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【MUSIC】Original Love 田島貴男氏の提供した曲

僕はORIGINAL LOVEというミュージシャン(バンド?)が昔から非常に好きでありまして。

最近、待望のORIGINAL LOVEの新譜「ラヴァーマン」が発売になったので、そのタイミングで田島貴男氏についてちょっとカキカキしてみようかなと思います。

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大衆ウケを今回は狙ったというわりには渋いジャケットの「ラヴァーマン」。中身は非常に秀逸なポップソングの玉手箱です。

田島貴男はシンガーとしても非常に卓越した才能を持っておりますが、コンポーザーとしてももちろん昔から天才と評されてきた稀有なアーティストです。非凡で不出生の天才とはまったく彼のことです。

田島氏はORIGINAL LOVE名義の自身の曲のみならず、他のアーティストにも曲を提供しておりますが、あまり知られていない純粋なコンポーザーとしての仕事に注目して、今回はカキカキします。

田島氏が提供する場合、田島氏が曲だけ提供の場合、曲と編曲までやる場合、総合プロデュースまでやる場合、と3パターンあります。

そんな中で自分がお気に入りなものをいくつか紹介します。


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エナメル・ブラザーズ:「モテるのもラクじゃない (Want More Love) 」
(2007年)

鈴木リーダーとゴスペラーズ黒澤氏のユニット。バリバリチャラかっこいい。

曲と編曲も田島氏ですが、田島節全開のキラーチューンかつベタでわかりやすくクールでソウルフルなアレンジでかっこいい。

これカップリングの曲ですが、正直こっちで行ったほうがエナメル・ブラザーズももっと人気でたんじゃないかなと思うキャッチー具合。

これが世に出たのは2007年。2006年の「東京 飛行」と2011年の「白熱」の間の時期ですが、「東京 飛行」の渋さと「白熱」のポップ感の間のお仕事だと思うと、なるほどという感じもします。


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藤井隆:「リラックス」(2002年)

藤井隆の入魂のポップアルバム「ロミオ道行」に収録された楽曲。このアルバム自体は、なかなかのポップス名盤で、その名を連ねているコンポーザーをみると田島貴男以外にも松本隆、筒美京平、本間昭光、コモリタミノルと非常に豪華。

「リラックス」という楽曲は、歌詞が松本隆大先生によるものですが、田島、松本コンビは、ORIGINAL LOVEの楽曲でも「夜行性/アダルトオンリー」というシングル曲だけでなく隠れた名曲「守護天使」でも実現しているコンビ。これらのORIGINAL LOVEの曲はアルバム「ムーンストーン」に収録されていますがこれが発売されたのは2002年。藤井隆の「ロミオ道行」も2002年なので、同時期に松本先生とお仕事していた感じですね。
(ちなみにSMAPに提供した「たてながの自由」という曲で作詞を町田康と組んだ時も同じ。「たてながの自由」は2003年提供ですが、ORIGINAL LOVEのアルバム「踊る太陽」に収録の「こいよ」という曲も町田康。こちらも2003年の作品です)

話が逸れましたがこの「リラックス」という曲、編曲はCHOKKAKU氏。それこそジャニーズ関連の楽曲関連で特にご活躍の方です。田島氏は楽曲のみ提供です。が、これスティーリー・ダンを彷彿させる素晴らしいAORな曲。

スティーリー・ダン的な曲という発注に対して田島氏が応えたのか、それとも曲を聴いてCHOKKAKU氏がこのアレンジをほどこしたのかはわかりませんが、田島氏のソングライティング能力が遺憾なく発揮され、その魅力があますところなく伝わる良い曲であります。


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クリスタル・ケイ:「CURIOUS」(2001年)

最後はクリスタル・ケイに提供された「CURIOUS」。これはクリスタル・ケイの1stアルバム「637-always and forever-」に提供された楽曲。

時は2001年。ORIGINAL LOVEでの年表で言うと、「ビッグクランチ」という、田島貴男が大爆発しているサイケデリックな問題作を世に送り出したタイミング (2000年8月2日)と、その反動なのか非常に大人の洒落たポップスアルバム「ムーンストーン 」(2002年3月20日)を世に出した間のタイミングになります。

2001年のあたりは「ビッグクランチ」というアルバムを聴くだけだと、風貌も髪の毛がのびのびでして田島貴男の鬼才ぶりが大爆発をしており、いわゆる「オサレな僕らのORIGINAL LOVE」というパブリックイメージからは遠いところにいるような気がします。が、実はこの期間、田島氏は提供楽曲やプロデュースとしてはとてもポップスメーカーとして良いお仕事をしております。
(もちろん「ビッグクランチ」の中には挑戦的な楽曲やアレンジも多いですが、「ショウマン」のような素晴らしいポップスもありますので。念のため)

2000年~2002年の時期は、田島氏はORIGINAL LOVE以外で下記のようなお仕事をされています。

・ 2000年:
V6「野性の花」
heaco「Far away 〜終わらない明日へ〜」 「Sleepless Night」

・ 2001年
キタキマユ「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」
Crystal Kay「CURIOUS」
及川光博「特別なひと」 

どのお仕事もとてもポップで洒落ている、そして聴きやすい初心者向けの田島貴男でございます。

話がまたそれました。で、この「CURIOUS」という曲なのですが、田島貴男氏が手がける女性の歌うR&Bとはこういうことかという樹玉の名曲です。ディーバ感のある曲で、わかりやすく言えばTLCとかが歌ってそうな感じです。大人で洒落ててカッコイイです。
アレンジも「ビッグクランチ」の感じを、キャッチーでソウルフルに仕上げてる感じで、多少なりとも田島節感あります。ただののっぺらいおしゃれなソウルフルもどきとは一味も二味も違うんだぜ、という田島氏のプライドと才能を強く感じる次第です(あくまで個人的な感想)。

時はさかのぼりこの「CURIOUS」という楽曲が世にでる1年強前(1999年4月)に、田島氏はライブでTLCの「SHILLY HO」という曲をカバーしています。(これはTLCの名盤「Funmail」というアルバムに収録されています)。
もしかしたらそのイメージで楽曲を作成したのかもしれません(と勝手に妄想する。)。「CURIOUS」と「SHILLY HO」を合わせて聴くと私はそう思うのです。

かっちょいい。TLC大好きっす。

ですから、何がいいたいかというと、田島貴男はくどくて嫌だという人も、「CURIOUS」を聴けばその才能の一端を感じてもらえるのじゃないかなと思います。

ほかにも、クレモンティーヌへの提供曲や、最近だと新潟のアイドルNegiccoへの提供曲やサウンドプロデュースなどもおこなっており、その才能は多岐に発揮されているわけですが、是非これを機会にORIGINAL LOVEとはまた違った田島貴男の魅力に触れてみていただけるといいかなと思います。

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