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どこに見えてたその先は
きっとどこかに飛んでって
私の届く手の中に
わたしはどこにもいやしない

私とわたしはいつかまた
重なることもあるでしょう
その私たちに架かるのは
橋でも虹でもないわけで

私がもし目を伏せたなら
わたしは私を殺すでしょう
だから私はいつだって
鏡を割らずにいられない

水面に映る太陽は
いくつもいくつも増えていき
私の眼を焼き尽くす
そんなことすら知らないで
わたしは私を見つめてた
月の眼で見つめてた

いつしか世界はひっくり返り
私もわたしもなくなって
わたしはきっと私になって
私もわたしになるのでしょう
音も光も廻り回って
私を囲う鎧になって
景色も全部真逆になって
文字のひとつも読めやしない

それでもみんな変わらずに
普通の日々を過ごしてて
過ごすフリすら忘れてて
生きることすら忘れてて
生きてることより死ぬことを
みんな恐れているようで

それでも少し考えて
わたしと話をしてみれば
きっと私は初めから
私と交わり消えたから
生きているけど死んでいる
死んでいるから生きている

夢の話を解いてみれば、いつでも鏡はそこにあって。私とわたしを繋ぐものでも、景色を写すものでもない。彼らはそこにいるだけで、人がその道を超えていく。来ては戻って戻っては来て、私とわたしは移りゆく。私はわたしに手向けの花を、さよなら代わりに刺してって。わたしが倒れるその音だけが、響く世界はホワイトキューブ。私が立ってるその場所は、きっと自分の部屋なだけ。

生きるのは私、死ぬのはわたし。
残るのはわたし、消えた私。

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