植物

酒と音楽をこよなく愛する物書き初心者

植物

酒と音楽をこよなく愛する物書き初心者

最近の記事

  • 固定された記事

ドトールの喫煙席はラブホのにおいがした

3歳の頃からピアノ教室へ通い、音楽とふれあい始めてもう20年経つ。目に見えないものを表現することはとても難しく、恐ろしく魅力的だと思う。真面目に練習したところで評価されるのは本番の数分間。その儚さに音楽の美しさがあるんじゃないかと、素人ながらに思う。 とあるバンドが、私の好きな絵描きの方の作品を真似たイラストをツイートしていた。あたかもバンドのオリジナルの作品かのように。畑は違えど同じ表現者なんだから、それがどれだけ相手を侮辱する行為なのか分かるはずだ。あとめちゃくちゃダサ

    • 肩書きを失うということ。

      真面目に、ごく普通に生活をしていれば、日本に住んでいて「肩書きのない人間」になるということはまず滅多にないだろう。 まさか自分が、23歳にして肩書きを失うことになるとは思ってもいなかった。 もし、今この場で身分を尋ねられた時、私はなんと答えれば良いのか。そんな問いかけを何度も反芻しながら、沢山のものを捨てて飛行機に乗った。 学校を辞めて、仕事も決まらないまま愛する人の元へ行こうとしている。 他人からの期待を裏切るのなんて簡単だ。ここ数年で私はそれを思い知った。こうなったら

      • 海の見える町にいつか住みたい

        • 道を示す、良い梟。

        • 固定された記事

        ドトールの喫煙席はラブホのにおいがした

          価値観の変容

          老いても既存の価値観に縋らない人でありたい。真新しい物事に対して、恐れない人でありたい。きっと自分は死ぬまで大したことの無い奴だけど、毛布にくるまって昔を思い出すような人生にだけはしたくないと、強く思う。 昔の成功体験は、必ずしも人の成長を助けるものでは無いと思う。時にそれは、他を拒み、自分に目隠しをする要因になりうる。 かけっこで1番。テストで100点。バレンタインのチョコレート。もっと些細で取るに足らない自己満足であろうとも、自分の心を支えるプライドはきっとどこかにある

          価値観の変容

          私は私をどこまで愛することが出来るのか。

          引越しの準備が進まない。今、私はどうにかして「何も持たない自分」になろうとしている。どこまでシンプルな私になれるか。どうしたら私自身を、ありのままで愛することが出来るのか。 私は、私自身を好きになることが出来ない。見た目も中身も、全く思い通りになれない。理想と現実のギャップは、常に膨れ上がっている。 笑う時に口元に手を添えてしまう。 すぐに鼻を触ってしまう。 洋服の裾を掴んでしまう。 すぐに顔を赤くしてしまう。 爽やかで、優しくて、前歯がちょこんと小さくて、華奢で可愛い

          私は私をどこまで愛することが出来るのか。

          字を書くことが減ったので、こうしてたまにリハビリします。

          字を書くことが減ったので、こうしてたまにリハビリします。

          秋。煙草。呼吸をしている。

          煙草そのものの味をハッキリと思い出すことは出来ない。苦いとか、甘いとか、色々あるけど。一緒に吸い込む空気の匂いが、「煙草を吸う」という行為のほとんどを占めているように感じる。少なくとも私が煙草を吸う時は、いつもよりもしっかりと、息をしている。 呼吸なんて、産道を出てへその緒を切られて、こんな世の中に放り込まれたその日からやってる事だ。なくてはならないことほど、疎かにされる。 息を吸って、そして吐く。湿った暑い空気。尖った冷たい空気。だんだんと肩身が狭くなってしまった煙は、

          秋。煙草。呼吸をしている。

          私は私のリセットボタンを押す

          バカみたいに真面目で抱え込みやすい性格だった。いつも後になってくだらないことだったと気付いては、自分の正義感を恥じていた。周りのみんなは、どうしてこんなにも鈍感なのか。どうして簡単に他人を傷つけるのか。私にはさっぱり理解ができなかった。 冗談が通じないという訳では無い。たとえ冗談であっても許せない事が私には沢山ある。人を貶して笑いをとる風潮や、容姿をからかう必要性が、どうしても理解できなかった。 道化になった。誰にも嫌われたくないし、友達は沢山欲しい。相手が面白がりそうな

          私は私のリセットボタンを押す

          気まぐれでわがままな私が2年半の遠距離恋愛を乗り越えた話

          遠距離恋愛の終わりを前にして「女心と秋の空」とはよく言ったもので、例に漏れず私もかなり気移りが激しい。そんな私が2年半の遠距離恋愛を乗り越え、ついに来月からは同棲生活を始める。 私の周りで遠距離恋愛をしていた人はかなりあっけない終わりを迎えていて、そういう人達ほど恋愛に対する並々ならぬ熱意を持っているケースが多い。連絡を取り合う頻度は勿論だが、お互いの時間を「恋人と会うこと」に全振りする。これは完全に私の個人的な見解だが、このタイプはめちゃくちゃ喧嘩するし突然あっさり別れる

          気まぐれでわがままな私が2年半の遠距離恋愛を乗り越えた話

          遠距離恋愛と不幸自慢

          付き合い始めて3年半、遠距離恋愛歴2年半。私の大切なパートナーは800キロ先に居る。彼が起きる頃に私は眠りにつき、私の仕事が始まる頃に彼は仕事を終えて晩酌をしている。通信環境の悪さからビデオ通話はほぼ出来ず、休日もなかなか合わない。 あなたの周りにも居ないだろうか、遠距離恋愛を頑張っている人。もしかするとあなた自身が遠距離恋愛の真っ最中かもしれない。 遠距離恋愛というものは、どうやら不幸自慢をしたくなる傾向にあるようだ。 「私なんてもっと会えてない」「近くにいるだけ感謝しな

          遠距離恋愛と不幸自慢

          薄灰に 夕暮れ色のサティ

          フランスの作曲家、エリック・サティの曲は景色が鮮明に映るから好き。特にお気に入りなのは『グノシエンヌ第1番』。少し胸がザワザワするような、言葉を選ばずに言えば不安になる曲。 薄い灰色をした世界の中に、オレンジ色と深い紫が移ろう夕暮れ。絵でも描けたら良いのだけれど、陳腐な景色になってしまうのでやめておきますね.......笑 サティの曲はドビュッシーのようなキラキラ感はないし、靄がかかったような世界だけれど、どれも不思議な魅力を持っていて、少しでもその世界が知りたくなって何

          薄灰に 夕暮れ色のサティ

          夜職に就いて思ったこと

          若者が集まるダイニングバーで働く私の出勤時間は午後8時。一滴も酒を飲んだことの無い数年前の私にとっては信じられないことだが、今の仕事はびっくりするほど自分にフィットしている。人生何があるかわからないと、心底感じている。 学生時代から接客業はいくつか経験したが、客の個人的な話を聞くことは滅多になかった(そりゃあそうだ)。私が働いているのはいわゆるオーセンティックバーではないので、少し大きめにかかった音楽に混ざって楽ししうな会話が聞こえてくる。カウンターに座って従業員と話す人も

          夜職に就いて思ったこと

          人は裏切るが、酒は裏切らない。

          美味しいお酒を飲んだ時の記憶というのは、本当に美しいものだ。「酔い」と言ってしまえばそれまでだけど、私が心のシャッターを切る瞬間はいつだって酒を飲んでいる。 歳を重ねるにつれて、人は簡単に嘘をつくことや、他人の気持ちなど到底理解し得ないことを思い知る。誰の心にも暗い部分があって、決して明かせない秘密が存在する(と、少なくとも私は思っている)。孤独で醜い生き物だよね、本当に本当に。 だからどんなに愛おしい人も私の思いどおりにはならないし、私だってそうだ。それでもひとりぼっち

          人は裏切るが、酒は裏切らない。