1985年のプログラム

「創作活動でもっとも大事なこと」には良いことが書いてありますね。これは真髄です。簡単なことですが、なかなか実行できません。

さて、noteは、あまり深く考えないで、気楽に書いてゆきたいなあ、と思っていますが、やっぱりこれは書こうと。

1985年に書いた3DCGアニメーション・プログラムのことです。あちらこちらに書いていますので、知っている方は、またか、と思われることでしょう。

当時、学生とか就職したばかりの若い者がお小遣いで買えるパソコンで、多階調の表示ができるものは、ありませんでした。PC-8001では、RGB各1bitの8色表示しかできませんでしたが、各社のパソコンは、それに準じていました。

その限界を最初にブレークスルーしたのは、SONYのSMC-777Cでした。松田聖子の顔が描かれたディスプレイは、4bitのカラーパレットを持っていました。モノクロにすれば16階調の表現ができました。

ついで、富士通から発売されたFM-77も、同様のカラーパレットを持っていました。こちらは、M6809を積んだマシンでした。

いろいろ考えて、財布とも相談して、僕は、SMC-777Cを買いました。決め手になったのは、個人で買えるM6809用のC開発系は、OS9の上で動く、Microware-Cしかなかったことでした。M6809もOS9も、そしてMicreware-Cも、全てに魅力を感じましたが、残念ながら、財布の中身がチープでした。

SMC-777を買い、CP/M80を買い、そして、オーストラリアのHI-TECH Software社製のHI-TECH Cを買いました。HI-TECH Cは、.comとして書き出されるZ80のコードのサイズが、競合するCの処理系の、なんと半分から3分の1とコンパクトである点が最大の特徴でした。TPAが56kBしかないCP/M80の上で、それなりに複雑なコードを書くわけですから、これは大きなメリットでした。

さて、都合、3本のプログラムを書きました。最初のものは、モデリングした時系列データをレンダー/シェーダーが取り扱えるように変換するプリ・プロセシング。2番目のものは、レンダリングとシェーディングをしてデータを書き出す。3本目は、書き出されたデータを画面上に表示するものでした。開発に約半年かかりました。

320/200で4bitの階調を持った簡単な絵を1枚レンダリング/シェーディングするのに、約10時間かかりました。マシンを昼夜間動かしっぱなしで、半年かけて、約20秒の映像を作りました。会社に出かけている間も、独身寮の部屋の中でマシンが動きっぱなしだったので、帰ってきて火災になっていないことを確認して安堵する日々を過ごしました。

お話の内容は、ソリッド・ブーリアンして作った簡単なUFOが飛び回るという簡単なものでした。画面を8mmカメラで直接撮影したので、出来上がりも綺麗ではありませんでした。そのフィルムは、僕の手元には残っていません。FDDのフォーマットはSONY独自の片面倍密7セクタ280kBという特殊なものだったこともあって、データも残っていません。開発した時のノートも捨ててしまいました。

この絵は、昨年、MODOで再現してみたものです。


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