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山形県高畠町の五百羅漢を訪れて

山形県高畠町の五百羅漢を拝観した。

外国人の友人も多いため、宗教については日頃関心をもって調べてはいるが、
今回はどちらかというと芸術的な観点で興味を持ち足を運んでみた。

五百羅漢とは

500人の羅漢およびその群像。十六羅漢という呼称もある。十六羅漢は,仏法を護持することを誓った16人の仏弟子で,五百羅漢は,仏の滅後に行われた第1回目の経典編纂(結集(けつじゆう))に集まった仏弟子を指すといわれる。いずれも,それぞれの能力を生かして正法を後世に伝える役割を担っている。

出典
コトバンク https://kotobank.jp/word/五百羅漢-65863(参照 2019-10-28)


釈迦の直弟子は1500人いたと言われ、五百羅漢像はそのうち神通力を持った500人の悟りの表現とされているらしい。

高畠町玉龍院の五百羅漢は天保の飢饉が発生した頃に、飢饉や疫病を打ち払い豊作と健康を祈願して京都の仏師に制作を依頼したもの。海路ではるばる京都から運ばれ、山形県酒田市から川船で最上川を登り、陸路で運ばれたものだという。地域の安寧への願いは、かなり強いものがあったのだろうと察する。

まず最初に迫力に圧倒された。一体の像がそれぞれ30〜40センチのため、大きくはなく、密集して並んでいるので空間的にはコンパクトなのだが、その数と精緻さに驚いた。柔和な表情をしている羅漢様も多く、暖かく歓迎してもらったような気分になった。

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見ていて飽きなかった。表情が一人ひとり違うこともそうだが、着ているもの、抱いているアイテムもひとりとして同じものはいない。身につけている袈裟には、麒麟や龍、植物の絵が描かれているものが多かったが、その柄も、繊細で見事で、舌を巻くばかりだった。

五百羅漢の説明には、それぞれが異なる能力を使い釈迦の教えを伝えてきたとあるので、抱えているアイテムはもしかしたらその能力を象徴するものなのかもしれないな、なんて思ったり。
タケノコを抱いている羅漢様、ネズミを抱いている羅漢様、眉毛を素敵に伸ばし両手で引っ張っている羅漢様。

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あまり宗教や仏像に興味のない友人が無邪気に言い放った「こっちの人はかんぴょう巻き抱えてるよ!」は爆笑ものだ。

それはね、仏教の経典だよ、と教えてあげた。


山形県内では高畠町の玉龍院のものが一番古く、高畠町文化財に指定されている。

他にも4箇所、五百羅漢が安置されている場所があるらしい。

① 山形市(山家本) 金勝寺「天保9年」
② 鶴岡市(大 山) 善宝寺「安政2年」
③ 米沢市(北寺町) 東源寺「文久3年」
④ 山形市(北山形) 龍門寺「明治31年」

平成28年度から修復作業を行なっていて、来年の完了を目指しているらしい。木像は組み立て式になっており、顔、胴体、手足などを膠(にかわ)と呼ばれる接着剤を使用して付けているため、時間が経つと取れてきてしまうという。(写真参照)
修復の完了は来年2020年を予定しているが、予算の関係上思うように進んでいないとのこと。私も、わずかだが支援させて頂いた。

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※眼球の部分には水晶を入れて表現しているため、顔の部分をはめ込むようになっているが、接着力がなくなって取れてしまっている

訪れて思ったことは、ほとんど関係ないかもしれないが、釈迦の弟子にも一人一人違った能力や役割があったのだから、私も自分の個性を発揮していこうということ。

また私は熱心な仏教徒ではないが、その起源や教えについてできる限り知りたいと思っている。キリスト、ブッダ、イスラム教の預言者であるモハメットが本当に存在したのか私にはわからないけれど、それぞれの教えが時代を超えて現在に伝わっていることは奇跡だと思う。

気軽な気持ちで足を運んでみたが、日本に限らず、世界中の信徒を救ってきた仏教という存在についてもっともっと知りたくなった。修復が完了する前と完了した後にもう一度足を運びたい。


最後に、私の沢山の質問に快く答えていただいた住職様に感謝したい。

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