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平塚 桂 編集、ライター。建築、不動産、都市系。雑誌など記事の取材執筆、書籍やパン…

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平塚 桂 編集、ライター。建築、不動産、都市系。雑誌など記事の取材執筆、書籍やパンフの制作/編集/執筆、まれにWeb制作。野球好き。なにがしかの理解をひろめる。メールアドレスはホームページに公開。 http://pomu.tv/

最近の記事

訪問した「建築」をまとめつつ2023年を振り返る

ひさびさ投稿。推薦委員になってしまった「みんなの建築大賞」のために3件の推し建築を選ぶというタスクもあるので、2023年にウロウロした建築について書きます。 学校建築が面白かった『新建築』2024年1月号に紹介されているようですが、「京都市立芸術大学・京都市立美術工芸高等学校」と「金沢美術工芸大学」、いずれもとても素敵でした。両建築とも教員とか地域とか機材とか、多岐にわたる関係者や機能が絡んで交通整理が非常にややこしいであろう施設を、(拝見する限りでは)破綻なく整理している

    • 2021年の記憶に残った、所作の建築デザイン4選

      最近エナジードリンクを嗜む癖がついてしまいました。人は歳を重ねると勝手に落ち着くものだと思っていたので、まさか40後半にして能力を底上げするためにエナドリでアゲる人間になるとはです。 このように人間の能力をアゲサゲすることは建築の効能としても存在します。しかも健康を阻害することは(多分)ないので安心です。とりわけ所作がうまくデザインされていると、人体への影響度が高まります。伝統的な手法でいうと飛び石を置いて、ぬかるみを歩かせないと同時に足元の設えに意識を向かせるとか。最近の

      • 建築を個人の手柄にせず、いかに個人の目線で語れるか

        共同設計の建築が、1人の建築家名で紹介された一件が、SNSで話題となって数日経つ。建築家の浅子佳英さんの発言を起点に、メディアの雑さを責める人や過去に似たようなことがあったと証言する人で共感百景だ。 自分の立場は"雑なメディア側"にあてはまる。いろいろ発言を読んでも、まず自戒を込めてしまう。スネに傷はあるので「あの見出しガー」「文字数ガー」「編集方針ガー」と、反省と言い訳をいったり来たり。でも勇気はないので基本は無言。でも書きたいことはちょっとあるか……。ということで100

        • ぽむ企画 平塚 桂の、建築ライター執筆実績などのまとめ

          とにかく長いこと細々と仕事をしつづけている関係で、自サイトに置いている実績リストがただただ件数ばかり膨大に。これがかなりわかりづらいようで、お問い合わせをいただいた後に「執筆サンプルを見せてほしい」と言われることもしばしばです(スミマセン……)。これまでやってきた仕事、執筆してきた記事を、ネット記事を掘り起こすなどして整理しました。(2020.5.31公開/2022.11.4改訂) ■ネットで読める建築ライターとしての執筆実績(1)建物、建築ビジネス、建築研究の解説記事

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        訪問した「建築」をまとめつつ2023年を振り返る

          目が悪くなり、ラジオにハマり、コミュニケーションの何らかを学びました。

          最近ラジオを聴いている。理由は簡単で、目が悪くなったからである。 これまでずっと文字を読むことで暇つぶしをしてきたけど、視力低下が災いして気軽には文字を楽しみにくくなった。特に暇のほとんどを捧げていたTwitterがきつくなった。あそこにコミットするには、それなりな母数のツイートをシャーっと走らせてその中からアツいつぶやきを見つけ出すという眼力が必要なのだ。 その分できた暇をつぶすため、急激にハマってしまったのがラジオである。TBSラジオではじまった番組「ACTION」を

          目が悪くなり、ラジオにハマり、コミュニケーションの何らかを学びました。

          水上マーケットで「発展途上国」だった頃のタイと、亡き父が買ったワインセラーを振り返る。

          2019年1月、バンコク→ホイアン→ハノイというルートで、タイとベトナムをまわってきた。以前「感動が大きくなるから、旅は一人がいい」に書いたように、旅のコンセプトのようなものは亡き盟友のみ江さんに導かれたものだ。ホイアンとハノイは雑誌『SD』1996年3月号の「ベトナム建築大博覧」という特集に衝撃を受けて以来、ずっと気になっていた都市だった。そして最初の目的地であるバンコクに導いたのは、亡き父である。 1980年代、小学2年と3年の春と夏、それぞれ1〜2週間ほど父の赴任先で

          水上マーケットで「発展途上国」だった頃のタイと、亡き父が買ったワインセラーを振り返る。

          旧市街のウラのウラまで楽しめる、ハノイのカフェめぐり。

          2019年1月、2日間ハノイに滞在した。目的は「36通り」と呼ばれる旧市街を探訪することだ。ハノイの旧市街には、かつて36の「フォン(=Phuong、坊=ベトナムの行政単位)」があり、それぞれの名がその生業を示していたとのこと。現在も仏具店が連続する通りとか、靴屋さんばかりが並ぶとか、通りの名前と必ずしも一致はしないけど、道の両脇に特定の業種のお店が集中する、近代化以前のギルドを残す興味深い風景が連なっている。 Hàng Quạt通り。Quạt=扇子の意。でも仏具屋さんが集

          旧市街のウラのウラまで楽しめる、ハノイのカフェめぐり。

          「感動が大きくなるから、旅は一人がいい」

          昨年9月に亡くなった盟友のみ江さんは、旅が好きだった。それが改めて実感できたのは、先日開催したお別れの会で配った冊子「たかぎ み江 作品集」制作でのことだ。み江さんがここ10年あまりで撮影した写真を俯瞰したところ、多岐にわたる旅の記録にとりわけ目を奪われた。 特に興味深いのが一人旅だ。モロッコ、新疆ウイグル自治区、メキシコなど、移動や安全性、言語といった面でなかなか難易度が高そうなところに一人で行っている。誰かと行くときは、ハワイとか、イギリス、イタリア、ドバイ、香港など、

          「感動が大きくなるから、旅は一人がいい」

          “お悔やみ”を読んで思うこと

          み江さんが亡くなって10日あまり経つ。その間、たくさんのお悔やみを読んだ。SNSでのオープンな言葉、メールやDM。長らくビジネスパートナーだったし四半世紀も友人関係なので、こちらに届くものも結構ある。とはいえやはり、み江さんがいなくなったことで深いダメージを受けているのが誰かと考えると、圧倒的にご家族であろう。 なにしろ息子さんは2017年6月生まれで、まだ1歳4ヶ月である。こんな小さな子供を残して旅立たねばならないとは、病気はつくづく理不尽だ。どんなご両親であってもこの状

          “お悔やみ”を読んで思うこと

          ライターはおすすめできない

          先日「17年間ライターを続けて来られた、たった1つの理由」という記事を書いたけど、今日はあえてこう言ってしまおう。「ライターはおすすめできない」 「お金にならない」という理由でライターを否定する論調があるけれど、自分がライターをおすすめしない理由はそこにはない。問題は、枠組みにおさまることの怖さにある。 特にメディアづくりに興味ある若い人。職歴ほぼナシでライターなんてよしなさいよ……とオカンのごとく余計なお世話を言いたくなってしまう。紙媒体系の枯れたメディアでの仕事は、特

          ライターはおすすめできない

          17年間ライターを続けて来られた、たった1つの理由

          ……と、3年くらい前のブログっぽいタイトルで、自分のライターとしてのスキルセットとその研鑽のすべを振り返ってみたい。 ライターの仕事をほそぼそとはじめて、かれこれ17年になる。その間にフラフラと、京都—東京—再び京都と拠点を移した。生後3ヶ月で出会った飼い猫はあっという間に老猫用のエサを食すようになり、2匹のうち1匹は先ごろついに亡くなった。環境はいろいろと変わったけれど、名刺からライターの肩書が外れることはなかった。人付き合いは好きなのだが、一貫して話し下手である。学生時

          17年間ライターを続けて来られた、たった1つの理由