背後と足元から明るくなる


個人用暗室みたいなのを作りました。
名前だけは大そうですが、なんのことはない、
黒い布を被ってるだけです。
ウエストがゴムのスカートみたいな感じで、
上のところをゴムで絞った黒い筒状の布をかぶります。

なんでそんなものを作ったかというと、
真っ暗な中で、真っ黒の石を見てみたかったからです。
黒の中で黒を見たい。
つまりもしかするとわたしは、
何も見たくなかった
ということかもしれません。

しかしまあ、なかなか真っ暗にはなってくれないんですよ。
だいたい昼間はダメです。
太陽ってのはほんと明るい。
まずは太陽に地球の裏側に行ってもらって、
夜を待たないといけません。
そして夜は夜でわりと明るくて、
部屋の中にはなんかしら電気が灯っていて、
スイッチのLEDとかね。
外も街灯とか車のライトとかも光ります。

それでもまあ、織りが細かめでちょっとコーティングされたような、人工合皮みたいな黒布をかぶると、どうにか真っ暗っぽいものはできあがるので、そこで黒い石を見ます。

何か見えるかって?
見えたような気もする時もあります。
気のせいは採用、ということなら、見えたと言ってもいいですが、コレといえるようなしっかりしたものではないので、コレですとも明言しにくいわけです。そしてそういう話を書きたくてこれを書いているわけでもないから、それはさておき。

冬の間はよかったんですよ。夜が長いから。
一度寝て、夜中に起きたときに、トイレに行って、それからふらふらと黒い布をかぶってみて、満足するまで暗闇にいたら、また布団に入って寝る、とかいうことができて、そういうのはたいへん楽しい夜の時間だったわけですが、
最近はいけませんね。
3時過ぎてきたらだんだん明るいのです。
昼が長いので昼にたくさん遊んで、夜にグースカ寝ていると、起きたときにはもう夜明けの明るみがやってきている。

昨日は早寝したので、2時ぐらいにいったん目が覚めたんですけどね。2時だとまだ布団で寝ていたい気持ちが強く、ついまた寝てしまったら3時でした。3時ならまだ少し行けるかな? と思って個人暗室に入ってみましたが、もうすぐに、まもなく明るくなってきます。

その明るくなるのが、背後と足元からです。
これには単純な理由があります。
布が足りなかったから、
背面のところは縫い合わせていなくて開いているし、
長さも腰のあたりぐらいまでしか隠れない。

それでも椅子に座って、うまく自分を包み込んでおくと、わりと暗闇だったんですが、太陽の朝には敵いませんよ。
背後から光が入り込んでくるというか、
背中側からなんだか明るい。
ちょっと動いたら足も明るい。
目から遠いところから明るくなっってきちゃうんだな、ってのが
なんだかおもしろいなと思いました。

それで
目ってのは、
私のための暗闇を作るためにあるんじゃないのか?
と思ったりしたわけです。
もうどうにも敵わない太陽の光の下での
ささやかな抵抗。目を閉じたらどうにか相対的な暗闇です。
すべてのぜんぶが照らされちゃうと、ちょっと私が困るというか、
私の陰影を取り上げないでいただけますかね。
確かに太陽様の光はありがたいんだけども、
あなたのすべてでわたしを干からびさせないでもらいたいんですよね。
みたいな小さな抵抗が
なんだか逆説的ですけれど、
視覚になったんじゃないか?と思ったりしたわけです。

完璧と全体は違うんだ、みたいなことが
OSHOの本に書いてあったような覚えがありますが、

真っ暗にしようとすると光が入ってくるようだし、
明るいところでは暗がりを作りたがるようだし、
完璧ってのは難しい、というか、
あるものを排除して完璧を得ようとするのは
そりゃ無理ってものかもしれない。
あるものはあるままにした全体
ってことなのかなと思ったりします。

5時前にはすっかり朝のようですが、
明るくても私は寝れますし、
ちょっと眠くなってきたから、もうひと眠り
朝寝しようと思います。

布を買い足して、改良型個人暗室を作ってみてもいいかなと思いましたが、たぶん面倒だし作らなさそうな気もします。作っても結局朝には勝てなさそうですし、そしてそのうちまた冬にもなってくるはずですからね。では、おやすみなさい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?