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あなたへのおすすめ * ショートショート

ブー

スマホが鳴った。

「あなたへのおすすめの商品です」

何だろう?最近何か買い物したかな?

「耳から食べられるうどん」

何だこの商品?本当に私へのおすすめなのか?

「つるつるしこしこの本格うどんを耳から食べてみませんか?」

たしかに私はうどんが好きだ。しかし、ネットでうどんを買ったことはない。

なぜおすすめの商品でうどんが出てくるんだ?

しかも、「耳から食べるうどん」だと?ふざけている。何かのイタズラなのか??


「評価 ★★★★☆」


評価高いな。そんなに良い商品なのか?


「おすすめに出てきたので半信半疑で購入してみました。とても良い商品でした」

「お気に入りでいつも購入しています。手放せません」

「耳からうどんなんてって最初は思いましたが、食べてみたらびっくりしました。
今まで口と喉でしかうどんを味わってこなかったことを後悔しています」


大絶賛だな。そんなに良い商品なのか?興味が湧いてきた。
買ってみようかな?ん?悪い評価をつけてる人もいるな、買う前に悪い評価も見てみるか。

「うまく耳から食べることができません。
私の耳には合わないのかもしれません」

「商品としてはとても素晴らしいと思います。」

悪い評価をつけている人も、商品良さは認めているみたいだ。
買ってみよう。悪い評価にばかり目が行くのは私の悪い癖だ。何事も体験だ。

「ご購入ありがとうございます」

次の日、「耳から食べるうどん」が届いた。


「麺つゆなどは使用せずそのままお召し上がりください」


恐る恐る私はうどんを耳に入れてみた。いや、食したというべきなのか。

何だこれは、、、

私のうどんの価値観が180度変わった。
今まで、口でしか味わっていなかったモチモチシコシコの食感は耳の中でも健在だった。
ツルツルの喉越しも耳で感じるとまた格別だ。
心地よい!耳は口よりも脳みそに近いのでダイレクトに快感が襲ってくる。
それはまさに、ハーモニー!一つの音楽となり私の頭の中で鳴り響いていた。


気がつくと私は「耳から食べるうどん」を手放せなくなっていた。
読書の時、移動時間、集中したい時、ありとあらゆる時に耳からうどんを食べた。

私は、この商品を評価した。


「評価★☆☆☆☆」


こんな良い商品は、私だけのおすすめ商品にしておきたいのだ。

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