見出し画像

仮面ライダーセイバー 物語のすべて

①VSメギド&カリバー

主人公・神山飛羽真(とうま)は小説家にして「ファンタジック本屋かみやま」の店主。その著作であるファンタジー小説「ロストメモリー」は、彼が15年前よりたびたび見る不思議な夢を題材とするものであった。夢の中の幼い飛羽真は巨大な扉に吸い込まれそうになる少女の手を掴もうとするが、助けることができない。そして一人の剣士の「覚悟を越えた先に希望はある」という力強い言葉とともに世界の崩壊が阻止されると、飛羽真の手には1冊の赤い本(ブレイブドラゴンワンダーライドブック)が残されるのだった……。

そんなある日のこと、飛羽真は担当編集者の須藤芽依と共に突如として本の力に満ちた幻想世界「ワンダーワールド」へと飛ばされてしまう。それは「メギド」と呼ばれる本の怪物の仕業であった。彼らは自分の本(アルターライドブック)を開くことで現実世界の一部とワンダーワールドの一部を入れ替える。そこで自分の物語を進行させていくことで白紙のページを埋めていき、アルターライドブックを完成させるのだ。そうすればワンダーワールドはメギドの支配下に置かれ、いずれはそこに眠る大いなる力までもが乗っ取られてしまう。

本を愛する飛羽真はその力を破壊に使うゴーレムメギドに対し憤りを覚え、無謀にも素手で立ち向かう。だがとても敵う相手ではなく、ついには瓦礫の下に押しつぶされてしまう。しかしその時……ブレイブドラゴンワンダーライドブックが光り輝く!天空に炎が噴き上がったかと思うと、炎の中から聖なる剣が現れる。火炎剣・烈火。それは15年前に行方不明となった、炎の剣士の聖剣であった。意を決した飛羽真は燃え盛る剣を引き抜き、「仮面ライダーセイバー」に変身。ゴーレムメギドを倒し、世界を元に戻すのだった。

「聖剣」を手にした飛羽真は、聖剣を受け継ぎ太古の昔から世界の均衡を守ってきた組織「ソード・オブ・ロゴス」の接触を受ける。水の剣士・新堂倫太郎(仮面ライダーブレイズ)に彼らの北極基地「ノーザンベース」に招かれた飛羽真は、剣士たちを率いる女性・ソフィアと対面し、人々を守るため自身も戦う決意を固める。そして雷の剣士・富加宮賢人(仮面ライダーエスパーダ)とも15年ぶりに再会を果たす。賢人は飛羽真の幼なじみであったのだ。賢人は「15年前の異変」で飛羽真を喪ったものと思っていたため、彼の生存を喜ぶ。しかし記憶を失っていることが分かると、その表情を暗くするのだった。

15年前の異変。それは賢人の父であり、闇の剣士(仮面ライダーカリバー)であった富加宮隼人が「ルナ」という特殊な力を持つ少女を使って、現実世界とワンダーワールドを繋げようとした事件である。世界は崩壊の危機に晒され、侵攻してきたメギドとの戦いで水・雷・風の剣士が命を落とした。当時のセイバーであった上條大地の活躍により異変は収束したが、ルナは帰ってこなかった……。ルナは飛羽真と賢人の親友だったのだ。この事件で隼人と上條は消息不明となり、闇黒剣・月闇(くらやみ)と火炎剣・烈火も居場所が分からぬままとなっていた。

異変後のノーザンベースを長きに渡って支え続けてきたベテラン土の剣士・尾上亮(仮面ライダーバスター)や、烈火などの聖剣を造った刀鍛冶一族の末裔たる音の剣士・大秦寺哲夫(仮面ライダースラッシュ)。そして強さを求め、賢人に憧れる風の剣士・緋道蓮(仮面ライダー剣斬)。飛羽真を含めた6人の剣士は、メギドたち「黒い本棚」の陰謀と戦っていくことになる。

黒い本棚__それは「神獣」を司るレジエル、「生物」を司るズオス、「物語」を司るストリウスの3人のメギドから構成される組織である。そしてアルターブックを完成させ、ワンダーワールドの力を手にしようとする彼らと結託する者あり……それはまさしく、15年前に姿を消した闇の剣士・仮面ライダーカリバーであった。カリバーの出現に動揺と怒りを隠せない賢人。父の裏切りを彼は受け入れることができずにいた。

ストリウスに聖剣を封じられた飛羽真は、それを解くために失われし亜空間「アヴァロン」へと赴く。アヴァロンにはフードを被った謎の男が佇んでおり、飛羽真は彼から題名のないライドブックを手渡される。アヴァロンから帰還した飛羽真はカリバーと戦いを繰り広げるが、剣をぶつけ合う度にブレイブドラゴンが何か強い反応を示していく。そして明らかになるカリバーの正体……それは先代セイバー・上條大地であった。隼人は己が斬ったと告げる上條に、賢人はひどく感情を掻き乱される。

そして6体のメギドが6つの街をワンダーワールドと入れ替えてしまう事件が発生。剣士たちがメギドを倒していくと、その度に聖剣から「光の柱」が放たれ、上空に「光の輪」が出現していく。15年前の記憶を完全に取り戻した飛羽真は、かつて異変の際にも6つの輪(シード・オブ・ライフ/生命の種)が現れ、その中心に扉が開いていたことを思い出す。そして5つの輪が描き出され、カリバーに挑んだ賢人はその闇に蝕まれて死亡してしまう。そして6つの聖剣は共鳴し、再び扉が開かれる……。

上條の狙いは、この扉の向こうにある「目次録」の力を手にすることであった。この世界の始まりから終わりまでを記し、人類に知識と文明をもたらしたアカシックレコード「全知全能の書」。それが2000年前の戦いで散逸し、そのページの1枚1枚はワンダーライドブックへと変化した。そして唯一残った目次のページが「目次録」。彼は目次録から全知全能の書を復活させ、その絶対的な力を手に入れようとしていたのだ。

題名のない本を「ドラゴニックナイト」に変化させた飛羽真は、カリバーを追って目次録へと至る扉に飛び込む。そこで飛羽真は上條の真意を知ることに。かつて親友であった隼人を自らの手で討つことになってしまった上條。彼は隼人の突然の裏切りに疑問を感じ、彼を変えてしまったのはソードオブロゴスではないかと考えるようになったのだという。隼人を唆し、凶行に走らせた真の黒幕……それを倒すため、上條は組織を離反し、メギドと手を組んでまで全知全能の力を求めたのだ。

しかし飛羽真に敗れ、その言葉を受けた上條は、己のやり方が間違っていたことを理解。そして自分に代わって真実を、組織の裏切者を見つけてほしいと闇黒剣・月闇を託そうとする。だが上條は自らが解き放ったメギド・デザストに殺害され、月闇もまた煙の中に消えてしまうのだった。そして剣士たちの知らぬ間に、ソフィアもまた行方を晦ましていた……。

②VS人間メギド

組織に潜む真の裏切者。上條の遺した言葉が気がかりな飛羽真。
そんなとき、ソフィアを失ったノーザンベースに煙の剣士・神代玲花が遣わされてくる。彼女はソードオブロゴスの運営を担う南極の「サウザンベース」に所属する剣士であり、組織の長「マスターロゴス」に仕える神代の血筋であった。
目次録の扉に入り、全知全能の力に触れた飛羽真はいずれその力に魅入られ、隼人や上條のように組織を裏切るという玲花。サウザンベースの指示に従わざるを得ない倫太郎たちは、飛羽真に聖剣とライドブックの返還を求める。しかし組織への不信感を抱き始めていた飛羽真はそれに応じることができず、共に戦ってきた仲間たちと対立することとなってしまう。

孤立した飛羽真を救ったのは、アヴァロンから現世へと姿を現したフードの男・ユーリであった。彼は1000年前にメギドと戦った戦士であり、強大な力を持つ光剛剣・最光を封印するため、自ら光の聖剣と一体化を果たし、遥かな時をアヴァロンにて過ごしていたのだという。

ワンダーワールドに生み出された原初の剣、それが光剛剣・最光闇黒剣・月闇である。その光と闇の剣をもとに、人間の手で造られたのが火炎剣・烈火をはじめとする幾つかの聖剣なのだ。原初の聖剣だけあって最光=ユーリの能力は凄まじく、人間を触媒に生み出されたメギドから宿主を分離することができた。目次録の光に触れた人々にアルターブックを埋め込むことで、そのパーソナリティ(個人の物語)を反映したブックが完成する。しかし完成時に、宿主となった人間は消滅してしまうのだ。

飛羽真が最光を振るい本にされた人々を救おうとする一方で、組織を信じたい倫太郎との溝はますます深まっていく。倫太郎は孤児であったところを先代ブレイズ・長嶺謙信に拾われ、組織の中で育ってきた。彼にとって組織の仲間はかけがえない家族なのだ。

大秦寺は飛羽真の真意を確かめるため彼と剣を交わし、剣に込められたその「想い」を理解する。大秦寺は飛羽真に味方し、飛羽真もまたこの戦いを機に烈火の力を引き出すことができるようになる。想いを乗せ「覚醒」させた烈火は、光の剣同様にメギドから宿主を分離することが可能となっていた。

飛羽真とユーリ、大秦寺はサウザンベースに潜入し、マスターロゴスとの対話を試みる。しかし時を同じくしてストリウスも侵入を果たしており、禁書庫から「プリミティブドラゴン」を持ち出してしまう。禁書を渡すまいとする飛羽真だが、それを奪った途端、飛羽真の肉体は「プリミティブドラゴン」に支配される。野獣のような咆哮をあげ暴走するセイバー。セイバーはレジエルを圧倒し、さらにユーリまでもを攻撃し始める。ついに芽依に剣を振り上げたセイバーを止めたのは、空間を裂いて現れた仮面ライダーカリバーであった。飛羽真へ味方することを決めた尾上と大秦寺を粛清すべく、玲花は仮面ライダーサーベラに変身。そこでまたしてもプリミティブドラゴンは暴走し、そして同時にカリバーが現れる。カリバーの正体は、死んだはずの賢人であった……。

かつて賢人は上條に斬られ、闇の中へと消えていった。しかしそれは、月闇が作り出した闇の世界に送られていたに過ぎなかったのだ。上條は隼人が息子を戦いから遠ざけようとしていたことを知っており、彼を闇の世界に送り、全てが終わったのちに解放しようと考えていたのである。
だが賢人は、闇の世界で月闇が見せる未来予知に苦しむことになる。月闇はこの先起こりうる災いの未来を可視化し、所有者に警告する機能を持っていた。「聖剣が揃うことで全知全能の書が復活し、その力で世界が崩壊する」ことを知る賢人。破滅を防ぐ方法、それは飛羽真が世界の均衡を保つためワンダーワールドの人柱となり、現実世界から消えること。あるいは賢人が黒幕もろとも闇の深くに消えることであった。
最悪の未来を阻止するため、賢人は聖剣の封印に動き出す。月闇はマスターロゴスの命を受けた玲花によって密かに回収されていたが、闇の世界から帰還した賢人はそれを奪取。そして大秦寺の持つ音銃剣・錫音の機能を封印してしまうのだった。彼はその使命のために、飛羽真たちと離れ孤独に戦う。

飛羽真はプリミティブドラゴン制御の手掛かりを得るため、その「哀しみの物語」を読み解いていく。暴走している間、飛羽真には悲しげな少年の姿が見えた。飛羽真は何度も拒絶されながら、彼の心に寄り添おうと試みる。そして彼が仲間のドラゴンを人間たちに狩られ、独りぼっちになった寂しさを抱えていることを知る。『プリミティブドラゴン』、それは骨になってもなお仲間を探し求め、彷徨い続けた龍の物語であった。

そんな少年に飛羽真は自然の中にある水や土、火が君の友達だと語りかけ、孤独から救い出す。そして飛羽真は物語の続きを紡ぎ出し、その結末を大自然の龍『エレメンタルドラゴン』と友になるハッピーエンドへと書き換えるのだった。プリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴンが手と手を結び、爆誕するセイバー エレメンタルプリミティブドラゴン!新たな力を手にしたセイバーに敗れ散りゆくレジエルは、最期の瞬間に人間であった頃の記憶を取り戻すのだった。

2000年前、全知全能の書の巫女(世界を繋ぐ存在)に導かれた5人の人間が、初めてワンダーワールドに降り立った。世界を蝕む飢えと貧困を解消するため、世界をより豊かにするため、ビクトールという男を中心に彼らは知識の源を求める旅に出ていたのだ。
だが、全知全能の書に秘められた絶大な力は、人を狂わせる……。5人のうちレジエル・ズオス・ストリウスは力に魅入られ、書の一部を取り込んで本の魔人「メギド」へと変貌してしまったのだ。そして全知全能の書を巡る戦いが勃発し、メギドから本を守るためソードオブロゴスが組織された。

これまでワンダーワールドの管理者として飛羽真たちの活躍を見つめていたタッセル(=ビクトール)は、現マスターロゴス(イザク)の動きに不穏なものを感じ、初代マスターロゴスと交わした約束を確認しに向かう。
タッセルと初代マスターロゴスはそれぞれワンダーワールドと現実世界を守るべく、残された全知全能の書の一部を管理することに決めたのだ。
しかし現マスターロゴスは初代の意志などお構い無しと言い放ち、タッセルを目の前から消し去るのだった。

サウザンベースに潜り込んだ倫太郎は、玲花によってソフィアが囚われている事実を知る。それをマスターロゴスに訴えるが、彼は全知全能の書の力を己のものとすると野心を顕わにする。
全知全能の書の一部によって人より長い寿命を得ていたイザクは、世界を守るという使命に飽き飽きしていた。そして全知全能の書を復活させ、その力で今の世界を破壊。争いの絶えない、刺激に満ちた世界に創り変えようと考えるようになったのだ。
そしてまさしく、隼人を唆して15年前の異変を引き起こした真の黒幕もイザクであった。世界を一度破壊し、賢人が戦わなくても良いような平和な世界に創り変えるためと騙して……。

そんなマスターロゴスの真意を知らない時の剣士・神代凌牙(仮面ライダーデュランダル)は命令を忠実に遂行し、倫太郎や飛羽真たちの聖剣やワンダーライドブックを奪おうとする。凌牙から逃れノーザンベースに帰還した倫太郎は、賢人によって救出されたソフィアと再会を果たすのだった。
親もおらず、親のように自分を育ててくれた師匠もズオスに殺され、崇拝していたマスターロゴスこそが組織の裏切者であった。倫太郎は失意に沈むも、迷いを断ち切るため飛羽真と剣を交える。烈火から飛羽真の想いを感じ取った倫太郎は、水勢剣・流水の真価を引き出す(覚醒)ことに成功し、メギドにされた芽依を救い出すのだった。

マスターロゴスによってノーザンベースの結界が破られ、聖剣とワンダーライドブックの回収を目的に神代兄妹が侵攻してくる。その隙を狙って黒い本棚も乗り込み、ズオス・プレデターが尾上を打ち倒してしまう。
そこでノーザンベースの核である全知全能の書の一部が倫太郎の想いに応え、「タテガミ氷獣戦記」ライドブックに変化。倫太郎は歴代の剣士の想いと共に、師の仇であるズオスを討つのだった。

しかし密かにストリウスは芽依がソフィアから預けられていた「鍵」を使って秘密の部屋に入り、「人間を造る禁書を手に入れていた。
それはマスターロゴスが2000年前の巫女を模して、ソフィアを造り出した秘術が記されている本。そしてストリウスもまた、ソフィアに似た「世界を繋ぐ存在」を生み出すのだった。

その頃、慕っていた賢人に風双剣・翠風の一本を封印され、身も心も深く傷ついた蓮はノーザンベースに戻ることもできず一人さ迷っていた。そして同じくメギドながら黒い本棚を離れていたデザストと、「強さの果て」を見るという目的で行動を共にすることになる。

③VSソロモン

マスターロゴスは計画の最終段階として、禁書庫の「破滅の書」に封じられていた無の剣士・バハト(仮面ライダーファルシオン)を解き放つ。

彼は1000年前にユーリと共に戦った正義の剣士であったが、あるとき力への欲に溺れた仲間によって肉親を殺害されてしまう。殺し合うのが人間の本質であり、争いを終わらせるには人間がいる世界を滅ぼすしかない……そんな絶望の中で破滅の書を開き、世界を滅ぼそうとしたバハトをユーリが禁書もろとも封印したのだという。

バハトとの戦いで飛羽真が聖剣を覚醒させると、ルナが15年前に残した飛び出す絵本「Wonder Story」が眩い光を放った。すると空間の裂け目が生じ、その中からルナが現れる。彼女の肉体年齢は15年前のまま止まっていた。再会の喜びも束の間、ルナはマスターロゴスに奪われてしまう。

マスターロゴスは次々に聖剣とワンダーライドブックを回収し、封印に現れた賢人もまたバハトから蓮を庇って月闇を奪われてしまう。全ての聖剣の封印が解除され、飛羽真がバハトを打ち倒すと、マスターは2人からも聖剣を奪取。11本の聖剣を共鳴させて目次録へ至る道を生み出し、19冊の本を中心にノーザンベースやサウザンベースに保管されていた全ての本を目次録へと結集させる。そして完成した目次録のエネルギーを、世界を繋ぐ存在=ルナを用いて引き出し、ワンダーライドブックとして具現化しようとする。

空に浮かび上がった巨大な魔法陣(ツリー・オブ・ライフ/生命の樹)へと吸い込まれていくルナ。飛羽真は彼女の助けを求める声に応じてその手を掴み、烈火を引き抜いて儀式を中断させるのだった。
全知全能の書はついに復活しなかったが、しかしマスターロゴスは全能を司る「オムニフォース」ライドブックを手に入れ仮面ライダーソロモンに変身。各地に出現させた「巨大なる終末の書」で世界を消滅させていく。
神代兄妹はついにマスターの邪悪な意志を理解し、組織の正義のため彼を倒すことを決意する。

賢人は月闇の見せた未来が変わらないことを悟り、飛羽真が人柱になることを防ぐためマスターと相討ちになる覚悟を固める。賢人の思惑を知った飛羽真はそれを許さず、俺は消えたりしないと雷鳴剣・黄雷を地面に突き刺し去っていくのだった。
一人残された賢人の前に、光の鳥が語りかける。それはタッセルに保管されていた隼人の魂であった。お前が信じる道を進め……父の言葉に背中を押された賢人は、雷鳴剣を再び手に取り飛羽真らのもとへ向かう。

そして飛羽真は、世界の破滅を望みマスターロゴスに賛同するバハトと戦っていた。バハトの振るう無銘剣・虚無の「重み」に圧倒される飛羽真。しかし飛羽真はそれでもと人間の強さを信じ、仲間の想いを受け覚醒させた烈火をバハトに叩き込む。すると不死の肉体を持つバハトに初めて傷が与えられ、人間の想いに可能性を見た彼は「お前たちがこの先の未来に何をもたらすか、俺が見届けてやる」という言葉を残し消滅するのだった。

そして飛羽真はソロモンの剣を「軽い」と断じ、人間の想いが未来を創ると言い放つ。すると11の聖剣が宇宙でセフィロトを描き出し、全知を司る銀河の聖剣「刃王剣・聖十字(クロスセイバー)」が誕生!仮面ライダークロスセイバーに変身した飛羽真は、その創造する力によって世界の修復を果たすのだった。
マスターロゴスはワンダーワールドのルナを狙って行動を起こすも、飛羽真・倫太郎・賢人の三剣士の前にまたも敗北。なおも諦めず反撃を誓うマスターロゴスだったが、ストリウスによって遂にその命を絶たれてしまう。

④VSストリウス

タッセルは飛羽真に2000年前の真実を語り、15年前に現れた「世界を繋ぐ存在」ルナが飛羽真を選んだことを告げる。
ルナは全知全能の書の端末のような存在であり、彼女に選ばれた飛羽真はいずれワンダーワールドの守護者となってその力全てを手にする運命にあるという。そうなれば、飛羽真は現実の世界から消えなければならない……。驚愕する飛羽真だったが、彼はそれでもルナと会い、消滅することなく仲間たちと生きていく、未来を変えると力強く宣言する。
しかしその直後、タッセルはストリウスの手で殺害されてしまう。「ごめんね……」自分が全知全能の書という力を見つけたばかりに、2000年に渡る争いを招いてしまったことを謝罪し、タッセルは息絶える。ストリウスは動揺しながらも彼の守っていた本を奪い去り、ワンダーワールドに崩壊をもたらす。ワンダーワールドが均衡を失ったことで、現実世界もじわじわと消滅の危機に晒されていく。

ストリウスの忠臣たるメギド・カリュブディスに深いダメージを負わされたデザストは、生みの親たるストリウスに「物語に不要な存在」と切って捨てられながらも、蓮と最期の戦いを繰り広げる。強さの在り方を見失う蓮は倫太郎の戦い方を真似てみせるが、デザストはそうじゃねえだろうと叱咤。蓮は無心に剣を振るい、己の全存在を賭けてデザストを倒すと宣言する。そして遂に、剣斬の渾身の一撃がデザストを貫く……。「お前はそのままでいいんだよ」そう言い残すと、デザストは露のように消えていった。蓮はヒビ割れたデザストのアルターブックと、彼が所持していた無銘剣・虚無を拾い上げる。

レジエル・ズオス・ストリウスの本、そしてオムニフォースワンダーライドブック、タッセルの本……5冊の本を揃えたストリウスは、これまで本に変えてきた人々と、禁書で造り出した世界を繋ぐ存在の模造品を、自身もろともカリュブディスに喰らわせる。そして次の瞬間、カリュブディスの体から現れたストリウスの手には「グリモワール」ワンダーライドブックが握られていた。グリモワールを通じ全知全能の書を閲覧した彼は仮面ライダーストリウスに変身し、世界に終焉をもたらすべく動き出す。

マスターロゴスに暗殺されていた組織の最高意思決定機関「四賢神」を全盛期の姿で復活させ、使役するストリウス。
剣士たちは彼らが待ち構える「滅びの塔」に乗り込み、命懸けの戦いを挑んでいく。剣技の祖とされる賢神たちは剣士の戦法を全て把握しており、まるで歯が立たない。しかし彼らは飛羽真に希望を託し、深く傷付きながら賢神を撃破していく。

塔の最上階でストリウスと対峙する飛羽真。そこでストリウスは、飛羽真が炎の剣士となったことも、この世界が終わることも、何もかもが予め全知全能の書に記されていることであり、剣士たちが必死で戦っても変えられない運命だと言い放つ。
そう……ルナは全知全能の書に記されていたシナリオを進行させるための「主人公」を選定する存在であったのだ。太古の巫女もまた、ビクトールを「主人公」に選び彼をワンダーワールドに導いていた。

人類が築いてきた文明も、この世界に生み出されてきた発明も、創作物も……全てが、全知全能の書によってもたらされたもの。人間はそうとは知らないままに、それを出力していたに過ぎなかったのだ。2000年前に詩人であったストリウスは、自らの創作した詩が全て全知全能の書に記されていた事実に深く絶望した。そして今度は、最後のシナリオの担い手として世界に終わりをもたらそうとしている。
飛羽真の小説もそれと同じなのだと彼を追い詰めようとするが、飛羽真はたとえ自分の物語がなにかに与えられたものだとしても、それによってルナを喜ばせることができたし、かけがえない仲間たちとも出会えた。だから俺は物語を書く、本が好きなんだと胸を張る。逆上したストリウスは彼を奈落へと突き落とすが、プリミティブドラゴンの少年がそれを救い出す。

ワンダーワールドと現実世界の消滅が加速し、世界から本が消えていく中で、全知全能の書の端末であるルナもまた消えようとしていた。ルナが「飛羽真の新しい物語が聞きたい」と呟き、飛羽真がそれに応えると、ルナを中心に6本の聖剣が魔法陣を構築。ストリウスは咄嗟に儀式を阻止しようとするが、どこからか飛来してきた無銘剣・虚無がそうはさせない。そして新たなる全知全能の書「ワンダーオールマイティ」が生み出され、飛羽真は倫太郎、賢人と共にストリウスを撃破する。ストリウスはかつての詩人だった自分を、詩によって人々を楽しませることを何より嬉しく感じていたあの頃を思い出し、震え、消滅していくのだった。

ストリウスを倒してもなお、物語を失い消滅してゆく世界を止めることはできなかった。飛羽真もまた、ワンダーワールドへと消えていく。しかし芽依が放った「今、世界から物語が消えようとしています。物語が消えると、この世界も消えてしまいます」「あなたの物語が世界を救う」というメッセージに人々が応え、彼らが心に抱いた「大切な物語」で満たされことにより、世界は崩壊を免れる。

飛羽真が消えてから一年が経った。彼が最後に書き上げた原稿・エターナルストーリーは長谷川賞を受賞し、芽依は涙ぐみながら台に立つ。しかし式の最中、突如として会場は「行方不明となっていた人々が帰ってきた」という知らせに湧き立つのだった。

新たなワンダーワールドの管理者となった飛羽真は、そこで一年をかけてカリュブディスに呑み込まれてしまった一人一人の物語「ワンダーストーリー」を書き上げた。飛羽真がワンダーストーリーを完成させたことで新たなワンダーワールドが構築され、世界は真に均衡を取り戻す。そしてタッセル・初代マスターロゴス・レジエル・ズオス・ストリウス、バハト、ルナに送り出された飛羽真は、現実世界へと戻って仲間たちとの再会を喜ぶのだった。

飛羽真の帰還と同時に力を取り戻したユーリは、盆栽にハマった。蓮は武者修行の旅に赴き、尾上は後継の育成に注力し始め、大秦寺は本職である刀鍛冶に戻った。ソフィアや神代兄妹たちは組織のマスター制を廃止し、ソードオブロゴスを新たに再スタートさせる。
飛羽真は物語を書くため聖剣を返還し、賢人は彼の物語を広める夢を掲げてファンタジック本屋かみやまを手伝うことに。そんな2人のもとにペアルックの芽依と倫太郎が訪れてきて……飛羽真と賢人、そしてかみやまの子どもたちは笑顔に満たされるのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?