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ブルーカラー旦那VSホワイトカラー旦那Withおこづかい制

ツイッターで度々議論にあがるのが”おこづかい制”という世界的にも非常に珍しい日本の家計管理方法である。

おこづかい制とは旦那が稼いできた(嫁も働いている場合はそれも含める)稼ぎを全て妻が管理し、その中から”おこづかい”という形で生活費を旦那にわたすシステムのことだ。

個人主義が浸透した海外からすればこれは考えられないシステムのようで、『なぜ旦那の稼ぎを嫁に渡さなければならないのか?』と感じる男性がほとんどなようだ。

日本にしても、個人主義の浸透によりおこづかい制を取る過程は減少傾向にある。筆者宅もおこづかい制ではない。とはいえ、まわりの夫婦を見てると今でも5組中2組ぐらいの割合でおこづかい制を採用している家庭は存在している。

しかしおこづかい制といってもアバウトな家庭ばかりであり、突発的な会社の飲み会代、通信費や散髪代などの固定費は生活費の財布から別途出ていたり、おこづかいの額も3~5万程度とそれなりに貰っている。

彼らおこづかい勢は普通に飲み会にも参加するし、必要なものは十分買えている様子でそこまで息苦しく生活している様子はない。『おこづかい制のサラリーマンの多くは2万以下しかない!何もできない!』という意見もあったが、サラリーマン家庭の平均おこづかいは最も少ない世代の30代でも36000円程度であり、2万円しかおこづかいがない旦那は少数派であろう。

それに低めのおこづかい金額設定の家庭であったとしても、おこづかい制というのはあくまで夫婦間でお金を効率的に貯蓄するために結んだ約束事に過ぎないので、夫婦で話し合い臨機応変に運用すればそんなに必死になって否定するほどの悪法でもないはずである。筆者的には夫婦の合意の下で採用しているならおこづかい制は何の問題もないと考えている。

マイナビニュース:旦那のおこづかい平均額は4万円で2万円以下はかなり低い金額

しかしツイッターでおこづかい制の話になると、まるで地獄の悪法のような扱いで既婚者未婚者問わず(どちらかと言えば未婚者が多いが)袋叩きにされる。『おこづかい制は妻に家庭の絶対権力を握らせ増長させてしまう!』『旦那は嫁の顔色ばかり窺って何もできなくなる!』といった意見が目立つ。

言いたいこともわかるが、めんどくさい家計の管理を嫁に丸投げしているだけで『嫁を通貨発行権を握る独裁者にする気か!』といった意見はさすがに大袈裟すぎないかと感じてしまう。少なくとも筆者の周りのおこづかい制家庭でそこまで嫁の言いなりになってしまっている旦那はいない。

またおこづかい制と同じく度々議論に上がるのが”結婚後の自由時間”の話題である。

先日の記事で筆者は共働き子育て世帯でも何だかんだ時間は作れることを書いたが、統計を見てもよほどのハードワーク(夜勤や長時間労働)でなければ、自由時間は作ることが出来る

統計結果では夫婦の自由時間は2~3時間となっていた。筆者宅は夫婦ともにフルタイム労働のため、2時間より少し少ない程度になっているが体感として統計結果は概ね正しいと感じる。

統計局:末子が3歳未満の共働き世帯の自由時間の平均は夫婦ともに2~3時間

ただツイッターでは『旦那が長時間労働をして妻が専業主婦だったとしても育児を同じレベルで手伝うように命令されるせいで自由時間を全く持てない!』という意見が多くい見られる。

しかし筆者の周りを見渡してみて、忙しく働いている旦那ほど育児は奥さんに任せているし、奥さんも仕事だから仕方ないね、と理解して育児をメインで担当している。夜勤で帰ってきた旦那に育児や家事をたんまり押し付けてくる鬼嫁の話はほとんど聞いたことがない。もちろんそんな鬼嫁の0ではないだろうが、ツイッターで言われているような『3~4割の旦那はパートや専業主婦の嫁に育児家事を押し付けられ疲弊している』といった意見は流石に盛りすぎだろう。専業主婦家庭はみな平日の育児は奥さんがほぼすべて担当しているところばかりである

ただこういった議論を眺めていてふと気づかされたことがある。

結婚してから自由時間とお金を嫁に支配されている!という旦那、全員がホワイトカラー職の男性ばかりなのである。

製造業のブルーカラー労働者やトラックの運ちゃん、建築業界のドカタやとび職の旦那がおこづかい制で嫁に締め上げられ、家事育児を押し付けられ家で独り泣きながらツイッターで愚痴をこぼす、といった話はほとんど流れてこない。いつも被害者は在宅勤務をしているようなホワイトカラーの男性だ。

確かに筆者の周りのおこづかい制でも気楽に生活しているのもブルーカラー男性だし、家事育児を妻に任せているのも夜勤の現場職や消防士、警察官などの肉体を酷使する仕事をしている男性たちである。

これはもしかして、ツイッターで流れてくる嫁に舐められて苦しんでいる男性というのは、そのほとんどがホワイトカラー男子なのではないだろうか?

仕事に遊びにくつろぐ男たち』というフェミニストのネットミームがあるが、そこに描かれているくつろぐ男たちはみなスーツを着たホワイトカラー男性である。もしかしてホワイトカラーの椅子に座って電話したりパソコンをポチポチする仕事は、女性から見て『楽そう。私でも出来るでしょ』と勘違いされ、侮られやすいのではないだろうか?

それに対して、灼熱の工場内でドラム缶を運んでパレットに固定してフォークリフトで運んだり、炎天下でアスファルト砕きその下の配管工事をしたり、燃え盛る炎に立ち向かい消火作業をするブルーカラー肉体労働者の仕事は、女性から見ればとても私でもできると思えないものばかりだ。

この仕事に対する身体性の有無が、妻からの”舐められ”の違いにつながり、家庭内での立場の差に表れているのではないか?

ホワイトカラーの平均年収はおそらくブルーカラーよりも高いであろうが、ホワイトカラー職が最も多い東京ですら、労働者の平均年収は地方の1.25倍程度に留まっている。この程度の賃金格差ではブルーカラーの”仕事やってる感”をひっくり返すほどのパワーはないのであろう。

厚生労働省H29年賃金構造基本統計調査:東京平均年収は377万で全国平均304万の1.24倍に留まる

そしてホワイトカラー旦那とブルーカラー旦那の家庭内での扱いに差がつく原因は仕事の”見栄え”だけに留まらない。次にあげられる要因が……

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