妹と姉貴が帰ってきてからずっと、実家で寝泊まりしている。30日の夜、お袋の部屋で「ガタンッ」と大きな物音がした。

すぐに駆けつけると、お袋が仰向けで床に寝転がって虚ろな目をしている。問いかけると口を半開きにして、力のない声で「だいじょうぶ」と答えた。これほど不安な「大丈夫」を聞いたことがないし、「大丈夫」と答える人が本当に大丈夫だったためしはない。

コケるのはこれまで何度もあったから、車椅子や手押し車での生活を提案したことがあるが、頑固なお袋は「面倒くさい」と杖での生活を貫いた。

頭によぎったのは「頭を打ってとうとう寝たきりか！？」ということ。お袋は脳幹の近くに血管の変形があり血が溜まっている。それが神経を圧迫して足や手が思うように動かない。海綿状血管腫という先天性の病気だ。

足首も伸び切って感覚が薄いようで、もちろん歩けない。トイレに行こうとしていたようだ。お袋を担いでトイレに連れてゆき、あとは妹に任せた。

次の日、MRIを撮っても異常なし。体調も足も回復傾向。何も問題がないように思うが、昨夜のボケた老人のようにアワアワしてたのはあまりに異常だ。

何もないワケがない。
疲れやストレスとはどうしても思えない。身体全体が機能を低下させたような。。。

コロナに罹患していた。

コロナによる倦怠感や関節の痛みが、元からぎこちないお袋の足を完全に固めたのだと思う。アワアワしていたのは脳しんとうかなと。

MRIを撮った後のお袋はなぜか体調が回復し、元気に家事をしていた。僕は病院に付き添った後は、シンドくて横になっていた。ちょうどその日、子供の母親がコロナ陽性を連絡してきた。

その連絡でお袋の異常は、コロナによるものとほぼ確信していた。僕とお袋は翌日、一緒にPCRを受けに行き、ともに陽性と宣告された。

実家には僕、お袋、妹、姪っ子が生活している。PCRを受けてないのは妹と姪っ子だが、陽性だった僕の娘の家に泊まりに行っている。

妹は継続して実家で生活することを望んだ。帰国は8月10日。帰国前日にPCRを受けて、もし陽性なら延期しようと。ホテルで一人、姪っ子の世話をして全く出歩けないのは考えている以上に気が詰まる。

妹は何一つ動じなかった。
語学留学で単身アメリカに行き、そのまま居座ったような女だ。肝が座っている。

姪っ子が僕のところに来てしまい、うつすんじゃないかとアタフタする兄をよそに、「もう一緒じゃん。無理だよ」とばかりに感染を気にしない。心まで楽天的なアメリカ人になってしまったかのようだった。

同居の家族は徹底的に隔離して感染を防ぐか、諦めて集団感染を選択するかの2種類あるそうだ。僕もお袋も妹も、仕事なんてあってないようなもんだ。たしかに10日間、気を張って感染対策するより、集団感染してみんなで子守りした方が合理的な気がする。

いずれ罹患する。
早めに罹って免疫力を高めておくのも良いのかも。コロナがさらに凶暴な殺人ウィルスに変異しないとも限らない。

先に陽性だった人から「保健所の聞き取りが2時間もあった」と聞かされていたので、できるだけ詳細に行動を列記した。

そして保健所から電話。

体調確認、感染経路の確認、緊急連絡先、待機期間。これらを話すと、保健所の方はそそくさと電話を切った。話してる間中、後ろでも電話をしている声が聞こえてきて、保健所の多忙ぶりが垣間見えた。

時間にして5分。
あれ？聞き取り調査は？感染経路が明白だったのか知らないけど、聞き取り調査はしないの？

いや、別にしてほしいってワケじゃないんだけど、せっかくまとめたんだから少しくらい聞き取り調査してもいいんじゃないかな？

ねぇ！！聞き取り調査は！？

いや、別にいいんだけどね。まとめるの1時間くらい掛かったからさ。もういいよ。この鬱憤はnoteに書いて消化したから。

先走って対応して空回りする、ということはよくある。

今回のPCR検査だって保健所から連絡がくると言われていたのに、「保健所は手一杯だ。連絡はかなり遅れるはず」と自分で勝手にPCR検査を予約して、その検査を後から保健所から病院へ要請があったことにしたくらいだ。

お袋の足をコロナのせいと予想。陽性発覚前に体温の記録。聞き取り調査のために行動をまとめてた。勝手にPCR検査を予約。

先走りすぎた感はあるが核心は突いてる。現状をしっかり把握し、可能性の高いところにBETしているからだ。

妹からは「頭良すぎて先を行き過ぎ。2歩早いわ」と言われてしまった。これはもう褒め言葉かどうか分からない。「バカ」と言われているとも取れる。

まぁいいや。
とりあえず、我々は元気です。
その様子は「スキ❤」を押すと見られます。

みなさん、くれぐれもご自愛を😊