48)機械に任せる「洗う家事」

少人数の家族には大きすぎるほどの食器洗浄機を導入してみたら、食器洗いという作業の位置づけが大きく変わった。

寝る前に、1日分の食器や調理器具をまとめて食洗機にかける。朝起きたら中身を出して片付ける。使ったらすぐに洗うのが一番と思いながらもついついシンクに置いてしまう罪悪感がさっくりなくなった。

いざ使い始めてみると、食洗機不適のものが結構ある。洗剤の種類を変えれば洗えるものは、日によって使い分ける。可能なものは少しずつ、食洗機向きの材質のものに買い替えている。すぐに洗わないと数が足りなくなるものは、買い増してみたりもする。それでもだめなものだけ手洗いする。

そう、一言でいえば、洗濯機と同じ。

衣類だって、脱いだものをその場で1点1点洗うわけじゃなく、1日1回まとめて洗濯機で洗う。素材によって洗剤を選ぶ。デリケートなものはネットに入れたり、別に手洗いしたり、場合によってはクリーニングに出す。普段着はなるべく洗濯機で洗える材質や形のものを選ぶ。タオルなどは洗って干してのサイクルに合わせて枚数をそろえる。

人間の手を離れて機械まかせにする家事というのは、すべてを手でこなしていたときとは別の発想でこそ力を発揮する。ひとつひとつの作業を機械に置き換えるのではなく、生活全体の流れの中で位置づけを見極めて最適化すると、定型作業が格段に楽になる。

何かを増やし、何かを減らし、何かを入れ替える。

惰性でやっていたことをいちいち吟味する作業を、ほんの少しめんどうに思いながらそれ以上に楽しんでいる。外来種がやってきて生態系が崩れやがて新たな秩序が生まれるような大きな変化が、小さな家の中と自分の脳内で起きるという、これは相当に刺激的な体験である。

2020/06/10


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