細川洋平(ほろびて)

yohei hosokawa 演劇カンパニー・ほろびての主宰、劇作、演出/俳優/アニメ…

細川洋平(ほろびて)

yohei hosokawa 演劇カンパニー・ほろびての主宰、劇作、演出/俳優/アニメライター

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半演劇日記-15

2024/01/26 昨日も通しをして、夜まで返し稽古。稽古場がある…稽古場があるよ…。ずっとこの思考から離れられない。長らく稽古場を探すのに苦労していた年月があったので、自分のカンパニーでどっしり稽古ができている事実に胸がホクホクする。家を失った人々の不安、帰る場所がある安心感。そういうものと無縁じゃないと少しでも感じながら、想像しながら。 今日は昨年からの宿題を終え、やっと頭の中がすっきりとしてきた感じ。喫茶店を2回、移動しながら、小道具周りの自分が担当したいと言った買

    • 半演劇日記-14

      2024/01/22 本番まであとだいたい10日。直前と言えば直前だ。いや、十分直前だ。 稽古を見ているときに、何度も深く息を吐く。出演者のみなさんの演技にたくさん心が動かされている。 どうしてこんなことをしてるんだろうと考えることもある。今回は笑いどころもたくさんあるし、役者さんの演技もすごい。だけど、全然楽な道じゃないし、言ったらすごく大変なことをやっている。 こんなとき、自分が率先して大変な役をやればよかったんだろうか、と思うことがある。たぶん自分が俳優もやっているとい

      • 『センの夢見る』あらすじ公開しました。

        • 半演劇日記-13

          2024年1月11日 前回書き残して下書き保存したものを先ほど公開して、この日記に取り掛かっている。 本日は立ち稽古4日目。 通し稽古を実施。ムリ通し。昨日までの3日間でシーンを作り、今日は全編をやってみた。美術デザインはほぼ固まっているので、土台はある。稽古場も実寸を取れる。支えてくれる人たちもいる。やるっきゃない。 地ならしではなく、3日間、新しいことを詰め込み続けてからの通しなので俳優陣には相当の負担があったと思うけど、最後まで行った。俳優のみなさんは本当にすごいと思

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          半演劇日記-12

          2024年1月9日 立ち稽古2日が終了。 途中、syuz'genの植松侑子さんにリスペクトトレーニング講習を開いていただく。 リーディング公演の稽古初日に続き、ぼくや俳優陣などは2度目だけど、今回はスタッフさんも全員参加してもらう。それを考慮した内容で植松さん、さすが…。 こういう講習は、今回みたいに稽古初日と稽古中盤の2回、実施するのがいいのではないか。稽古初日にはお互いをそれほど知らない状況だけど、みんなの人となりをある程度知った稽古中盤の実施は、より効果的で、いい機

          半演劇日記-11

          2024年1月5日 読み稽古を続ける。深まっていくといいなと思いながら。すべては気づきにつきると思う。何もかも、気づいていくことがきっと大事だ。 夜の空いた時間、『3・11の未来/日本・SF・創造力』(作品社)の瀬名秀明が寄稿したエッセイを読む。アニメ評論家の藤津亮太さんがコロナ禍にあって再読しているとポストしていたことで知った、瀬名さんが3.11を経て考えたことをまとめた原稿だ。3.11当時を知る人は多いと思うが、Twitterには情報が氾濫していた。凄まじい量の情報が流

          半演劇日記-10

          明けましておめでとうございます。 昨年は各方面でお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 2023年の振り返りをしようと思ったけど、今は引き続き『センの夢見る』で頭がいっぱいでございます。ぜひ見に来ていただきたいです。 12月。台本の第一稿を上げて宮崎玲奈さんに演出してもらってリーディング公演を実施して、それからもずっと台本のことを考えています。というのも、日々、自分の考えていることに変化があり、発見があり、そうすることで台本に込めた思いを再検証してまた

          砂の国の遠い声

          劇壇ガルバ『砂の国の遠い声』が終了しました。 久しぶりの舞台出演に大きな大きな回り道をしましたが、とにかく稽古場は居心地がよく、たのしく、内容の詰まった日々でした。 やはり自分は自分の体でしかないということに尽きる。それを互いに知るところからはじまるんだなあと実感しました。 主宰の山崎一さん、演出の笠木泉さん、出演者の大石継太さん、佐伯新さん、玉置孝匡さん、長谷川朝晴さん、矢野昌幸さん、本当にありがとうございました。ガルバの陣内昭子さん、山崎元晴さんや、稽古の日々を一緒に過

          時間

          降る。積もる。内側にある時間ではなくて、外側に。 それこそが見るべきものである。 体から時間がこぼれても、外に降り積もるものはたしかにあった。

          半演劇日記-9

          2023年10月22日  劇壇ガルバ『砂の国の遠い声』稽古オフ。はじまって一週間、ギュギュッとぐんぐん進んでいく。どんな稽古が立ち上がるのだろうかとはじまる前は想像もつかなかったことがどんどん立ち上がっていく。当たり前だけど、共演者のみなさんがおもしろい。ビックリマークをつけたい。 舞台上では”当たり前”のことを確認・共有してもっと先を見据えていく。演出の笠木さんがまたすばらしく、素敵。笠木さんは今後もっといろんな演出の仕事が来るだろうな。バランス感覚や言葉の選び方がとても

          半演劇日記-8

          2023年10月14日  ヨン・フォッセの戯曲、きっと出るだろうな。読むのが楽しみだ。 『戒厳令下の新宿: 菊地成孔のコロナ日記』(菊地成孔・新潮社)の中に、悲しみが結晶化していて、そこには血が通っていなかった、というような文章をふと見つけてドキッとする。偶然の立ち読みだったので引用もできずうろ覚えで恐縮なのだけど、「悲しみが結晶化する」という言葉の繊細さ。どういう状態であるかが瞬間的に、感覚的にわかってしまう。悲しい報せに触れた文章だったのだけど、そのように誰かの状態を丁

          半音楽日記-Ⅱ

          期間限定とのことなので、公開が終わったらこちらも修正するかもです。 THE YELLOW MONKEYの吉井和哉がTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT『世界の終わり』をカバーしてる。 2015年のTRIADレーベルのイベントでの一幕。 2023年10月11日にミッシェルは解散20周年だって。ふうう! THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとの出会いはこの曲で、高校生のときにラジオから流れてきたときの衝撃たるや。アベフトシの鋭いギターサウンドと

          半演劇日記-7

          2023年10月10日  いろいろと気にかけていただいたり、助けてもらいながら公演準備は続く。ふとしたLINEやメールのやりとりにふふっと顔や心をほぐしてもらっている。 今は台本を考えているので「台本を書くとは」という部分ばかり書いているが、やがて稽古がはじまる際には演出とは、稽古とは、ということをたくさん考える時間がやってくる。人と人とが顔を突き合わせての試行錯誤の時間、そっちもたのしみだ。 しかし今は台本。手が止まる。1行なり、ひとつの掛け合いなり書いていけば必ず前進

          半演劇日記-6

          2023年10月8日  本を買う行為は「この本にある世界観をわたしはこれから受け入れるつもりだ」という意志表示であるようにも思う。ということを本を読みながらつらつら考える。 台本を書いては引き返し、小さく書き直したりもとに戻したりしている。極端に神経を使う場面では(それが上演面ではささいな場面でも)何度も手が止まったりする。書けば書くほど選択肢は消失し、別の選択肢が現れる。全体の輪郭がどのようになりたいのかを台本に少しずつ聞きながら進める。離れて考える。の連続。 ハマスが

          半音楽日記-Ⅰ

          2023年10月5日  これ見て泣いた。MCも曲もよいので見てほしい。 (Fear, and Loathing in Las Vegas主催の音楽フェスにアイドルのPassCodeが出演したときのです)

          半演劇日記-5

          2023年10月4日  台本を進め、さる申請書を書く。 作劇をする上で「物語」というものに全幅の信頼をおけなくなって数年。ということは、ほろびての上演を知っている方なら多少なりともわかっていただけるのではないかと思うのだけど、今回もそういうものを書いているつもりではある。けれど、ガラリと変わったと受け取られる気もしている。 語りの断片の配置具合や要素のカリカチュアライズの加減は作家の感覚や切迫感によって変化していくだろう。つまり作家の個性や特性がそこに出る、と、思っている