2013 聖路加国際大学 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」

 現代の若者の気質とはどのようなものであるだろうか。私は、現代の若者気質とは、自分に対する肯定感が低い一方で、他者からの自己承認欲求が強いという、一見すると相反的する特徴があると考える。そこで、なぜ現代の若者がこうした特徴を示すのかという理路を述べたい。
 たとえば、若者である私たちは、学校の教室における人間関係をいわばキャラクターとして相互に承認し、設定しあう。つまり、特定の共同体のなかで共有されるその人のイメージをキャラクターと呼び、その共同体のなかで与えられる人間どうしの相対的な位置をキャラクターとして解釈するのだ。
 このキャラクターと自己像に乖離があれば、キャラクターを変えることが本来は可能であるはずだ。しかし、他者の持つイメージをもとに成立するキャラクターが、他者からの承認に依拠している以上、他者のイメージと異なればキャラクターの変更は難しい。というのも、他者が考えるキャラクターどおりのあり方を自分がしなければ、他者からの承認は得られず、場合によっては自己が否定されることになるからだ。その結果、あるべき自己像は他者との相対的関係から導き出され、常に他者の持つイメージとの合致を図る必要性が迫られる。したがって、自分のあり方のイメージがそれだけでは自存できないため、若者は自己肯定感が低下するのだと考える。
 他方で、若者は自己のキャラクターを変更することが容易ではないことを知っている。そこで、若者は積極的に他者のイメージに合うように自己のキャラクターを作り上げ、承認されることを望むのだ。これが若者の自己承認欲求が強い原因だと考える
 以上より、現代の若者気質とは、他者からのキャラクター承認や評価に依拠することによって、自己像を定める、あるいは定められるため、自己肯定感が低くかつ自己承認欲求が強い気質であると考える。

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