永遠に見ていられる映像だった。

最近「アンダー・ザ・シルバーレイク」と「フロリダ・プロジェクト」を見たのだけど、どっちもめちゃくちゃおもしろかったので書いときます。「アンダー・ザ・シルバーレイク」は、「イット・フォローズ」のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督、主演は「ハクソー・リッジ」が印象的だったアンドリュー・ガーフィールド。「イット・フォローズ」も不気味で最高だったけど、「アンダー〜」はとにかく見ている方は不条理としか思えないくらいのできごとが次々と起こるし、悪夢みたいな、デヴィッド・リンチみたいなノリがとても最高だった(小並感)。

そんで「フロリダ・プロジェクト」は、「見つけたああ!ここにあったの!!!」っていう映画だった。いろいろと好きな要素は多いのだけど、アメリカ郊外の風景はとにかく琴線に触れまくるし、「スリービルボード」や「ママの遺したラブソング」や「バグダッド・カフェ」みたいな、今パッと思い浮かぶのはそのくらいだけど、風景がよいし、カメラワークはウェス・アンダーソンのような美学を感じさせるし、映像が饒舌で視覚にわさわさと情報が入ってくるのが心地よかった。という絵的な部分がまず。それから、なんと言っても、ムーニーを演じたブルックリン・プリンスとその母・ヘイリーを演じたブリア・ヴィネイトの存在がもうすんばらしくて、本当に2人はどうやって撮ったんだろう、監督のショーン・ベイカーはどれだけ撮影現場をコントロールしたんだろうとか、そういう裏側が気になっちゃうけど、とにかく2人があんな2人が映像に記録されているという奇跡におどろいたし、いくつも忘れていたものや手放してしまったものを思い出させてもらったし、永遠に見ていられる映像だった。物語の中の2人にも、キャリアとしての2人にもかがやけるものがありますようにと思っちゃうくらいの。「フロリダ・プロジェクト」というのはディズニーワールド建設にあたっての、実際にアメリカで存在した計画のことらしいんだけど、こういう貧困に向きあうみたいな描き方をした作品でいうと、「万引き家族」が近いかも知れないっていま、書きながら思った。子どもの存在の強さも共通してるかも。比較しているのではないんだけど、「フロリダ・プロジェクト」はとにかくムーニーの明るさというか魅力と、ムーニーとほとんど変わらない無邪気さ、パワフルさを持ったヘイリーによって、全体のトーンがグッと明るくて、永遠に見ていられる映像だった。びっくりした。ムーニーがソファーに座って、アイスクリームを、友だちのスク—ティと交互に舐めてるシーンとかもう、にやにやしちゃう。ウィレム・デフォー演じるボビー、管理人のボビーが睨みをきかせる前で、ドヤ顔でアイスクリームを交互に舐めて、勝ちほこったように、それで、何かと思えば、アイスをこぼした瞬間にボビーから「はいおわりー、しゅうりょー」みたいに言われてその場所、涼しい場所を、モーテルのロビーを追い出されるっていうところとか。にこにこ、ほくほく。そんなすてきなシーンがみっしり詰まってて、永遠に見ていられる映像だった。

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