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警察学校ってきついの?②(教官室はヤクザの事務所?)

警察学校について一言で言えば、きついです

でも警察署の勤務よりはマシです。

①に引き続き、警察学校について話していきます。

警察学校では刑事訴訟法や刑法等、法律の勉強に加えて柔道、剣道、逮捕術など警察官に必要な訓練をしていきます。割合的には身体を使う訓練のほうが多かったと思います。

法律の授業も座って聞いていれば良いと言えば良いのですが、数秒でも目を閉じて寝たら教官から怒鳴り声かチョークが飛んで来ます。嘘じゃないです。

チョークが飛んできて怒鳴られて終わりならいいのですが、大体その週末の外出禁止と反省文の提出を食らいます。さらに一人だけならまだいいのですが、同室の人間が連帯責任で全員そろって外出禁止になることもよくあります(私の県では寮は8人1部屋で、この8人が警察学校での最小構成単位となります)。

ちなみに連帯責任は警察学校のキーワードといってもいいくらい重要な概念です。

反省文も理由をつけて何度も書き直しをさせられます。正直眠いから一瞬寝てしまっただけなのですが、そんな風には書けません。「連日の術科で疲れていたのに、寮での睡眠時間の確保や休息の取り方が未熟だった。市民を守り法律を使う立場になる為の覚悟が足りていなかった。」等のもっともらしい理由を記載し、改善策や予防策まで書かされることもあります。

教官のOKが出るまで何度も教官室に出入りを繰り返します。初任科生(警察学校の学生)にとって教官室はヤクザの事務所と遜色ないほど怖い場所です。居眠りをした部屋員のために室長が何度も教官室に出入りさせられて、神経をすり減らします。

あそこで週末の外出を禁止されるとかなり精神的に参ります。居眠りが見つかると12日間外に出れないのが確定です。こっそり出たらいいんじゃないかと思う人もいるかもしれません。しかし、そんな方法が通用するほど生易しい場所ではありません。詳細は割愛しますが、けっこう良い確率でばれます。もしバレた場合、その後のリスクが甚大なのでそもそもそんな気持ちになりません。

ここで警察学校の外出について少しお話します。平日は、自分の意志で外出する自由はありません。正当な理由があれば、教官の許可を得て外出できます。

どうしても買いたいものがある、程度の理由では無理です。例としては病院に行く場合などです。同期に一人、自動車の免許を取らずに入校した者がいて強制的に自動車学校に通わされていました。その場合は平日に外出を許可されていました。

当直舎監の前に外出簿が置いてあり、定時以降はそれに記入して外出するわけですが、平日は外に出る者自体がほとんどいないため、かなり目立ちます。なので基本的には外へ行こうという考えにはなりません

ただし、金曜の夜から日曜にかけては別です。外出自由で、多くの者が外出します。必ず行き先を記載します。万が一事故や事件に巻き込まれて、記載してない場所に行っていたことが分かるととんでもない事になります。だったら最初から正直に書いておけばいいだけの話です。

さて、外出禁止になってもお酒やたばこ、ジュース、日用品などの必要なものは全て校内で買うことが可能です。ただ、自由の空気を吸うことができません。これは1週間異常な緊張状態に置かれた身からするとかなりきついです。伸びきった輪ゴムのような状態です。

外出禁止になり、週末に楽しみにしていたことができない、また次の1週間後の週末を待つというのは気が遠くなります。外出したらしたで、日曜日の夜に警察学校に戻るとため息が止まらないんですがね。

ところで月曜から金曜まで常に緊張状態に置かれた感覚は研ぎ澄まされます。自分が野生動物のような状態になっているのがわかります。その状態が外出によって消えてしまうことを嫌がり、週末、寮に残る者も少数ですが存在します。

外出禁止を食らうとそういう僧侶のような連中と仲良くなる機会ができます。それによって自分の感覚が更に深く研ぎ澄まされていくという貴重な経験ができます。自分の感覚があれほど研ぎ澄まされることは人生で今後もうないでしょうね。
(警察学校ってきついの?③に続く)

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