映し鑑
はっきりしないお天気で、今にも雨が降り出しそう。
朝の散歩で、体に雨粒が落ちたような感覚になったのだけれど、雨は降っていなかった。
お城のお堀を壊して建設された水たまりには、たくさんの丸い小さな波紋が立っていたので、雨が降っているのかと思ったが、やはり降っていなかった。
よく見ると、アメンボウが水面を歩いていた。
昔のお堀は、アメンボウに加えて、フナや、そして水底から湧き上がる湧水や、ガスで、水面に波紋が立ったものだった。
今朝の収穫は、ペットボトル1個、飴の包み紙1個、菓子の包装の切れ端1片、吸い殻4本。
溝に落ちていたレジ袋は勘弁してもらった。
手にペットボトルを持って歩きながら、なんか条例でも制定してくれないか、などと考えを巡らせていたら、石仏の前を看過してしまった。
コンクリートで固められた山の斜面に、コンクリートが一部削られて、小さな石仏が鎮座しておられる。いつも、新しい花が飾られている。
石仏は、僕の心の有り様を映し出す鑑のような存在だ。
500メートルほど行きすぎたところで、石仏を看過したことを思い出して、心の中に姿を思い浮かべて、心の中で合掌して祈りを捧げた。
吸い殻を持った手では、合掌できないから。
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