なぞのハイボール

土曜日。25年以上逢っていなかった昔のバイク仲間と、久しぶりに飲むことになった。埼玉県内に住んでいる相手と落ち合うには、小田急線乗り入れの湯島近辺がよいということで、御徒町のやきとん屋に決まった。シロが好きなので楽しみに行ったのだが思っていた物とは少し違った。一緒にカシラも頼んだのだがこちらも脂たっぷりの方で一瞬後悔したものの、ただ久しぶりの会話が楽しくて勢いでもりもり食べた。
「とてつもなくナカが濃くていいんだぜ」という相手をよそに、私はいつも通りハイボールを(少し濃いかなぁ)なんて思いながら、ホッピーであっという間にヨレていく相手を尻目に4杯ほど飲んだ。25年分話すには出来上がるの早すぎるだろうってツッコミながら別れて電車に乗ってから、突然の二日酔いモードに襲われて焦った。
頭が割れそうなのだ。
普段、ハイボールだけなら7時間でも8時間でも飲んでいられるのに。

ウイスキーでもウオッカでもラムでもテキーラでもソーダで割りさえすればずっと飲んでいられる私が、たった4杯で死にそうになった。
頭を途中で捨てたくなりながら帰宅し、どんなに酔っていても絶対に化粧を落として着替える私が、自室でそのまま倒れ込んだ。明け方近くになってようやく頭痛から少し解放され、その隙に着替えてベッドに移動して昼近くまで眠り倒し、シャワーを浴びて生還したが、今度はそこから腹痛でトイレから離れられなかった。おそらく脂たっぷりの方のカシラにやられたんだと思う。

日曜日。何度も何度も腹痛と闘いながら、夕方からミーティングと称した飲み会があり、今度は地元の焼き鳥屋さんに行った。
土曜日の「串」に若干トラウマを感じていたが、ここは信頼と安定の美味しい焼き鳥屋さんだったので安心してオーダー、普通のハイボールも土曜日の味が蘇りそうで怖かったのだが、オリジナルのパインハイボールが甘くて優しくて謎のハイボールの上書きができた。

月曜日。今日は通常業務だが、身体が重いのは雨のせいかそれとも謎のハイボールとカシラアブラのせいかわからないけど、知らないところの安価なハイボールは危険なので近寄らないことに決めた。

それにしてもあのハイボールは何だったんだろう。
焼酎の甲類乙類の知識は持っていて、甲類を飲むと悪酔いするので乙類を選んで飲んでいたが、ウイスキーにも甲乙があるのかな。そうなんだろうな。そういうことにしておこう。


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