見出し画像

広島で四谷シモンとアルフレド・ジャーを見た

2023年の10月初頭、広島まで展覧会を見に行った。
下瀬美術館で開催されていた「四谷シモンと金子國義-あどけない誘惑」と会期終了が近かった広島現代美術館の「アルフレド・ジャー展」を見るため。アルフレド・ジャーは、ヒロシマ賞の受賞記念として、滞在制作もしていたらしい。

下瀬美術館、思ったよりも遠かった。広島空港から広島駅まで1時間以上かかり、感覚的には成田空港から東京都内に移動するぐらいの感じ、交通手段はバスのみで、発車時間は複数の便の到着客を待つような具合だった。

広島駅からJRで移動する。下瀬美術館は水盆にカラフルなコンテナが並び、瀬戸内海で通じて、更に遠景に厳島が見える。
いい場所だな、と思った。

「四谷シモンと金子國義-あどけない誘惑」

四谷シモンの人形は東京の松涛美術館で開催されていた「私たちは何者?ボーダーレスドールズ」で初めてみた。球体関節人形のレジェンド、ベルメールの人形を知って独学で球体関節人形を作り始めた。
本展は澁澤龍彦と金子國義との邂逅を示すものだった。澁澤の死、金子の死、そうしたものに寄り添うように、人形が展示され、壁に添えられた言葉と共に、時間を意識させられた。親しい人の死は、どうしても避けられないもの、絶対的な別れに対して向き合う感情のようなもの、展示にそれが表現されていたように感じた。

広島市現代美術館の閉館時間をきにしつつ鑑賞をした。日程には、もっと余裕を持つべきだと思う。

そのうち見に行こうと思っていたら会期終了することがよくある。スケジュールの合間をぬって、広島滞在を決めたからには、見逃すわけにはいかない。広島市現代美術館リニューアル工事完了後の展覧会を見ようと思っていたら、既に会期が終わっていたことが悔やまれたため、計画的に行動しようと思った。

JR広島駅に戻り、路面電車に乗って、美術館の最寄りの停留所をおりる。
美術館と書かれた看板を頼りに坂道を登っていく、行けども行けども坂道、これって山の上にあるのか。後日、友人に山登りだね、と話をしたら、タクシー使っていったということ、事前のリサーチはとても大事だなと思った。

アルフレド・ジャー展は、入口でハンドアウトを渡され、明確な順路に従って鑑賞する方式になっていた。

順を追ってみていく中で、彼が何をやりたかったのかが示されていく。アートと対峙したときに、自身の中でリフレクションしていくような、思索が広がっていく。

メディア、発信する者、作品を作り発表する者、鑑賞する者、それらが複雑に有機的に絡み合いながら世界が変化していく。
アルフレド・ジャーの展示は、セルフラベリングに対する再考を促すようなメッセージが込められていたと感じた。反芻しているうちに、解釈は変わっていくかもしれないけれど、会期中に見ることができて、本当によかった。


いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。