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■サービス付き高齢者住宅に感じること 2

 サ高住での暮らしも3年目の義母は要介護2。テーブルコタツの周りですべてことがたりる暮らしを楽しんでいる。嫁であるわたしが5分でかけつけられる距離にいるというのもお互いにとって良かったのかもしれない。しかし、おしゃべりや週に何度かの買い物も嫁がついていくというのはサ高住でも珍しい。というのも要支援1や2といった健常者に近い人たちは家族があずけっぱなしにしてしまいがちなのだ。

 最近、義母のサ高住に通ううちに気がついたことがある。入所したときはなんでもなかったのに、半年ぐらいで認知症のような症状が出てしまう人が何人もいるのだ。暴れなければおいてもらえるという契約だったが、例えばその中の一人は、夜中に寝ないでほかの人の部屋のドアを叩いてまわるようになったため、グループホーム(※1)に移っていった。

 普通のもの忘れなどと違って、認知症とはその症状であり、原因はさまざま。完全に脳の病気だから、サ高住に入ったからそうなるとは思えない。ただサ高住のような割と話ができる人達がいて、わきあいあいにみえる場所でも、人との関わりをしないですませてしまうとき、心と繋がった人の脳に何かが起こるのかもしれないと感じる。そして80年以上も使われた脳がさまざまな環境要因をへて変化していくのは否めない。

 「親孝行したいときに親は無し」の時代から、「子育てがやって終わって親介護」の時代になり、医学の進歩は家族に幸せをもたらすのか、ふと疑問に思うときもある。せめて自分は息子達とは暮らさないことを心に誓う。それは同居していなくても、嫁としての仕事の多さを体験しているからなのかもしれない。

※1 認知症の人が入所する専門施設

サービス付き高齢者住宅に感じること 3


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