ベースと腱鞘炎 怪我をしない為の左手作りと心構え


0.腱鞘炎は自慢にも勲章にもならない


手首が痛くて回せない、指がひきつったようになる、親指の付け根がパンパンに張って辛いなど、練習量が豊富な人ほど心当たりも経験もある話ではないでしょうか。

正直なところ、私も怪我について偉そうなことは言えない身です。

拳が握れないような状態になってしまった経験があったり、基礎も何も考えず、がむしゃらに練習していた時期があります。


しかも悪いことに、


「腱鞘炎は勲章だ!」

「厳しい練習の証拠!」

「この試練を乗り超えてこそ!」


こんな風に誇りにしていた節もありましたね。

それが一つの生き甲斐、痛みや苦労に耐えることが正しい、格好いいことだと認識して練習していたなと。


言うまでもなく、そんなものは何の自慢になりません。

むしろ恥ずべきであり、積極的に疑問を抱くべき。

非効率で大したこともやってないから腱鞘炎になる。

怪我するように弾いてるんだから望み通り怪我をする。

まったくもって馬鹿なことをやっていたと反省する次第。


こういった心当たりのある方、そう望まずとも怪我や痛みに悩んでいる方、音の細さや指が動かないことに苦労している方など、是非、最後まで読んでみてください。


決意して実践すれば必ず変わります。

直そうとしなければそのままか最悪は再起不能。

本気の腱鞘炎は日常生活にも支障をきたす恐ろしい怪我です。

痛みや無理が美徳だのロックだの、そんな古臭く馬鹿な考えは捨て、もっと自分の体を上手に使えるようになりましょう。


・はじめに


負担のかかるフォームについて自覚してもらう為に、あえて不自然な力の入れ方を要求する内容があります。

決して無理はせず、怪我をしないようにお願いします。

ゆっくり取り組むことを心掛けてください。


1.左手のテスト


まずは楽器を持たない状態でも構いません。

ネックを握るイメージと腕の形を作りつつ、手を開いてみてください。

軽く開くのではなく、じゃんけんのパーのように完全に指が伸びるようにちょっと強めに開きましょう。


そこから今度は指先の方を意識してゆっくりグーを作ろうとしてください。

実際にグーを作らなくても構いません。

とにかく指を強く伸ばしたまま握ろうと力を入れてみましょう。


そして今度は手首を内側に90度曲げるようにしてみます。

そこからさらに親指を丸めて、強く握ろうとしてください。

これで完成です。


恐らく、やってることの意味がまったく分からないはずです。

指がピキピキ言ってしまいますし、手首から何からカチコチに固まってしまうことでしょう。

演奏どころの騒ぎではない、理不尽極まりない動作だと感じて当然。

こんな運動、やらない方がいいに決まってます。


2.フィンガリングの常識に疑問を持つべき


前項のそのわけの分からない力の使い方。

この世の誰一人としてこれを楽な方法だとは認識しないでしょう。

そんな無茶苦茶なことを実際にやってしまうのが悪いフィンガリングであり、腱鞘炎を招くような体の使い方でもあります。


恐ろしいことに、びっくりするぐらいこの方法が基礎として認識されていたり、正しい運指だと教えられてもいるから世の中は不思議です。

「そんなことやる奴なんかいるわけないだろう!」と思うかもしれませんが、現実とは意外なほど奇妙なもの。

いまだに腱鞘炎やダメージに悩む人が多いならば、それだけ体を壊す弾き方が常識として推奨されているとは考えられないでしょうか?


教則本やその手のサイトなどを見るとありがちなのが、一つのフレットに対し一本の指を添えていくやり方。

効率良く演奏する為にあらかじめ指を開いておき、押弦の準備をさせておく方が確かに有利に思えます。


しかし、指を開きっぱなしって疲れます。

そこからしかも、強く握ろうというのはかなり無茶な話。

前述のように極端にやればすぐに手が疲れるし、最悪は壊れることにもなってしまいます。


「これが正しいフィンガリングです!」

こう紹介されている画像付きの解説などを見ていると、不自然なぐらいに指がピンと伸びていたり、明らかに無理をしているフォームだったりするから変な話。

手首が窮屈そうなのは当たり前、親指がグニャリと曲がるぐらいネックに強く押し付けていたり握っていたり、その維持だけでも負担があるでしょう。

なぜそこまで頑なに指を開きたがるのか、それを維持しながら強く握りたがるのか、本気で疑問になります。


「これは駄目なフォームです!」

と指を開いていない方が意外と緊張なくリラックスしているようにも見えたり、押弦をするにも楽そうだったりするから面白い。

常に指を開いていないと手抜き扱いされる、ろくに練習していないと思われるなど、それはどうなんだとツッコミを入れたくなるところ。


1フレットを人差し指、2フレットを中指、3フレットを薬指・・・ではなく、ここで小指を使って押さえるようにするのでも問題はないのです。

無理してストレスとダメージを負うぐらいだったら、特に指を開かずとも済むようにポジション移動を多く速くすればいいだけの話。

このフォームを『3フレット4フィンガー』と呼んだりもしますが、これはコントラバスの世界などでは当たり前の弾き方です。

邪道とか手抜きなんてのは言いがかりに近いものがあるのではないかと。

むしろ、こちらの方が王道であるとすら言えます。


無理に指を伸ばそうとするフォームを当然と考えたり、力の使い方は常にこうあるべきだと認識するのはやはり反対ですね。

少なくとも、パーを維持しながら強いグーを作ろうとするような理不尽なフィンガリングは一刻も早くあらためるべき。


「これが正しいフォームです!」と言いながら、指がピキピキ震えていたり、筋が伸び切ってしまっているように見える状態には疑問を抱いた方がいいでしょう。


3.ストレッチは常にやるべきものではない


高度な柔軟性が求められる競技であっても、常に全力で体を伸ばしっぱなしにするようなことはないはず。


と言うか単純な話、人体の構造的にも無理がありますよね。

例えばの話、両手全力のパーがどれだけ続くのかと試してみるのも面白いかもしれません。

絶対、長く続くものではないですし、これが楽な力の使い方だと認識する人も存在しないでしょう。


しかしです。

これをなぜか求められるのが「効率的・理想的なフィンガリング」というやつだったりするから困惑するわけです。

どう考えてもやはり意味が分からない。

前項からの繰り返しになりますが、指が伸びきるように弦を押さえることを正しい方法として認識すべきではありません。

一生懸命頑張るほど、怪我の道を一直線に行くことにもなりかねない。


指のストレッチを心掛けるならば、


・可動範囲を広げて出来る事を増やしたい

・もっと柔らかくリラックス出来るようになりたい

・難しいフレーズでどうしても必要になる


こういった理由から取り組むならば、それは分かる話です。

怪我をしないために柔らかい体を作っておく。

理想の演奏を実現するためにゆっくりゆっくり、柔軟体操をするようにトレーニングする。

より自由に自在に動かすために指を使いたいというのであれば、普段から意識的に指を伸ばす練習をすることで、その効果は確かに実感できます。


でもやはり、どんなに柔軟で自由自在な指が出来上がったとしても、常に伸ばしっぱなし、力を入れっぱなしであることが正しいとは言えませんよね。

体格に自信がない、手の大きさにも指の長さにも難がある、関節が硬い自覚などもあるなら尚更ですし、そうであるならばこそ体の使い方をもっと意識し、試行錯誤もしていくべきでしょう。

指だけを長く使おうとするその認識自体、非効率極まりない無理のあるものだと考えます。


さて、ここで一つテストです。


どんな姿勢でも構いません。

とにかくだら~っとしてみましょう。

指も無理に広げず握らず、脱力してみる。

手首ぶらぶらでも何でもいいです。

力を抜いてリラックス。


こうした際、指は伸びきってることも閉じていることもなく、軽く丸まるように自然と曲がっているはず。

右手においても左手においても、これが基本的な状態だと考えてください。

脱力していれば、指がピン!と伸びていることも、グッ!と握られていることもありません。

その継続がいかに負担になるか、力の要る動作になるか、よく確認してみることをおすすめします。

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