▸はじめに

医学部学士編入試験に合格するために重要なことは、相性の良い大学を選択することです。受験校の決め方については、先に「受験校の決め方」をご覧ください。その中で出てきた「大学の特徴を知ること」の第一弾として、出願要件について、こちらの記事で執筆していきます。医学部学士編入試験の受験を検討されている方は、ぜひこちらの記事をご覧いただきながら、受験できる大学を探してみてください！
※令和6年度入学者用の募集要項を確認して執筆していますが、誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

▸出願要件について

大学ごとに出願条件が設定されていますので、出願要件を満たしていないと、出願できない可能性があります。そこで、6つの項目について確認していきます。
①学位の有無
②単位要件
③英語の外部スコア
④論文を書いているか（=論文要旨の提出 / 研究に関する発表 を想定）
⑤推薦書
⑥地域枠

▸①学位の有無

在学中であったり、大卒以外で医学部学士編入試験の受験を検討している方がいらっしゃるのではないでしょうか？残念ながら、受験できる大学は多くはありませんが、紹介していきます。

▸大学在学中に受験できる大学

・筑波大学
・群馬大学
・奈良県立医科大学
・高知大学
・大分大学
在学中といってもそれぞれ条件（2年以上の在籍・医学科以外に在籍中等）があります。詳細は、各大学の募集要項を確認してください。

▸短期大学・高専卒業（見込み）で受験できる大学

・高知大学

▸その他

・奈良県立医科大学：在学中もしくは、卒業後２年以内の者のみ出願可能。
・島根大学（3年次編入）：歯科医師・獣医師・薬剤師のいずれかの免許を有する人が出願できる。それ以外の人は2年次編入となる。

▸②単位要件

出願時に指定科目の単位が必要で、文系学部出身の方を中心に受験が出来ない場合があります。単位要件を満たしているか不安な方は、スケジュールに余裕をもって、大学側への問い合わせや事前照会をするようにしましょう。

▸具体的な大学名

・群馬大学
教養教育科目と専門教育科目を合わせて46単位以上

・奈良県立医科大学
教養教育科目40単位以上（うち自然科学系教育科目21単位以上（理工学系実験科目を履修していること。））

・岡山大学
自然科学系科目（数学，化学，物理学，生物学等） 10単位以上

▸その他

名古屋大学は、2023年度入学者用の試験では単位要件がありましたが、2024年度試験では撤廃されました。このように条件が変わる可能性があります。

▸③英語の外部スコア

英語の外部スコアを提出する大学には、大きく2つの特徴があります。それは、「スコアを圧縮して点数換算する大学」と「出願時に最低スコアが求められる大学」です。後者の場合、外部スコアがどのように活用されているか分からない場合も多いため、まずは最低スコアの突破を目指しましょう！
また、スコアの有効期限もチェックしておいてください。
＊：TOEFLでも出願可能です。

▸TOEIC

＜スコアを圧縮して点数換算する大学＞
・大阪大学＊　※スコア換算表が募集要項にあります。
・香川大学
どのスコアでも出願は出来ますが、高得点であるほど合格可能性が高くなります。特に2つの大学は受験者のレベルが高く、理科で挽回するのはかなり難しいため、最低でも800点あることが望ましいでしょう。
※筆者は、800点台前半で香川大学の筆記試験に合格しました。

＜最低スコアが設定されている大学＞
・北海道大学：680点＊
・島根大学：600点
・香川大学：600点　※最低条件に加えて、スコアを圧縮して点数換算されます。
・愛媛大学：600点
・長崎大学：1,150点＊　※S&Wを2.5倍にして加算。
・鹿児島大学：720点＊　※令和7年度～
・琉球大学：600点＊
※筆者は、700点台前半で北海道大学の筆記試験に合格しました。700点台で最終合格された方もいるようです。

＜スコア提出が求められている大学＞
・筑波大学：当日英語の試験あり＋提出任意
・富山大学：筆記試験の形式は不明＋提出必須＊　※令和7年度～
・高知大学：当日英語の試験なし＋提出必須＊

▸TOEFL

Home Editionでも問題ない大学、iBTではなくITPでも大丈夫な大学がありますので、各大学の募集要項を必ずご確認ください。
＊：TOEICでも出願可能です。

＜スコアを圧縮して点数換算する大学＞
・弘前大学
・大阪大学＊　※スコア換算表が募集要項にあります。

＜最低スコアが設定されている大学＞
・北海道大学：71点（ITP：530点）＊
・東京医科歯科大学：80点
・岡山大学：60点
・長崎大学：42点＊
・鹿児島大学：64点＊　※令和7年度～
・琉球大学：61点＊　

＜スコア提出が求められている大学＞
・富山大学：筆記試験の形式は不明＋提出必須＊　※令和7年度～
・金沢大学：当日英語の試験なし＋提出必須
・高知大学：当日英語の試験なし＋提出必須＊

▸その他

・高知大学：TOEIC・TOEFLだけではなく、IELTSでも可です。
・長崎大学：様々な試験で出願可能なため、募集要項を確認してください。

・琉球大学：TOEIC・TOEFLだけではなく、英検準1級以上でも可です。

▸④論文を書いているか

過去に論文を執筆していることが求められる大学があります。論文のレベルについて悩まれている方も、評価基準が不明な場合が多いので、論文さえ執筆していれば、出願してみることをおすすめします。

▸論文要旨の提出が求められる大学

・筑波大学　※在学中の受験者は提出する必要なし。
・東京医科歯科大学　※ゼミでの発表等も含む。研究や勉学の成果。
・神戸大学
・浜松医科大学　※任意
・名古屋大学
・香川大学　※筆記試験合格後
・高知大学

▸研究に関する発表がある大学

・神戸大学：出願者の最近の研究と医師を志すに至った経緯について

▸⑤推薦書

出願に際して、推薦書が求められる大学があります。私は、研究室の指導教員に依頼をしましたが、既に指導教員が退職されていたり、依頼が難しい場合もあるかと思います。出願に際して、推薦書が不要な大学を挙げていきます。

▸推薦書が不要な大学

・北海道大学
・弘前大学
・筑波大学
・富山大学
・福井大学
・名古屋大学
・大阪大学
・奈良県立医科大学
・鳥取大学
・香川大学
・高知大学

▸⑥地域枠

出身地域が限定されている募集枠が存在します。倍率が低い傾向があり、出願できる方はチャンスです！しかし、卒業後の条件がある大学が多いため、注意が必要です。

▸地域枠が存在する大学

・旭川医科大学：北海道（高校 or 大学）
・金沢大学：石川県・富山県・福井県（小学校 or 中学校 or 高校 or 大学）
・鳥取大学：鳥取県・島根県・岡山県・広島県・兵庫県（高校）or 父母（義理も含む）が鳥取県在住
・島根大学：島根県（高校 or 高専）※一般枠と併願で、地域枠が優先。
・山口大学：山口県（小学校 or 中学校 or 高校）※全国枠との併願。

鳥取大学はすべての募集枠がこの条件に当てはまるため、上記に該当する方しか出願できません。

▸さいごに

医学部学士編入試験は、毎年変わっていきます。今回の記事は、令和6年度入学者向けの募集要項をまとめたものですので、必ずご自身の受験する年度の募集要項を確認してください。近々、他の特徴についても記事にまとめていきますので、お待ちください。皆様にとって相性の良い大学が見つかることをお祈りしています！