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パソコン故障から復活までの長い道程ドキュメント

 パソコンがとうとう逝ってしまいました;
 以下は、復活を遂げるまでの長い長い道のりを、パソコンはホームページ見たり動画見たりするくらいで、よく分からないよ~!という人も念頭に書いています。パソコン初心者~中級者の方々の、何かの参考になれば幸いです。

<目次>
・前兆、そして始まり
・とにかく動かない日々
・絶望と怒り
・壊れかける人間関係と待たされる日々
・蘇生
・おまけの後日談:OSインストール

前兆、そして始まり

 元々パーツの増設や交換を繰り返しながら長年使ってきていたので、低い性能のまま、ゴマカシごまかし使っていたのですが、ある時、Windows(パソコンを動かすソフトみたいなもの)が起動せず、部品や周辺機器を外したりしながら調べてみると、メモリ(人間でいえば作業机にあたるようなパーツ)が複数だと起動しなくなる状態になっていたのが原因のようでした。
 このメモリを1枚にすると無事パソコンは起動したのですが、作業机がかなり小さくなったため、ただでさえ性能が低かったパソコンがさらに悪化しました。
 おまけに、この状態になったという事は、マザーボード(人間でいえば体にあたるパーツ、つまりパソコン本体)が死にかけているという事の表れでした。
 なので、性能の低いパソコンだと、できる事も限られているので、これを機にパソコンを買い替えて一気にスペックアップを図ろうと考えるようになりました。

 そんな折、友人から仕事の依頼がありました。雑談がらみだったので、その時にパソコン買い替えの話もしました。
 僕はSurface(タブレットにもなる板状パソコン。極薄のキーボードも付いている。)が欲しいな、と思っていましたが、値段がめちゃ高いので、迷っていました。貯金がかなり持っていかれてしまう…。
「絵を描くなら、Surfaceだと厳しいんじゃないの? パーツ交換すればスペック(性能)も十分だし、Surface買うより断然安いと思うけど」
 友人はパソコン・ITに詳しいのでパーツを選んでくれるとの事だったので、お願いする事にしました。実質的にパーツが報酬みたいなものです。

 依頼された仕事を終えて納品もし、見繕ってもらったパーツをAmazonで購入しました。
 購入したパーツは以下のもの。

 ・マザーボード(人間でいえば体)
 ・CPU(人間でいえば脳)
 ・電源(人間でいえばエネルギー)
 ・メモリ(人間でいえば作業机)

 ケース(人間でいえば服)とハードディスク(人間でいえば海馬=脳の中の記憶領域。Windowsもここに入っている。)以外はほぼ全て。 グラフィックボード(人間でいえば眼鏡)は、友人が余っているものを譲ってくれるとの事でしたので、購入していません。
 あと、マザーボードを交換すると(レジストリをいじるという上級者向けの事をしない限り)Windowsをイチからインストールする必要があります。(今はスマホのアプリが一般普及しているので、インストールは説明なくても分かりますよね…;)

 とはいえ忙しさにかまけて、しばらくは買ったパーツを放置していました。
 が、ある日――。

とにかく動かない日々

 ついにWindowsが起動しなくなりました!

 パソコン自体は起動する。パスワード入力もできる。しかしその後、どうしても見慣れたデスクトップ画面が出て来ず、真っ暗な画面でカーソルが動くばかり;
 ほぼ息しているだけの脳死状態となりました……。

 パーツをあらかじめ買ってあって良かった! と、さっそくパーツを交換する事にしました。
 (ちなみにファイル類は普段からWindowsが入っているハードディスクとは別の、もう1つのハードディスクに保存しているので、バックアップの必要もありません。それ以外の、ユーザーデータやフォントなどは、脳死状態のうちにかろうじて起動できるタスクマネージャーというソフト経由でエクスプローラーというソフトを開いて、その中でデータをもう1つのハードディスクに移しました。)

 パソコンのケースをドライバーで開けて、その中の交換するパーツ類も外します。メモリやグラフィックボード、ハードディスクは交換した事がありますが、マザーボード、CPU、電源は初めてです。 スマホで交換方法を調べながら外して、取り付けていきます。
 その後、メモリをマザーボードに挿そうとすると……何故か入らない。よく見ると、マザーボードの差し込み口の形が違う!
 知識がなかったので全く知らなかったのですが、どうやらメモリには世代があって、購入したメモリは一世代前のメモリでした。

 僕は友人に念を押して尋ねていました。
 「パーツの相性が合わないって事はないよね?」 「大丈夫」

「メモリが入らないんだけど。マザボにDDR4って書いてて、買ったメモリはDDR3って書いてあるけど、これ、違うメモリじゃないの?」
 LINEで友人に尋ねると、「ああ、(世代が)更新されてたんだ」と、驚いたような反応。すぐに調べてきて、「じゃあ、(合うメモリを)こっちで買っとく」

 数日後、譲ってくれるグラフィックボードを受け取るついでに、(今度こそ合うはずの)新しいメモリも受け取りました。新しいメモリは友人持ちです。
「メモリ以外は交換できたの?」
「取り付けはとりあえず終わらせたけど、配線ができるかどうか…」
「ランプとか気にしなければ(つかなくてもいいなら)、あとはそんなに難しくないと思う」

 ……難しい!
 やってみたところ、マザーボードは配線が難解で、説明書とにらめっこしながら、繋いでいきました。(どうにも分かりづらい表記で、おまけにケースとの仕様が違うのか、記述通りの線が見当たらなかったり;多分、知識と経験がないと対応できない…;)
 グラフィックボードも取り付け、完成。
 不安とわくわくの入り混じった気持ちで、電源ボタンを押しました。
 ついた!
 ……と、思った途端に電源が切れました。
 焦る。超焦る。
 もう1回、電源ボタンを押してみる。ファンが回った、と思った途端に電源が切れる。
 何度やっても虚しくファンが一瞬回るだけ。

 すぐにスマホで調べまくります。
 考えられるのは、CPUと、CPUの熱を冷ますためにその上からCPUをサンドするようにマザーボードに取り付けるCPUクーラー(CPUとセットで売ってます。)の間の熱制御がうまくいっていない可能性との事。CPUの上部表面に塗るグリス(グレーの粘性歯磨き粉みたいなやつ)が不十分な場合、CPUの熱暴走を防ぐためにパソコンは自動的にシャットダウンする(電源が切れる)仕組みになっています。
 うーん……新品CPUクーラーにはあらかじめグリスが塗られているので、CPUにわざわざグリスを塗る必要はないはずだったのに、あれじゃ足りなかったのかなあ、と、グリスを足してみました。
 CPUクーラーを再度取り付け、電源ボタンを押してみる。変わらない。やはり、ファンが一瞬回ってすぐに切れてしまいます。
 よくよく調べると、CPUに塗るグリスの適量は「薄く・広く」で、そのためにはCPUの上に米粒くらいグリスをちょこんと出すだけで良いようでした。(そのあと、CPUクーラーを取り付ければ、サンドした事でグリスが潰れていい感じに広がるそうです。)
もう1回グリスを塗りなおそうとするも、ちょうどグリスを使い切ってしまったので、できず。仕方なくAmazonでグリスを注文してまた数日待つ事になりました。

 そして数日後、ようやくグリスが到着し、待っていたとばかりにまたパソコンのケースを開け、CPUクーラーを取り外して、CPUにグリスを米粒程度に出してCPUクーラーを再度取り付けました。
 不安を覚えつつ、電源ボタンを押します。
 ……変わらない。ファンが一瞬回ってすぐ切れます。
 もう、ちょっと泣きそうになっていました。

 友人に連絡し、相談してみました。
 時間もかかっているので、修理店などに持ち込んでみようと思う、と。 近辺で修理受付している店をいくつかピックアップしてくれました。
 それも参考にしつつ、一応自分でも調べてみましたが、最終的にピックアップしてもらった中の一店に持ち込む事にしました。

絶望と怒り

 修理店にパソコンケースを抱えて持ち込みました。その店の人たちは平均年齢がだいぶ高めのベテランの方ばかりでした。ちょうど応対してくれた人は柔和な感じで、話しやすい人でした。
 さっそく経緯を説明して、状態を診てもらいました。
「ああ、なるほど動かないですね」
「配線もちょっと初めてやったので、不安なので診てもらいたいんですが…」
 配線をチェックしてもらう。
「これ、プラスとマイナスが逆ですね。黒がマイナスです。ほら、車とかも大体同じじゃないですか」
 ……クルマは分からない;
「マザーボードにも記してありますよ」と、ルーペで見せられる。……確かに、めちゃくちゃ小さい文字で記載されています。小さすぎて気づかなかった;
 で、配線を繋ぎ直してもらいました。電源ボタンを押す。
 ……変わらない。一瞬だけファンが回ってすぐ切れる。
「ああ、これでもダメだ」
「じゃあ、電源かもね。500Wでしょ?」
 とうとう、そばにいた店長さんも入ってきました。(この人はちょっとドライな感じでした。)
 次に疑ったのは、パーツの性能に対しての電源の電力不足でした。
「これ1200Wの電源なんで、これなら大抵の場合は電力が補えます」
 と、1200Wの電源をマザーボードに繋いで、起動を試してもらいます。
 ……変わらない。一瞬だけファンが(以下略)

「となると……ファンも回らないってのはちょっとないはずなので、考えられるとしたら、マザーボードで電力が絶たれている、という事かもしれないですね。つまりマザーボードがショートしてるかも…」
 えっ! マザーボードがもうダメ!?
 ほんのり青ざめる。
「これ、CPUは何ですか? 箱、持ってきてます?」
「ああ……置いてきました。待ってください、購入記録があります」
 スマホでAmazonの購入記録を見せる。
 その型番で店長がネットで調べる。
「ああ……これ最新型だ」
 どこかのWEB記事をプリンタで印刷して見せる。
「このCPUはZ370ってチップセットにしか対応してないんで、このマザーボードじゃ対応してませんよ。Z370のチップセット搭載のマザーボードじゃないと」
 た、た、対応してない!?
「合わないマザーボードにCPU乗せちゃうと、ショートするおそれもありますからね。マザーボードが死んでるかもしれませんね」
「で、でも、詳しい友人に選んでもらったんですけど……」
「ああ、お友達は知らなかったんですね。お店の人は買う時に言いませんでした?」
「いや、通販で買ったので……」
 店長と店員が「ああ、そりゃ…」といった反応を見せる。
「買う時はお店の人に相談した方がいいですよ。通販は発送するだけですから」
 頭の中が揺らいでいく。5桁のパーツが、使うことなく死亡宣告。
「…………じゃあ、マザーボードを交換という事でしょうか?」
「そうですけど、電源も換えた方がいいと思いますよ。あのグラフィックボードはかなりパワー食うので、少なくとも750はあった方がいいですよ。突然、落ちたり(=シャットダウン)するかもしれないので」
 怒りが込み上げてくる。聞いていた話と違う。選んでもらったパーツで大丈夫だと言っていたのに、何故こんな事に。そういえばメモリも違ってたし。

 とはいえ、それは店の人には関係ないのでそれはさて置き。マザーボードを交換した場合(+電源も交換した場合)の見積もりを訊きます。
「そうですね、うちで置いてるのだと……」
 マザーボード+電源+修理手間代で、合計約4万4千円。
 頭が真っ白になりそうでした。
「友人に選んでもらったパーツなんで……ちょっと友人と相談してみます……」
 白い顔でパソコンを持ち帰りました。

壊れかける人間関係と待たされる日々

 静かな怒りと共に、友人にLINEで報告する。
 診断結果と修理交換費用を連絡し、返信を待ちました。
 夜遅い時間にチェックすると、既読がつきました。
 返信を待ちます。
 ……返信が来ない。
 遅い時間なので明日返信くるかな、と諦めて寝ました。
 朝になっても連絡はありませんでした。
 朝は忙しいだろうから、後で返信来るかな、と待ちました。
 ……昼は来ませんでした。さすがに昼はそんな時間ないかな、と夜を待ちました。
 ……夜になっても返信は来ませんでした。
 帰宅が遅いのかも。もう少し遅い時間に来るかな、と待ちました。が、さすがに夜が深くなってきたので、次の日には返信が来ている事を願って、その日は寝ました。

 朝になりました。
 ……返信は来ていませんでした。
 24時間以上経っても返信を返さないのか! あの野郎、しらばっくれるつもりか!
 だんだんと、僕の頭の中の湯がぐつぐつと音をたてて沸き始めました。

 でも向こうも仕事があるので、朝から激情のままに書くのは控えて、夜――いや、夕方くらいまで待とうと自分を抑えました。
 瞬間の感情に身を委ねなかったのは正解でしたが、その間ずっと悶々としていました。
 どういうメッセージを送ろうか。こういう言い方は、ちょっと言いすぎかな。でも怒っている事は伝えたいし……うーん、うーん……。
 夕方頃、メモアプリで文章を書いて、読み直して、「これは言い過ぎか…」と訂正して、読み直して、訂正して……。
 まとまったところで、LINEで送信。でも結局、完成した文章からさらに言葉を絞ってのメッセージとなりました。

 夜、ようやく友人から返信が来ました。
「合わないパーツ薦めたのは謝ります。怒っている事はよく分かるけど、言葉を選んだ方がいいと思う」
 ええっ、あれでもだいぶ抑えたつもりだったのに!
「言葉が過ぎたのは謝る。連絡来ないから頭来てた」
 というやり取りで、これで何とか壊れかけた人間関係の崩壊は回避できました。感情のまま身を委ねなくて良かった;(アンガーコントロールってやっぱり大事です。)

 とりあえず、マザーボードに搭載されているチップセットというものが合わない事が原因なので、CPUに合っているマザーボードに交換しない事には始まりません。
「マザーボードはどんなヤツ薦められた?」
「型番はちょっと控えてる時間なかった」
 店で示されたマザーボードの外観の特徴を伝える。友人が調べて、該当するものがあったようでした。自分の使っているマザーボードよりもいいものじゃないか、と言っていました。
「Z370でちょっと調べてみる」
 と言われて何分か待ったところ、
「これなら負担できる」
 と、一つのマザーボードを示されました。確かにZ370チップセット搭載で、店での見積もりより断然安い。
「電源も500Wじゃ動かないって言われたけど」
「動かない事ない。ハードディスク増設とかしたりしたら分からないけど、とは言った」
 うーん……店の人が言っていた「500Wじゃ厳しい」という言い方の解釈を間違えていたのかな……。
 というわけで、マザーボードの交換のみ友人ができるという事なので、マザーボードのみ交換する事に決めました。
(ちなみに、なぜ返信を返さなかったのかは訊けませんでした;)

 ただ、店で見積もってもらった時は、店にあるマザーボードとの交換でしたので、こちらで選んだマザーボードを指定して交換が可能なのか、それを確かめる必要がありました。
 修理店のホームページを見てみるとメールフォームがあったので、以前、診断してもらった者である事、友人との相談の結果と、希望のマザーボードの型番を記述して、そのマザーボードとの交換が可能かを質問で送りました。すぐに自動返信が来て、「すぐに返信しますので、しばらくお待ちください」と、ありました。
 そして、修理店からの返信を待ちました。

 ……次の日になっても店からの返信は来ませんでした。
 すぐに返信を返すとあったのにおかしいな、と、カレンダーを見ると、土、日、月と3連休に差し掛かっていました。(僕は特に予定はない)
 ホームページを見ても特にお休みしますとは書いていない。でもすぐに返信しますとあったのに来ない…。休みなのか……。
 チキンな僕は一応、連休が明けるまで待つ事を選びました。
 ただ、気がかりなのは、パソコンでホームページを見ると有るメールフォームが、スマホで見た場合は無いという事でした。

 そして連休が明けました。
 まだ返信は来ない。何時間か待っても、まだ来ない。
 さすがにおかしいと、痺れを切らした僕はとうとう電話をかけました。(初めからこうすれば良かった;)
「すいません、この前の×曜日に起動不良の黒いケースのパソコンを診ていただいた者なんですけど…」
「ええと……皆さん黒いんで、どれか分からないんですけど」
 そ、そうなんだ……;
「マザーボードがCPUと合わないって診断で、友人に選んでもらったので相談しますって持ち帰った……」
「ああ、はいはい、分かりました」
「あの、メールで一応何日か前に問い合わせたんですが、返信がなかったので電話したんですけど……」
 それには特にコメントもなく、
「で、その後、どうでした?」
「友人が見つけてきたマザーボードでしたら負担できるとの事でしたので、それで交換は可能でしょうか?」
「ええと、そちらでマザーボードを持ち込んで交換という事ですか?」
「はい、そうです」
「まあ、それは可能ですが……Z370のチップセットでないとダメですよ」
「はい、それは大丈夫です」
「ただ、金額は交換だけではないですからね」
「ああ、手間代ですよね?」
「交換して、OS(Windowsなどのパソコンを動かすソフト)インストールとかも込みですかね?」
「あ、いえ、OSはこっちでやるので、大丈夫です」
「でもBIOS(バイオス→マザーボードに組み込まれているパソコン設定の基本プログラム)の設定とかもあるんで、それ設定しないと立ち上がらない(=起動しない)事もありますからね」
 ん?BIOSは詳しくないけど、そんなに素人に難しいのかな?
「じゃあ、OSインストール込みの場合は全部でお幾らになりますか?」
「まあ、2万あれば足りますよ」
「じゃあ、マザーボードの交換のみの場合はお幾らでしょうか?」
「それなら5千円くらいで大丈夫です」
 うーん……15,000の差は大きい。というか5000円ですら損しているのに、5桁の金額を払うなんて馬鹿みたいだな……。
「分かりました。OSの方はまた検討するとして、マザーボードを入手次第、近々また伺います」

 こうして予定だけ取り付けて、ひとまず友人に報告。
「20,000はもったいない。OSインストールくらい自分でできるでしょ?」
 と言われ、そうれもそうだな、と思い直し、マザーボード交換のみで決定し、マザーボードをAmazonで購入しました。アマゾンプライムに入っていないので、4~5日後の到着予定となりました。
 ま、また待つのかっ……!

蘇生

 待ちに待ったマザーボードがついにAmazonから届きました。
 これを注文する前、ネットで調べまくりました。今度こそちゃんとCPUと合うのかどうか。また違ってたという事になったら、また高い金額の揉め事に発展しかねません。
(販売店で訊こうと思いましたが、足を伸ばすには遠いので、待っていられませんでした。)
 希望のマザーボードと手持ちのCPUの組み合わせは定番の一例だったのか、割と同じ組み合わせでパソコンを組んでいる人の前例がいくつか確認できたので、確信を持ってAmazonで注文していました。

 早速Amazonから届いた箱を未開封のまま、パソコンと一緒に再度、修理店にGOします。
「すいません、この前電話した○○ですけど」
 パソコンとマザーボードを置いて、店長と注文の話に入る。
「ええと、マザーボードの交換と……OSインストールも込みですかね?」
「あ、いえ、OSはこっちでやりますので、マザーボードの交換だけでお願いします」
「でもBIOS設定とかやらないと立ち上がらないと思いますよ。下手に設定するとかえって、おかしくなるので」
 ん? BIOSを触った事がない訳ではないけど、そんなに難しいのかな? 起動順をハードディスクかDVDドライブか変更するくらいならできるし、それ以外は触らないつもりなんだけどな……。
 ここで若干の不安を覚えて、決定が揺らぎます。
「でもブースト(ブート=起動を言い間違えていました;)の順番を変更できれば、立ち上がりますよね? それ以外はそのままにするつもりなので」
「まあ、そうですけど……できます? 後で立ち上がらないとなっても結局同じですし」
 ……まあ、ネットで調べれば何とかなるでしょ。
「多分、大丈夫だと思いますので、マザーボードの交換だけでお願いします」
「……分かりました。それじゃ交換だけですので、動くかどうかは保証できませんよ」
 えっ!? 動作確認もしてくれないの?
「動作確認はしてもらえないんですか?」
「それは使ってみないと分からないですから。交換だけという事でよろしいんですよね?」
「……はい、まあ。分かりました」
「それじゃ×時までには終わると思いますので」
 終わったら連絡をくれるという事で、パソコンを預けて店を後にしました。
 まさか、動作確認すらしてくれないなんて……と、信じられない気持ちと、前回、合わないCPUとマザーボードを組み合わせたため、CPUがまだ生きているか懸念が残っていたので、マザーボードを交換して起動するか不安を覚えながら待機する事になりました。

 数時間後。
 スマホに連絡が入りました。
「マザーボードの交換が終わりましたので、連絡しました。BIOSの起動も確認できてますので」
 動作確認してるやん!
 心の中でツッコミ入れつつ、「そうですか! 分かりました、すぐに伺います」と返して通話を切る。
 どうやら、動作確認してくれないんですか?との問いに肯定したのは、おそらくOSインストールした後の話だったのではないか、と後で解釈しました。うーん、会話が噛み合わない……;

 来店後、交換終了後のパソコンの電源をつけてくれました。BIOS画面が表示されます。
 な、何だこの綺麗なBIOS画面は!
 まるでゲーム画面かのようなインターフェース! 前使っていたマザーボードの、青い画面に英字が羅列してるだけの簡素なBIOS画面とは天と地の差! 日本語表記まであるじゃないですか!
 いかに自分がロースペックなマシンを使っていたのかを実感しました。
「このモードは変えないでくださいね。変にいじると起動しなくなりますので」
「モードってのがあるんですね? 分かりました。多分、ブースト(ブートの言い間違い)の順番を変える以外はそのままにすると思います」
 この日はずっとブート(起動)の事をブーストと言い間違えていたのですが、訂正してくれても良かったのにな、と後で思いました。
 あと、BIOS画面を見せてるんだから、この時にブート順の変更方法を教えてくれてもいいのにな、とも後で思いました。
「でもあのグラフィックボードを載せるなら、電源は変えた方がいいと思いますよ。500Wじゃ本当に厳しいと思いますんで」
「ああ、パワーを食うんですよね。分かりました。ちょっと使い方気をつけてみます」
 店員の人も言葉をつけ加える。
「あのー、パソコンはお金がかかるものだと思ってください。あのグラフィックボードは本当にいいものなんで、それなりの電源が必要になるんですよ」
 最後まで不安を煽ってくるなあ。
「分かりました。まあ、その時はその時で考えます。使い方に気をつけてみます」
 会計を済ませ、ようやく晴れ晴れとした気分で、爽やかな挨拶と共に店を後にしました。
「ありがとうございました!」

おまけの後日談:OSインストール

 パソコンが動くようになるまでの長い日々に疲れ、持ち帰ったものの、すぐにOSインストールする気になれず、その日は安心して床につきました。
 翌日、電源ケーブル、マウス、キーボードなど必要最小限のものを繋げて、電源をつけてみます。(グラフィックボードはまだ入れていません。)
 ゲームのインターフェースのような綺麗なBIOS画面が表示されます。
 うーん……古いBIOSと違って見やすい・分かりやすい画面ではあるけど、起動順の設定項目がどこにあるのか分からない。
 マザーボードの型番を頼りに、スマホで調べてみる。
 うーん……意外に情報が見つからない。古いBIOSでは設定方法とか、いくらでも情報出てきたものなのに。新しいものだから案外、情報が少ないのかな……。(後から考えればマザーボードの型番ではなく、BIOS名で調べるべきでした。)
 仕方なく、マザーボードの説明書を見てみる。
 ……あった。最初の画面の上下中央より上くらいに、ハードディスクやDVDドライブのアイコンみたいのが横一列に並んでいるのが、それっぽい。このアイコンの順序をマウスで並び替えると起動順を変更できる仕様のよう。以前使っていたマザボのBIOSでは、デバイス(機器)ごとに1stとか2ndとかを設定する方式だったのに比べて、視認性がすごく高くなっていると同時に、分かりやすくて設定しやすい! そもそも、BIOSでOS操作のようにマウスが使える事にちょっとした感動を覚えました。

 起動順序をDVDドライブ優先に変更して電源を落とし、DVDドライブにWindows8のメディアを入れて、再度電源を入れます。
 起動順を変更したので、DVDドライブの中のWindows8のメディアを読み込み、OSインストールが無事はじまりました。
 Windowsをインストールするハードディスクを選んで、インストールを開始します。

 …………

 しばらく経った頃、ついにWindowsのインストールが終わって起動しました。
 アカウント設定を終えて、ログインします。グラフィックボードはまだ入れていないので、表示がまだいろいろ大きい状態です。でも普通に動いているようです。
 ……と、思いきや。
 ネットが繋がっていない!
 線は繋いでいるのに、ネット接続が認識されていません。
 ネットワークアダプタ(マザーボードのネットワーク担当みたいなところ)のドライバ(機器を動かすためのプログラムみたいなもの)が当たっていないのかな? と、デバイスマネージャー(パソコンの機器構成を示す機能)を見てみると、ネットワークアダプタに異常はないけれど、「シンプル通信コントローラー」とか「SMバス」とか、よく分からないもの5つくらいに?が付いている。(=有効になっていない)
 でもまあ、マザーボードに付属のDVDにドライバ類は入ってるでしょ、と慌てず騒がず、箱の中からDVDを取り出して、DVDドライブに入れて読み込ませました。
 DVDにネットワークアダプタのドライバは入っていました。ですが…
 Windows10用のドライバしかない!
 調べてみると、そのマザーボードはWindows10での使用を想定されているらしく、それより前のWindows用のドライバは用意されていないらしいのでした。(マザーボードのメーカーのホームページでも見つからなかった。)
 どうする……。ネットが使えないのは死活問題だ……。

 スマホで、何とかWindows8で使えるドライバがないのか、マザーボードの型番を頼りに調べてみます。
 調べてみると、同じトラブルを抱えている人はやはりいるらしく、価格.comなどで相談している例が見つかりました。
 相談への返信を見ると、ネットワークアダプタのメーカーで該当のドライバを入れればいいとの情報があったので、マザーボードの説明書を見て、構成欄の中に記載されているネットワークアダプタの型番を調べる。そうか、これのメーカーはIntelなのか……。じゃあ、Intelのホームページから該当のドライバを引っ張って来ればいいんだ!
 しかし、ネットが繋がらないので、そのホームページにアクセスができません。スマホでドライバをダウンロードしたとしても、USBメモリをスマホに繋ぐ事はできないので、スマホの中からドライバを抜き出す事ができません。
 ……困った……。

 そこで引っ張り出したのが、長年使わず放置していたポケットPCでした。ノートパソコンよりも小さいながらもWindows7が入っていて、文書仕事程度なら可能なミニパソコンです。いつの間にか、尋常じゃないくらい動作が重くなって、ファイルを開くのも、WEBページを移動するのにも、いちいち何分もかかるような状態でした。(出荷状態に戻したいのですが、説明書をちゃんと保管していなかったので、どうすればよいのか分からず、放置していました;)
 時間はかかりますが、今、USBが使えてネットに繋がる機器はこれしかありません。
 起動してログインし、ネットブラウザを開きます。
 ……………………
 ………………………………
 …………………………………………遅っ!
 ようやく開いて、グーグル検索で型番を入力して検索します。
 ……………………
 ………………………………
 …………………………………………遅(以下略)
 こうして1回1回時間をかけながら、ようやく目的のドライバダウンロードページに辿り着きました。
 Intelのホームページには、Windows8用のドライバも配布されていました。さっそく、Windows8用のダウンロードページのリンクをクリックします。
 ……………………
 ………………………………
 …………………………………………
 ……………………
 ………………………………
 …………………………………………
 ……………………
 ………………………………
 …………………………………………
 今度はいっこうに次のページが表示されない。読み込み中が延々と続きます。
 どれくらい待ったのか。10~20分以上は待ったと思う時間を経て、何とかダウンロードページが表示されました。
 ここまで来れば!
 ドライバダウンロードのボタンを押して、USBメモリにドライバをダウンロードします。ダウンロードが終わったのを見届け、ポケットPCから外して、ポケットPCを終了させました。
 さっそくUSBメモリをパソコンに挿して、その中にあるドライバをインストールさせて、再起動させます。
 ログインしてみると……無事、ネットを認識しました!長かった!
 とりあえずネットさえ繋がれば、必要なものはネットから拾ってくる事が可能なので、以降は色々やりやすくなります。
 一応デバイスマネージャーを確認してみました。
 あれ? シンプル通信コントローラーやSMバスといった、?の付いていた5個が、依然そのままになっている。
 通信などと付いているので、これらがインターネット関連だと思っていたのに、解消されないのか。でもネットは繋がる……。
 マザーボードの型番頼りに、ネットでで調べまくります。Yahoo知恵袋などの同様の相談例で、「動作に支障がなければ使われていないという事だから、無効にすればよいのでは?」との声もあり、それもそうか、と、?の付いていたデバイスを無効にして、それらの件は終了にしました。

 次に手を付けたのはグラフィックドライバでした。今のままではアイコンや文字の表示が大きく、使いづらい状態なので、グラフィックボードを入れなくてはなりません。
 再度パソコンを終了させ、ケースを開けて、グラフィックボードをマザーボードに取り付けます。この際に型番をメモしておきました。
 ケースを閉じ、パソコンの電源を入れます。
 グラフィックボードが物凄くパワーを食うと、修理店で散々脅されていたので、グラフィックボード取り付け後の動作が心配でした。
 Windowsが起動し、ログインし……んんっ? 表示が変わっていない。グラフィックボードを取り付ける前と全く同じ解像度。グラフィックボードが認識されていない?
 でもWindows起動前に、グラフィックボードのメーカー名が端に表示されていたので、認識はされているはず……。
 デバイスマネージャーで確認するも、ちゃんと認識されていて、?も付いていない。(→ 一見、異常はなさそうに見える。)
 とりあえず型番を頼りに、ネットで調べます。このメーカーは型番ごとというより、シリーズごとのドライバになっているので、そのグラフィックボードが何のシリーズにあたるのか、シリーズ名をとにかく調べます。
 「多分、このシリーズっぽいかな……」
 グラフィックボードのメーカーホームページで、該当シリーズのドライバをダウンロードして、インストールし、再起動してみました。
 無事、解像度が劇的に上がったデスクトップ画面が表示されました。第二段階、クリア!

 動作性は、どうやら普通の状態では、特に異常はなさそうです。
 とはいえ、高負荷のかかる作業をした時が問題なので、そういう作業を実際にしてみなければ判断できません。
 漫画イラストソフトのCLIP STUDIO PAINTを販売しているCELSYS(セルシス)の、ポータルサイト「CLIP STUDIO」にアクセスしてログインし、WEB購入したCLIP STUDIO PAINTのインストーラーをダウンロードして、再インストールします。
 外付けハードディスクをパソコンに繋ぎ、保存してあった過去のB4サイズのカラーデータをCLIP STUDIO PAINTで開いてみました。以前のマシンでは開くのに数分かかったものが、今回のマシンでは秒で開ける事にまず感動。そして、仮のベクターレイヤー(※ソフトの説明はテーマ外なので、今回は割愛します。)を作って、ペンでぐりぐり試し描きしてみます。
 ……一応、普通に線が描けるっぽい。
 B4サイズのベクターで線が描けるなら、ひとまずの目的レベルもクリアのようです。(あとは、ベクターで線の密度が能力的にどこまで可能かが気になりますが、これは実際にそういう絵を描いてみないと判断できません。とはいえ、それでキツそうだったら、ラスターに変換すれば事足りるかな、とも思っています。グラフィック・ペイント系ソフトを扱わない人は、サッパリ意味が分からなくてゴメンナサイ(^^;))
 この動作性なら、いったい、なぜあんなに修理店で脅されたのか……;

 メーラーもインストールし、当面よく使うソフトもインストールして、ようやく最低限の環境まで、なんとか復活を遂げました。
 初旬に故障したので、ほぼひと月近くの時間がかかりました。あらかじめパーツも用意して備えて、数日で復旧する予定が、何故こんな事にっ……!
 故障から復旧まで、いろいろ考えられるトラブルを、体験を基に記述しました。予防等の参考になれば幸いです。

 今回の経験の教訓。
 買う時はお店で訊いて買う! やはりプロが信頼できます。

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