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警察学校ってきついの?⑥(窓閉め忘れたから寮の窓全て掃除)

私が警察学校にいた時はちょうど洞爺湖サミットの年でした。そのため、全国の警察官が出張で北海道へ行きます。

現場は人手不足で大変ですが、普段の3交代を2交代にして休み返上で働きます。

何も仕事が分からない警察学校の学生には、サミットなんてあまり関係ないはずです。

しかし、全国の警察官が休み返上で仕事しているのに警察学校の学生だけ自由に過ごしてはけしからん、ということでサミットの警戒期間に合わせて1ヶ月半ほど週末の外泊禁止となりました。(外出は一応できました。)

そんな中、その外出さえも一度禁止されてしまいました。原因は窓です。つまり、授業に行く時に寮の窓を閉めなかったので週末の外出禁止を喰らったわけです。

何故窓を閉めなかったから外出禁止なのか。不思議ですよね。

寮から授業へ行く時は全ての窓やドアを施錠して行かなければなりません。寮の部屋が無人になるからです。

これは交番勤務で臨場指令が入った時も同じく交番の窓、ドアを施錠して臨場するので、それに慣れるためです。

交番にはまだ決裁を受けてない書類や巡回連絡の簿冊など個人情報が載ったものが置いてあります。他にも備品等があるのでそういったものの紛失や侵入者を防止するためにもいちいち施錠が必要なのです。

暑い夏に、着替えで忙しいから(「警察学校ってきついの?③」参照)、部屋員がうっかり寮の窓を閉め忘れてしまい、それが教官に見つかってしまったというわけです。

部屋長だった私は何度もヤクザの事務所同然の教官室へ汗だくになりながら出入りし、今回の不始末にどう落とし前をつけるのか、部屋員達の意見を集約しては教官にお伺いをします。

何度もダメだしを喰らった結果、「部屋の全員外出を自粛して、寮の窓を全て拭き掃除することにします」という提案で教官が納得。自粛じゃなくて、事実上の外出禁止ですよね。

もちろん今回の反省と改善策を記載した反省文付きです。

この反省文も「授業と授業の合間の着替えで忙しく、注意力が散漫になってしまい……」「以後、窓を閉め忘れることは重大な事態に進展しかねないという高い緊張感をもって……」などともっともらしいことを書くわけです。ただ忘れただけです、なんて書けませんから。

窓一つでも油断は禁物。
「俺が窓際なら閉め忘れなんて有り得なかったのに。」
でも今回ばかりは連帯責任でも仕方ないかな。

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