の世界にはまってゆく。
本作での男性(大船勝)はよさこいショップの店長としてなる達のよさこいイベントのサポートをしています。こちらは話の大筋には入ってきませんがキャラ立っており違和感なく作品内に登場しています。チノパパも元軍人でめっちゃ強い!みたいな設定がありましたが見た目強そうだと守られてる感あって安心しますね。
以上、簡単ですがきらら作品でも何気に登場している男性キャラとその立ち位置をピックアップして見てきました。女の子だけでわちゃわちゃするのがきららのイメージですが、時折男性キャラも影で活躍してるよ!って紹介でした。
…… 。
まちカドまぞくのラストについて
いやもうこれを語らずにはいられない。
アニマエール以来半年ぶりのきらら枠、1話から正座してみてました。
ある日突然闇の力に目覚めた女子高生・吉田優子は一族にかけられた呪いを解くため魔法少女を倒すことになってしまった!!だけど相手は命の恩人!?そもそも全く勝てそうにない!?ポンコツ系庶民派まぞくとクール系筋トレ魔法少女が織りなす日常系マジカルコメディーはじまります!(公式サイトあらすじより)
色々語りたいこともあるけど今回は問題の最終回ラストシーンについてです。
本作品では1話から一貫してナレーションがついていました。しかしこれが最終回で今まで一度も姿を見せなかった(ミカン箱はずっとそこにあったが)男性、父親ヨシュアの声であり、物語のあいだずっとシャミ子を視聴者目線で見守ってきたことが明かされます。(エンドクレジットの梅津秀行は12話のみナレーションではなくヨシュア表記)
これは日常系における死者の目(厳密には生きていますが事の真相をおそらく知っているという点については日常を相対化できる目と言えるでしょう)をうまく使ったトリックとなっており最後の最後で種明かしする粋な計らいでした。不思議な魔法のまちカド(世界)をゆる〜く眺めてきた視聴者はその瞬間に初めて世界を見つめる当事者となり彼女達の成長を喜ぶと共に視聴者にのみ知らされていない情報によって先行きの不透明さに心を配る羽目になったのです。
これまでに述べてきた男性キャラの視点からすると今回はカメラそのものが男性であり我々は知らずのうちにそこに立っていったことにされ、女の子しか存在しない世界を見つめる自分に今まさにハッとしているのです。
アニメは情報量が多いせいでなかなか見るのが大変です。でも視点が増えるほど楽しみ方も増え作品の捉え方も変わってきたりします。だから、きっと。
次の作品にも新たな発見があることを信じています。
最後に
シャミ子が悪いとかいってごめん。
ありがとうシャミモモ。ありがとうよいまちカンターレ。
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