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平成最後に、「死を想え」〜令和に後悔しない人生を生きるための羅針盤〜

連日40度近い暑さだったカンボジアの首都、プノンペンのホテルの浴室にいた。

死にそうになりながら、これでもかというぐらい、全てを吐き出した。

朦朧とする意識の中で、ふと、メメント・モリという言葉が浮かんでいた。ラテン語で、直訳すると「死を想え」という意味だ。

なぜかその音の響きが好きで、ずっと覚えていた。最初に見たのは、小学校か中学校の国語の教科書だったか。

かの有名なスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式のスピーチの中にもこの考え方が盛り込まれていた。

元々は、古代ローマの将軍が凱旋パレードを行う際に、今勝利に浸っていても、明日どうなるかわからないと言っていたことから、いつか死ぬことを忘れるな、だから今を楽しめ、という意味で使われていた言葉らしい。

その時は、ただつらくて、まるでドラゴンボールのピッコロ大魔王が口から卵を生み出す時のような苦しさで、まだその「死を想え」の深い意味を思い出す余裕はなかった。

あとわずかで平成も終わるというこんな時に、なんたる災難。

出し尽くしたものは、平成30年分とちょっとの自分の中に溜まっていた黒い何か、叶わなかった希望とか、後悔だったのかもしれない。

いや、実際タピオカもどきの黒い塊だったのだが……

カンボジアへ1週間の出張の最終日に、食あたりで細菌性胃腸炎になってしまったのだ。

連日、外の気温は40℃近い日が続き、停電でクーラーが効かない中での打ち合わせを行った時もあり、熱中症気味だったせいもあったかもしれない。

過信しすぎていた。
過去の経験から、大丈夫だと思っていた。
なぜなら、今まで一度も海外でお腹にあたったことはなかったから。

でも、人生に絶対はないのかもしれない。

いつ何が起こるかなんて、本当に分からない。

とにかく、現地のパートナーの方のススメで病院に行き、点滴と抗生物質のおかげで、だいぶ楽にはなった。ドクターから帰国OKも出た。

一時的に大丈夫かなと思っていたが、38.4℃の熱で体がきしむように痛く、空港の医務室で休ませてもらった。横になって寝ていれば、フライトもいけそうだったので、自己責任で飛行機に乗りますというフォームに記入をし、帰国するという選択をした。

何よりも素晴らしかったのは、世界共通の人の優しさとホスピタリティに触れたこと。

同行していた人が交渉してくれたおかげで、夜行フライトで横になれるようにしてもらったり、乗り換えの空港間での連携も素晴らしく、出口で車椅子での出迎えや優先的な手続きなど、体に負荷なく移動できるように手配がされていた。

色々な人のおかげで、生かされているという感謝の気持ち。

成田空港に到着した時、今までに感じたことないくらいの安堵感。

生き延びた、とは少し大げさだが、無事戻ってこれて良かったという喜び。

不思議なもので、何かが終わる、失う、損なわれると思うと、その危機感からか、なんだか、急に名残惜しくなったり、かけがえのない時間になったり、大切に思えてきたりする。

こうやってまた復活して、息をして、元気に生きていることがとても素晴らしいことだ感じた。

普段は、当たり前すぎて、生きていること、健康に動いていられることの大切さには気がつけない。

今、死んだとしても、後悔がないだろうか?

いや、今の私はありまくりだ。

最近は淡々とした日々がずっと続き、やりたいことも思うようにできていなかった。

1日24時間は誰にも平等に刻まれていくけど、寿命だけは自分では決められない。

自分意志に反して、予期せぬタイミングで最後がやってくることもある。

いわば、「死を想え」は、後悔しない人生を生きるための羅針盤だ。


冒頭に触れたスティーブ・ジョブスは、卒業式のスピーチで、毎朝鏡の前に立って、自分に問いかけている言葉があると言っていた。

「もし今日が最後の日でも、今からしようとしていたことをやるだろうか、と。その答えが何日もNOなら、生き方を見直せということだ。」

光と影のように、生きることと、死ぬことは、表裏一体だ。

死を感じたり、考えると同時に、生きる輝きを感じられるのだ。

少し迷っている時、後悔しそうな人生を送っている時、当たり前になりすぎて生きることに鈍感になっている時に、「死を想う」ことで、改めて「どう生きていくか」を突きつけられる。

後悔がないように、生きている時間を大切にし、やりたいことをやっていく人生を送りたいと改めて思うようになるのだ。

令和という新しい時代の航海に向けて、改めて、これからどんな人生を築いていこうか。

数日ぶりに口にしたコーヒーの苦さと美味しさを味わいながら、すごくワクワクしている。

#海外旅行 #グローバル #カンボジア #平成最後 #令和 #メメントモリ

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